「マンク~破戒僧~」:悪魔とチラシ、悪質なのはどっちだ?
監督:ドミニク・モル
出演:ヴァンサン・カッセル
フランス・スペイン2011年
「マンク」と聞いて眼前に浮かぶは、図書館で見かけた国書刊行会の「世界幻想文学大系」である。あの特徴ある装丁の本の背にクッキリハッキリとタイトルが記されていたのを今でも思い出す。(2巻目に収録)
とはいっても、実際に手にとって読んだわけではない(^^ゞ ただ「異端」そうなイメージが脳内に焼きついていたのであった。
しっかし、この度ヴァンサン・カッセル主演で映画化作品が公開じゃありませんか。しかもチラシを見れば「160年間、発禁本として封印」とか「血塗られた破戒僧のすさまじい背徳」とか「黒魔術に手を染め、聖なる教会を黒ミサで汚し、強○(←スパム除けのため伏字)、窃盗、殺人とあらゆる悪徳に身を沈め」などと書いてあるぞっ
その瞬間、私の脳内では妄想が爆発したのであ~る。
あんなこと(=ΦωΦ=)キラーン☆や
コンナコト(^Q^;)ハアハアや
さらにはそんなことキタ━━━━(・∀・)━━━━ !!!!!
まで思い浮かべてしまったのであった。
もちろん大いに期待し鼻息も荒く映画館へ突入したのである。
時は17世紀、所はスペイン、マドリッド。荒野のただ中に建つ修道院の扉の前に赤ん坊が捨てられていた。成長し敬虔な僧となった彼は、説教を聞きに多くの市民が押し寄せるほどの人望を集める。当然、その中にはキレイなオネーチャンもいるが、彼はそんなことキニシナイ(・ε・) カトリックの修道士ったら禁欲第一だ。
しかし、悪魔はそんな彼の元に仮面をつけた謎の見習い修道士を派遣する。その仮面の下は女であった……。
というわけで、たちまち女の誘惑に陥落……でも演じているのがヴァンサン・カッセルだから、どうも厳格な修道僧たって最初から何やら生臭い雰囲気がプンプンしちゃってるのである。あまり意外な感じはしない。
こういう人物がいったんタガが外れると留まるところを知らないというのはよくある話である。よーし、ここからビシバシ背徳行くぞー\(^o^)/と期待が高まったけれど、なんだか全体にテンポがゆっくりしていて、ここに至るまでにも既にかなりの時間が経過だ。
今からあんなことやコンナコト、さらには黒ミサまでやってたら上映時間3時間以上にならないか(@_@;)
--という私の内心の焦りに関係なく映画は悠揚たるテンポで進んでいくのであった。どうも作り手は1950年代あたりのクラシカルな映画を念頭に置いているらしく、劇伴の音楽も古めかしい。
ジリジリしながら待つ。だが、鼻血が出そうな背徳的行為はいっかな始まりそうにない。もう、しまいには「ちょっとおねえさ~ん、黒ミサまだーっ」(居酒屋で空のグラスを振って見せる図)と叫びたくなったほどだ。
そして、あろうことか、遂に最後まで黒ミサは登場しなかったのである! これを詐欺と言わずしてなんと言おうか(*`ε´*)ノ☆ インチキ!! 金返せゴルァ
いや、まあ確かに主人公は背徳を行なったわけだが、なんつーか久米の仙人が若い女のふくらはぎに見とれて空から落ちたのと大して変わらんぐらいのもんだ。
え、もっと大罪があるって? でも知っててやったわけじゃなし……。
古い僧院を舞台にしていても、あんまりゴシック味を感じなかったのも難だ。ただ、ヴァンサン・カッセルはほぼ出ずっぱりなのでファンは見て損なしだろう。あ、女優さんたちはキレイでしたよ。
とにかく、終映後にシアターN渋谷前の階段で落胆のあまり_| ̄|○倒れていたのは私である。
ああ、それにしても黒ミサが見たかった……無念(T^T)クーッ
良かった点は、良家のボンボンがプロポーズのためにリュート奏者2名を引き連れ、恋人の窓下で歌うという場面があったこと。あんなこと実際にやったのだろうか? ロマンチックだわ~(*^o^*)
背徳度:5点
エロ度:3点
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