「忠実な羊飼い」:作曲家ならぬ詩人特集
ラ・フォンテヴェルデ第15回定期演奏会
会場:ハクジュホール
2012年4月27日
めでたく結成10周年を迎えた声楽グループ、ラ・フォンテヴェルデのコンサートに久しぶりに行ってみた。
以前は自由席で早く行かないと席が取れないのと、常連のオバハン達の熱気に負けて、ここしばらくは敬遠してたのである。
プログラムは「曲」ではなく「詩」を中心にするという極めて珍しいものだった。
16世紀後半にイタリアで人気があったグァリーニという詩人作の牧歌劇に基づいて、同時代の様々な作曲家が作ったマドリガーレを取り上げて聴き比べた。従って「無慈悲なアマリリ」は4曲、「ああ、つらい別れ」は5曲--と作曲家違いで同じタイトルの曲がずらりと並ぶという趣向だ。
アルトだけCTの上杉清仁一人で他のパートは二人ずつで、曲により色んな編成になる。合間にリュート(金子浩)とチェンバロ(上尾直毅)の独奏曲が入った。
作曲家はモンテヴェルディ、ディンディア、カッチーニなど。それぞれの作曲家が共通して使った手法や、全く異なる部分などこうやって連続して聞くとハッキリして面白かった。
また、このグループで初めてとは知らなかったのだが、独唱曲もやった。テノールの谷口洋介、ソプラノの星川美保子、鈴木美登里が一曲ずつだ。星川女史はやや線の細い印象。今後の精進を期待します。鈴木女史はさすがに堂々たる歌唱だった。
日本人の歌手でマドリガーレを歌わせて、今の所これ以上のグループは存在しないだろう。濃厚なるマドリガーレの世界を心行くまで堪能できて満足であーる
なお曲間に数回、浅岡聡が登場して曲の背景や聞かせどころなどをトークしたが、もろ初心者向けの事柄からマニアもOKな細かいところまで入れて、聴衆全員を満足させるのは大変そう。メンバーが喋るならともかく、「邪魔」とか「不要」とか思う人もいるかも。難しいところである。
会場では鈴木ヒデミ氏と荒木優子女史を見かけた。
それから余談だが、この会場のトイレの洗面台の蛇口が極めて使いづらい--というか、自動なんだか手動なんだか分からなくて、あちこちひねったり触ったりした挙句、結局手を洗えないまま出てしまう人が多かった。
自動なんだけど、センサーの位置が分かりにくいのと感度が悪いようで、すぐ反応しない。全く人間工学に反した設計である。こんなもん誰が作ったんじゃ<`ヘ´>と言いたくなってしまった。
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