« 「情熱のスペインバロック」:知ってそうで知らなかったスペイン | トップページ | 「アメイジング・スパイダーマン」(3D字幕版):顏なき仮面 »

2012年8月10日 (金)

「偽りの名画」

120810
著者:アーロン・エルキンズ
早川書房2005年(ハヤカワ・ミステリ文庫)

山本周五郎賞を取り直木賞候補になった原田マハ『楽園のカンヴァス』。ネットでこの本が元ネタだと指摘されていたので、興味を持って読んでみた。

主人公は米国サンフランシスコ郡立美術館の学芸員。イタリアの美術コレクターの蒐集品を展示するため、ベルリンへと飛ぶ。だがそこで絵画強奪未遂事件、さらには殺人まで起こる。背景には展示品の中に贋作の存在があるのか、ないのか--がポイントになる。

全体的には美術を題材にしたユーモア風味ミステリ・エンタテインメントである。もっとも、そこに述べられているウンチクはかなり広くて詳細なようだ。米軍主催の美術展をヨーロッパで巡回するというのも面白い(広報活動の一環か)。

『楽園のカンヴァス』はモネだったが、こちらの主人公の専門はフェルメールだ。いま日本でブームなんで興味のある人は読んでみると面白いかも。
読んでみると『楽園~』の元ネタというほどではなくて、「参考にした」程度だろう。私はあの小説の男女のロマンスが鬱陶しかったんで、どちらかといえばこっちの方が好感度高い。

作者のエルキンズは人類学者スケルトン探偵シリーズで有名。こちらの「美術探偵」もシリーズ化されたらしい。なお文庫は2005年だが、日本での初刊は1991年、オリジナルは1987年である。


| |

« 「情熱のスペインバロック」:知ってそうで知らなかったスペイン | トップページ | 「アメイジング・スパイダーマン」(3D字幕版):顏なき仮面 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「偽りの名画」:

« 「情熱のスペインバロック」:知ってそうで知らなかったスペイン | トップページ | 「アメイジング・スパイダーマン」(3D字幕版):顏なき仮面 »