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2012年8月 3日 (金)

バッハ・コレギウム・ジャパン第98回定期演奏会:主君ヨイショも今では偉業の一つ

120803
世俗カンタータ全曲シリーズ 2
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2012年7月20日

前回の定期公演では隣席の男にひどい目にあった。今回また同じヤツが来たら、もう座席を変えてもらわなければなるまいと固く決心して自分の席に座る。そのあたりのスペースは定期会員席だから可能性は高い。
結局、開演5分前ぐらいになってその男が来たので、あわてて席を変えてもらった。三列ぐらい後ろなので、結構いい席でよかった(^^ゞ おかげで心穏やかに聞けました
これでは次回もその次も変えてもらうしかないだろう。

会場全体を見ると「マタイ」の時よりもかなり空いていた。やはり世俗カンタータだと人気ないのかしらん?
とはいえ、教会カンタータの時と変わらぬ遜色ないコンサートだった。

一曲目のケーテン候誕生日のためのカンタータは、ひたすら君主をヨイショする内容。それを長身ソプラノのジョアン・ランとバスのロデリック・ウィリアムズが晴れやかに歌う。
ファゴット独奏と通奏低音で終始するというバスのアリアがあって、低音尽くしであるのが面白かった。また、二本のフルートが中心でそれに二人の歌が添えられているといった趣きの曲もあった。
聞いてて感じたのは、こういうヨイショ曲を現在の為政者に対しても演奏してやればいいのではないかということ。そうすれば、助成金でもなんでも出してくれるだろう。
「××殿下が●●市で君主の誉れに~」とか「△▽知事の比類のなさゆえ我らは~」なんて。目の前で聞かせてやったら、毒舌も吐けまいよ(^O^)

結婚カンタータでは器楽の人数が減って、弦が一人ずつ(ヴィオラはE・モレノ特出)で演奏。そしてJ・ランは歌いっぱなしの独唱で、三宮氏のオーボエと共に大活躍をした。ランたんファンは充分に萌えたことであろう。

同じ「結婚」でも次の「結婚クオドリペット」となると、えーバッハ先生こんなのを作ったのか(!o!)とビックリな作品だった。楽譜の最初と最後が欠けているので詳しい由来は分からないが、どうもバッハ自身の結婚式で歌われたらしいとのこと。
当時の流行や話題ネタ、さらには出席者への突っ込みネタ、やや卑猥なジョークなど詰め込んだ冗談尽くしの即興風な歌である。

楽器がまだチューニングしているうちに歌手四人(テノールは櫻田亮、アルトは青木洋也が参加)がステージ乱入、さらに一歩遅れて肝心の鈴木(兄)があわてて走ってきて演奏開始という完全喜劇モードだった。
コミカルな動作を付けて動き回って歌手たちが歌う--というので、なんとなく見ていて思い出したのはル・ポエム・アルモニークである。終わると会場は拍手喝采。大いに笑わしてもらいました。

ラストの曲でようやく合唱が登場。やはり詳細不明ながら教師の誕生日祝いに歌われたカンタータBWV36cである。
ソプラノのアリアでは「弱々しい くぐもり声であろうとも」という件りとヴィオラ・ダモーレ(若松女史演奏)の音が対応している。しんみりと聞き入ってしまった。
また、テノールのアリアでは櫻田氏が、思わずイイネ!印を100個連発で付けたくなるような出来だった。

全体的な印象は「ランたん最強!無敵」に終始したのであった。歌手でただ一人全曲出ていたし。長身から繰り出すパワーは並々ならぬものであるのは確か。

終了した後、会場外の階段を下りながら「昔の教師は尊敬されてたのねー」と羨ましげに話している人がいた。大学の教員のようだった(^o^;)


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コメント

こんばんは
ワタシも行きましたこの公演^^
その「男」がワタシだったらどうしようと思いましたが、さすがに違うようでした(ほっ)

ワタシが印象的だったのはバスの声量でした。曲によってはアルト、テノールとのバランス感の点でちょっと残念な場面も。。
でもテノールのアリアは確かによかったですね。

次も楽しみです。

投稿: すた(manimani) | 2012年8月 6日 (月) 00時12分

コメントありがとうです。

さすがに演奏やってる最中にスマホをチェックする奴というのはなかなかいません。映画館ならいますが……(^_^;

次回のカンタータは公演は独唱者は全員ガイジン勢ですね。ベストメンバーといってよいでしょうか。
CTはD・ギヨンなんで、ファンの客が大勢来るかもです。

投稿: さわやか革命 | 2012年8月 7日 (火) 12時31分

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