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2012年8月 4日 (土)

「ジェーン・エア」:荒野の果てにて

120804
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ミア・ワシコウスカ
イギリス・米国2011年

古典的名作の28回目の映像化(チラシによれば)。極めて抑制され静謐かつノーブルなトーンで作られている。

ヒロイン役のミア・ワシコウスカは素は美人のはずだが、演技でブサイクかつ我の強い娘になり切っているのには感心した。
謎の多い屋敷の主人ロチェスターにはマイケル・ファスベンダー。はて(^^?)どこかで見たような顏だと思って眺めていたら、あとでケヴィン・クラインに似ているのだと思いだした。他の作品でそう感じたことはないんだが。

ロチェスターのひどい裏切りが発覚して逃げた先で出会うのが、ジェイミー・ベルの宣教師だ。原作ではどうか知らないが、結果的に二人の男を秤にかけてどちらかを選ぶという話になっている--というのはうがち過ぎだろうか。

古びた屋敷が舞台ということで、ゴシック小説っぽい雰囲気もかなりあるのが面白い。音楽もまた密やかに流れるようでいてミステリアスに盛り上げる。
衣装や実際の屋敷を使ったセットは素晴らしく、冷ややかな荒野の風景も迫力である。また音響効果も巧みに使われている。
さすがジュディ・デンチの女中頭ぶりは堂々たる貫禄あり。

ということで、とても34歳の若手監督の手になるものとは信じられないような完璧さだ。もし欠点があるとすれば、完璧すぎることだとしか言いようがない。
ただ、私は個人的には少しブチ壊れている作品が好きなんだけどね(*_*;

孤児院出身で家庭教師という出自の娘が、最後にゲットした男が失明している、というのは何やら象徴的である。もはや彼は他の女に色目を使うこともない。まさに女の理想的な愛の一つの形態かも知れない。


ゴシック度:8点
女の幸福度:採点放棄


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