三大映画祭週間2012「気狂いピエロの決闘」:くれいじー・ぴえろ・らいじんぐ
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演:カルロス・アレセス
スペイン・フランス2010年
ヴェネチア映画祭で監督賞と脚本賞を獲得した作品。もっともこの時の審査委員長はタランティーノだから、内容は推して知るべしな、どこに出しても恥ずかしくない「怪作」である。
なおタイトルは「キグルイ……」と読むのであるが、私はチケット買う時にうっかり「キ★ガ▲ピエロ」と言ってしまいました。許してちょうだい
主人公は父子二代に渡るサーカスのピエロだ。スペイン内戦時に、父親は女装したピエロ姿のまま、無理やり戦闘に参加させられナタを振り回して敵を虐殺しまくった しかし、捕虜となり悲惨な死を遂げる。
息子は長じて父親同様に「泣き虫ピエロ」役でサーカスに就職する。するとそこには美人曲芸師がいて一目ぼれ\(◎o◎)/ が(!o!)彼女には既に男がいた そいつは凶暴な「怒りのピエロ」であった。
というわけで、二人のピエロが不実な美女をめぐって血みどろの争いを続ける。周囲なんか関係なし。街中で市民を巻き込んでの殺し合い、迷惑千万この上ない(+o+)
ん?なんか『ダークナイト ライジング』と似たような話だな(^O^;) 逆方向を向いているようだが、結局同じ事をやっているのか。
さらにフランコ総統が登場したり、過激派による暗殺爆破事件(実際に起こった事件か?)も絡んだりして、スペインの当時の社会情勢とも密接にかかわっているのだよ(多分)。
一方で、映像は結構端正でクラシカルな面が強調されている。特に終盤の教会の造型はお見事。上から俯瞰するシーンの陰影が美しい。美人曲芸師の登場場面なんかも同様に目を引き付ける。
また音楽も流麗で、B級風の展開とかなりのミスマッチだ。
鬼と化した二人のピエロの闘いは、ハチャメチャでアナーキーな破壊力を炸裂させ、その時代の空気と都市空間を縦横に走りぬける。
一方でヒロインの行く末を見る限り、これは明らかに「男同士の絆」を描いたものでもあろう。
とすれば、見せられたのはその時代と国をサーカスの舞台に見立てた、大仕立てのピエロのドツキ漫才に違いないのだ。まことに感心するほどバカバカしい。(注-ホメ言葉である)
ラストは泣き顔も笑い顔も区別がつかなくなり、両者は等しく同化していく。
ふっ(´ー`;)所詮人生など一夜のサーカスにも値しないのだよ。
スプラッタ・ホラー風の展開の作品だが、実際に一番ブキミだったのは、映画内映画としてラファエルというアイドル(?)がピエロに扮装して歌っている作品を上映しているところだった。こ、これって実在する映画?(>_<) なんか見てると脳ミソが膨れ上がって破裂しそうな不気味さなんだけど……
ともあれ、この監督さんには是非ともこれからも破壊力あふるる怪作を作って欲しいですね(^o^)/
ハチャメチャ度:9点
純愛度:8点
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コメント
読んだだけで身震いしちゃうほど、正統的ハチャメチャ映画なんですね。スペインの芸術に脈々と流れる黒く呪われた血が噴出、という感じ。気が狂ったピエロのメークってジョーカーにも似てるから、ダークナイトとの共通点もありそうですねえ。
監督の名前とタイトル、心に刻んでおきます。
ところで、アンドレア・アーノルド監督作品『フィッシュ・タンク』はご覧になりまして?彼女の新作『嵐が丘』は、非常に新鮮なアプローチで度肝を抜かれました。前作見てないので、気になります。
投稿: レイネ | 2012年9月 2日 (日) 19時29分
そういや、敵役の「怒りのピエロ」の顔は『ダークナイト』のトゥー・フェイスの方に似ているような気も……。
いや、本当のところはどうなんだか分かりませんけどね(^^;)
『フィッシュ・タンク』は見られませんでしたが、かなりの好評だったようです。今人気のM・ファスベンダーも出ているし。
よく読みに行ってる映画系ブログの記事リンクを、貼っておきますね。(詳しくあらすじを紹介してある)
http://jovanni34.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08
投稿: さわやか革命 | 2012年9月 2日 (日) 23時12分