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2012年10月31日 (水)

「ジャコモ・フォスカリ」第1巻

121031
著者:ヤマザキマリ
集英社2012年(officeYOUコミックス)

マンガ売り場で、大ヒットシリーズとなった『テルマエ・ロマエ』の第5巻と並んで平積みになっていた。しかしどうもどういう内容か分からず、何度か手に取って眺めたり匂いを嗅いだりしてみてはまた戻していたのだった。
が、ネットの感想で三島由紀夫や安部公房をモデルにした作家が登場する話と知ってあわてて買った次第である。

1993年、東京を再訪した老イタリア人の回想が始まる。時代は二つに分かれ、一つはヴェネツィアでの青少年期(第二次大戦に突入していく頃)。そして日本の大学で教授をしていた1966年である。
そして双方の時代の回想にそれぞれ主人公が惹かれる若者が登場する。

三島がモデルらしい岸場は、映画に出演したりもする売れっ子作家として登場する。公房とおぼしき田部は突拍子もないことを言っては主人公をケムにまく人物だ。
三島の方は分からないが、公房に関しては本人や友人のエッセイ・回顧録の類から発言を取っているようである。主人公を何の根拠もなしにヤク中だと決めつけるくだりは、同じ話を誰かの文章で読んだ記憶があった。

『テルマエ・ロマエ』とは作風が全く逆で晦渋な印象だが、よくよく考えてみると、古代ローマに執着する異国の男が日本にやってきてカルチャーショックを受ける一方で、妙になじんでしまうという点では似ているかもしれない。
1966年というとちょうど作者が生まれた時代なのだが、何かこだわりがあるのだろうか?

……などと思ってたら、朝日新聞の書評欄にヤマザキマリのインタビューが乗っていて、外国の地で安部公房をむさぼり読んだというようなことを語っててビックリした。
この組み合わせは意外であるよ(@_@;)
『テルマエ~』よりもこっちの続きが気になりそうだ。

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