「イタリア・バロック音楽の響き ステファノ・バリアーノリコーダーリサイタル」:笛吹けば客席寒し秋のホール
仕事を終業時間に素早く打ち切り、急いで上野へ向かった。開演時間まであと数分--もはや、客はみんなホールに入ってしまったらしく入口は人影もほとんど見当たらない。
と、その時入口へ突進する私の目に飛び込んできたのは「開演19:30」の非情な文字であった……。
30分も早く間違えて行ってしまったのよ~(/_;) これだったら、途中で買い物とかできたのに。自分のドジに腹が立つ
しかし、今さら上野駅まで戻るわけにいかず、じっとガマンで開場を待つのであったよ。
それはともかく、このS・バリアーノというリコーダー吹き、全く知らない名前であったが、チラシを見てとにかくチケットを買ってしまった。配布された解説を読むと、ブリュッヘンやブッケに学び、様々なアンサンブルで活躍し、自分のグループも持っているとのこと。
今回はアンドレア・コエンという鍵盤奏者と共に来日である。
プログラムはファルコニエーロ(ナポリ出身の作曲家とのこと。初めて聞いた)、フォンタナ、コレッリ、サンマルティーニ、ヴィヴァルディで、途中にチェンバロの独奏でフレスコバルディやジェミニアーニなどが入った。
また、サンマルティーニの2曲は向江昭雅がもう一本のリコーダーでゲスト参加した。
チェンバロはともかく、リコーダーの方はさすがに中規模ホールだと幾ら音響がいいにしても、微妙なニュアンスまでは伝わってこない。自由席だったから、もっと前の方に座ればよかったかも。
それでも、コレッリのソナタのリコーダー版になってその吹きまくり具合はまるで神業のように感じられた。何しろ早い 指がヒラヒラ管の上を舞っているだけに見えるのだが、曲は恐ろしい速さで聞こえてくるのだった。
サンマルティーニという作曲家も初めて聞いたと思うが明晰な曲調で、向江氏と共に歯切れ良い演奏を聞かせてくれた。
意外なめっけもの……と言っては失礼だけど、そう言いたくなったのはチェンバロ担当のA・コエンだった。外見はトン・コープマンを若くして小ぶりにしたような外見だが、派手すぎず地味すぎず曲のいい所を引き出すような演奏でかなりの好印象。
家へ帰ってから会場で彼のCDを買えばよかったと後悔した(ーー;) ネットで探してみたがどうもフォルテピアノを演奏しているのしか見つからなかった。翌日、近江楽堂でソロ公演があったが、さすがに連チャンはキビシイので行かなかったのである。
アンコールに「赤とんぼ」を吹いて日本の聴衆にサービスしてくれたバリアーノ氏。
しかし、それに反して客席はお寒い状況であった。多分、客席の3割も埋まってないぐらいに閑散としていた…… プログラムをよく見ると、昼間の回もあって1日2回公演なのだった。こんな入りだったら一回にまとめるか、二回やるんだったら小さい方のホールにするべきだったろう。一体どうなってんの?
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