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2013年1月 3日 (木)

「マリー・アントワネットに別れをつげて」:女たちのベルサイユ

130103
監督:ブノワ・ジャコー
出演:レア・セドゥ
フランス・スペイン2012年

ヒロインは王妃マリー・アントワネットの朗読係の若い娘。本を選んで読んで聞かせるのである。王妃ともなると朗読係がいるんだ、へー(・o・)と驚く。
舞台はベルサイユ宮殿。折しもフランス革命の発端となる暴動が起こる。その三日間の物語である。

暴動が起こったといっても今のようなテレビ・ラジオやネットがあるわけじゃなし、噂のようにヒソヒソ話で曖昧に伝わってくるだけだ。宮殿の使用人たちの間でも同様に伝わり、みなソワソワし始める。

王妃は既に中年期に入り若さと美しさが失われつつあるのを気にしている。代わりにポリニャック夫人を寵愛するが、それの描き方は完全に同性愛だ。聡明さと誠実さを持ち合わせていても、その使い方を完全に間違えている中年の王妃をダイアン・クルーガーがよく演じている。
彼女に心酔している読書係の娘はそれを嫉妬を持って眺めていることしかできない。

それなのに、王妃はヒロインに王宮を脱出するポリニャック夫人の身代わりを演じろと命じるのであった。惚れた相手から恋敵のために犠牲になってくれと言われているのである。
しかし一方、王妃に愛されている人間に変身するというのは願望の成就でもあるので、その意味では皮肉な成り行きなのだった。

予告では、ここからさてどう話が展開するのか(~o~)という印象だったのだが、実際はもう終盤になってこの場面が出てくる。終わり方は唐突で、「ええっ、これでもう終わりなの(゜o゜)ポカーン」となってしまった。
劇中のセリフでわざわざヒロインの出自が謎であることを触れていながら、結局それについては何も明らかにされない。こりゃ、肩すかしだわい

実際のベルサイユでロケしたとのことで、鏡の間も登場する。衣装や小道具も豪華。あとは王侯貴族よりも裏方である使用人の日常が描かれているのが興味深い--というようなコスチューム・プレイとしての面白さはあったが、ストーリーの方は不完全燃焼のままに終わってしまった。
他の人の感想で「起承転結の結がない」(←フランス映画の特徴らしい)というのを見かけたが、まさしくそんな感じだ。

主役のレア・セドゥは『ミッション:インポッシブル』で悪女役をやって注目されたそうで、『ルルドの泉で』では箸が転げてもコロコロと笑い転げそうな健全な女の子を演じていた。が、ここでは一転陰にこもった内気な娘に見事変身している。若手女優の注目株に間違いなしだろう。

日曜の昼間に見に行ったのだが、客席が閑散としていて驚いてしまった。公開後まだ一週間なのに……(・・;)
劇場常連のオバサン客の姿がほとんどなく、歴史ものが好きそうな中年夫婦と、ベルばらファンぽい若い女の子たちと、レア・セドゥかヴィルジニー・ルドワイヤン(ポリニッャック夫人)目当てとおぼしき男性客(ヌード見られるし)ぐらいしかいなかった。
後でネットで検索してみるとどうもベルばらのファンは「女たちの話」というのが気に入らなかったらしい。やはりイケメンが出てないとダメなのか。


【関連リンク】
《Music for a while》より「Les Adieux a la Reine」

女たち度:8点
起承転結度:5点

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