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2013年1月 6日 (日)

「ホビット 思いがけない冒険」(3D字幕版):テンコ盛り状態であと二杯お腹に入るか?

130106
監督:ピーター・ジャクソン
出演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン
米国・ニュージーランド2012年

『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚がいよいよ公開。当初は二部作でギレルモ・デル・トロが監督のはずだったが、スケジュールがずれ込んで降板した。残念である。
でピーター・ジャクソンが監督復帰で、しかもなぜか三部作になったのであった。
長尺の『指輪物語』が三部作になるのは道理だとしても、こちらの原作『ホビットの冒険』は完全に児童書で話は単純で短い。三部作って無理じゃないの? 大ヒットを当て込んで三倍稼ごうというのだろうか。
2D字幕版を見たかったが、近くでやっている映画館がないので3D字幕版にした。

物語の冒頭が『ロード・オブ・ザ・リング』1作目と同じ日に設定されているのは意外だった。歳取ったビルボはともかくフロドまでも登場するとは驚き。一作目の製作から10年以上経っているが、そこは得意の特殊効果で役者の経年変化は幾らでも修正可能なのであ~る
そのビルボが若い頃の冒険を回想を始めるという設定だった。

原作はかなりノンビリのどかな調子で進んでいくのだが、映画の方も同じようなテンポである。ドワーフたちが歌ったり、トロル三人組に料理されそうになったり--それに加えて、活劇や戦争の場面ははるかに長く力が入りまくってテンコ盛り状態だ。。
なるほどこれでは長尺三部作になってしまうのも当然だろう。あと二作もこんな風に長い戦闘場面がそれぞれ最低三回は入るかね。見る前からお腹いっぱい状態である。
もうこうなったら続編はミュージカルでやってもいいぞ。

それと、女性の登場人物はガラドリエルしか出てないが、このまま男だけの物語で突っ走っていくのか(?_?) 原作ではガラ様さえも出て来なかったと記憶してるが……。まあ、フ女子は喜ぶかもな(@∀@)

美術や衣装は相変わらず見事なもんである。ドワーフの髭の編みこみ(?)など細かいところまで凝っている。
音楽はトラッド色がより濃くなって嬉しい。
悪役の造型は一層リキが入っていて、トロルやらゴブリンやらオークやら醜悪な面々の悪相ぶりには、作り手側の喜びをヒシと感じざるを得ないほどだ。またゴクリ、じゃなかったゴラムの表情豊かさも一層の磨きがかかっていて感心した。

主役のビルボはTVドラマの現代版『シャーロック・ホームズ』ワトソン役で人気のマーティン・フリーマン。立派な主人公……と言いたいところだが、話の展開上、終盤以外は傍観者的な立場の場面が多くて、まだそんな感じではない。飄々としている部分は好感だけど。続編での活躍が期待だ。
この一作目での中心人物は、ドワーフの王子トーリンだろう。リチャード・アーミティッジがそれこそ堂々と演じている。

3Dは予想したよりも見やすく、かなりの迫力があった。画面に向かって何かが飛んできて思わず目をつむってしまったことも二、三回あり。
また映像は高画質の技術が開発されたそうだが、なんだかビデオっぽい質感で良し悪しといったところである。

『ロード~』であれほどもめた字幕問題は、今回はあっさりと原作準拠でなんの問題なしだった。「いとしいしと」も出てくるしね。なんでも吹替えの方はさらに瀬田貞二節が炸裂しているそうである。
思えば『ロード~』三部作は、ファンにとっては字幕問題で余計に熱が上がった側面もあった。字幕を全文書き取りした人がいたり、当時は全盛期だった2ちゃんねるでさかんに熱い議論が戦わされていたものだ。
私は三部作が進むにつれて熱がどんどん下がってしまい、『王の帰還』に至ってはDVDも買わなかった。

今回の映画化でよかったのは、ドワーフにもイケメンがいるんだと判明したことである。これまでのイメージだと、髭モジャ過ぎて男女の区別もつかないとか、そんな噂だったのだ。これは画期的であるよ\(◎o◎)/!
逆に不満なのは、サルマンの扱い方が軽すぎることだ。畏れ多くもクリストファー・リーが健在で再び演じてくれたというのに、こりゃなんだ
このころの設定ではまだガン爺は格下の魔法使いでサルマン様の方がずっと偉いはずである。それをないがしろにしおって、許せんな(*`ε´*)ノ☆ 断固抗議したい。

エルロンドは「影が薄い」というのがジョークになっていたが、今回もやはり薄かった。こちらのシリーズでは後でもっと濃く活躍する場面が出て……くるといいね(^^)

一応、三部作最後まで見るつもりである。ただ、上映時間はこれ以上長くするのは勘弁してほしい(出来れば戦闘場面やアクションを短くしてくれい)。
米国を初め海外では大ヒットしているらしいが、日本ではふがいない結果になっているようだ。日本はますますガラパゴス化が進んでいるのかね? まあ三百年鎖国してた国だし世界の大勢には影響ないだろう。


ドワーフの髭の濃度:9点
エルロンドの影の濃度:3点

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コメント

お久しぶりです。見に行かれたのですね~。
私は字幕と吹き替え、3Dと2Dで迷ってうかうかしているうちに
どんどん小さなシアターに追いやられて、DVD待つか・・・と
早くも負け犬モードです。(汗)
それにしても確かに日本での成績はショボいですね・・1作目から
これじゃ、先が思いやられてしまいます。

投稿: EDA | 2013年1月 8日 (火) 18時33分

お久しぶりです(^_^)/

あまり期待しないで見たらよかったですよ(^O^)
ガン爺の大活躍は、やはり映画館の大きな画面で見てやらないと……。

それにしても公開前に『ロード~』三部作地上波一挙放送とかできなかったんですかね。
熱意が感じられませぬ(-"-)

投稿: さわやか革命 | 2013年1月10日 (木) 07時25分

そうか!何か盛り上がらないと思ったら、こういう時のお約束:
地上波での前作放送がなかったんですね。長尺だし3部もあるから
敬遠されたのかもしれませんが、せめて旅の仲間だけでもやって
ほしかったですねぇ。

サルマン爺が活躍しなかったそうですが、まあでも出てくれた
だけでも感涙モノです(ノω・、)。3部作撮り終わるまでもつのか?
などと失礼な心配されてた前作から10年を経て、まさか再び
同役でご健在な姿を見られるとは・・

投稿: EDA | 2013年1月11日 (金) 21時22分

|せめて旅の仲間だけでも

結構、前作を意識した作りになっているんで一作でもやってくれればよかったのに~、という感じです。

サルマン様もいい歳ですが、ガン爺も中の人ははや73歳だそうで(珍しくパンフを買って情報収集)、高齢者をコキ使う映画です(^o^)
ということは、今回も早く三作撮影し終わらないと……なんて不謹慎な心配が(^_^;)

投稿: さわやか革命 | 2013年1月12日 (土) 11時37分

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受信: 2013年1月 8日 (火) 14時11分

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