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2013年1月27日 (日)

「アルマジロ」:医者と兵士は三日やったらやめられない

130127
監督:ヤヌス・メッツ
デンマーク2010年

「衝撃のドキュメンタリー」という宣伝文句はよく使われるが、これほどそれに相応しい作品はないだろう。
そもそも、こんな内容がよく公開できたなという場面が幾つも出現する。軍が公開を許可したのも驚きだが、映されている兵士たちもよく認めたなと思ってしまう。

デンマーク軍の若い兵士たちがアフガニスタンへ派遣される。「平和活動」が名目だが、実際は最前線でタリバンを一掃するのだ。
兵士の一人は涙モードの母親になぜ志願したのかと問われて「サッカーと同じで、習ったら実際にやってみたいから」と答える。

直前の出陣祝いパーティではストリッパーを呼んでアレしてコレしてのバカ騒ぎ。とても親や恋人には見せられません(・へ・)
基地に到着するとしばらくは戦闘もなくて退屈な日々が続く。ここではアダルトビデオが夜のお相手だー。

しかし、ある日突然攻撃が これはマジに驚いた。突然銃声が鳴り響き、弾丸が傍をかすめていく。迫力あり過ぎだと思ったら、兵士たちのヘルメットに小型カメラを付けてもらって撮影してるようだ。道理でと納得である。
何回かの戦闘のうちに怪我人や死者も出てくる--。
弛緩と緊張が交互にやってくるというのは、ベトナム戦争のルポでよく読んだことがあるが、まさにそんな日常だ。

敵への憎悪が募り、戦闘の興奮にうかされ、混乱の中で酩酊状態となる。映像の迫力や緩急を心得た編集によって、そんな兵士たちの内心に見る側も苦も無く同一化してしまう。しまいには「やっちまえ~!(^^)!」と声をかけたくなるのだった。
その中で軍法会議ものの事件が起こる。その経緯についても、これまたよくぞ公開を許可したものだ。

ナレーションはなく、一貫して冷徹に事実をとらえている印象だ。兵士たちの行動についても何の価値判断も付け加えられてはいない。全ては観客側に任せられている。
ただ、謎なのは映像はそういうタッチなのに、付けられている音楽が娯楽映画並みに扇情的なのである。な、なんで……(?_?)
音楽全部カットせいと言いたくなるが--それとも、わざと虚と実を混乱させるために娯楽作品を模してみせたのか?なんてうがった見方をしたくなってしまうほどだ。

観客で女性は数名のみ。題材が題材なんで軍事ヲタ風の男性が多かった。
いかなる立場であろうと、刺激的、興奮的なドキュメンタリーには間違いない。

【追記】
ところでアルジェリア人質事件について、政治家が被害者のことを「企業戦士」と呼んだのには驚いた。
「戦士」というからには「戦争」がありそれに参加しているはずである。
しかし、それはどのような戦争なのか?防衛なのか、侵略なのか?
何かを収奪しているのか、それとも収奪されているのか。
いみじくも政治家の言葉によって、国民が姿なき戦争に参戦していることが明らかにされたといえよう。


愛戦度:9点
平和度:3点


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