「マーサ、あるいはマーシー・メイ」:信じる者も救われない
監督:ショーン・ダーキン
出演:エリザベス・オルセン
米国2011年
冒頭、十数人の若い男女によって構成された集団の生活が描かれる。社会から隔絶したような質素な手作り中心の暮らしで新興宗教団体なのか? しかも、男女によって微妙に差別があるようだ。
やがて一人の娘がそこから逃げ出す。
彼女は姉に助けを求める。しかし、豊かでスノッブな姉夫婦とはなかなかコミュニケーションが取れない。そもそも姉妹の仲が元からうまく行っているのなら、新興宗教なんかに傾くことはあるまい。
それに、妹の方は今までどこにいて何をしていたのか話せない理由があったのである。
全く違った環境にいるのに、ささいなことで集団にいた時の記憶がフラッシュバックする。それを語ることができず周囲の人間もトラブルに巻き込んでいく。
そんな悪循環が淡々と--淡々と過ぎるぐらいに描かれる。
平和で穏やかな集団がやがてカルト化していく経過は、チャールズ・マンソンのファミリーを思い出させるという意見があったが、なるほどと思った。
もっとも、後半の「居直り強盗」場面はM・ハネケを想起させる。ラストのイヤ~ンな印象もそれっぽい。
ただ、全体の淡々さに眠気を催してしまうかも。ヒロインの狂気に近い葛藤に付き合っていくのは、観客にとってもつらい。死にそうじゃー(=_=)
監督及びヒロイン役のエリザベス・オルセンはこれが映画デビューとのこと。及第点越えといったとこだろう。
集団の教祖役は『ウィンターズ・ボーン』で遅まきながら注目されたジョン・ホークス。彼がヒロインに捧げるとして生ギターの弾き語りで歌う歌が不気味である。
そういやエンド・クレジットのバックに歌が流れるが、これの歌詞の訳が知りたかった。それによって感想が違ってくると思うのだが……。
主人公ウツ度:7点
観客ウツ度:9点
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