「よつばと!」12巻
著者:あずまきよひこ
角川グループパブリッシング(電撃コミックス)2013年
以前から大きな事件などはほとんど起こらず、登場人物たちの日常を淡々と描いているだけだのマンガっぽかったが、この第12巻では本当に何も起こっていない!
ハロウィーンにお菓子を貰うとか、みんなでキャンプに行くというだけの話なのに、よくもまあここまで読ませるとは。驚きであり、そして感心した\(◎o◎)/!
それは、怒涛のようなストーリー展開とか波乱万丈でハラハラドキドキといったようなものに対するのとは全く異なった種類の感動だった。
ここに描かれているのは何一つ欠けるところのない全き世界である。思い煩うこともなく、苦しみも悲しみもない、永遠の日曜日だ。
純粋で輝く幸福感に満ちている。
小倉千加子の本だったか、人間が生きていく上にはそういう体験が一度でも必要なのだと読んだことがある。恐らくそれは、その時には分からなくて後になってあの瞬間がそうだったのだと気付くようなものなのだろう。
ここまで来ると、もはや涅槃の境地だろうか。
最終ページの最後のコマが印象的だが(私は見た瞬間、虚を突かれた)、その他にハロウィーンのエピソードの終わりも思わず見入ってしまった。お菓子を貰ったよつばが風香たちに挟まれて歩くシーンのコマが四つ、田の字に並んでいるだけだ。しかし、子どもの仕草の一瞬を完璧に、反復するそのコマの中に捉えている。ストーリー的には全く意味のない場面である。
別の意味でもう一つ気になるコマが……。ジャンボの花屋を訪ねたとーちゃんが花に埋もれているように描かれていたが、あれは何(^^?)
そういや、とーちゃんが実に父親らしいことをしている(添い寝とか)のも、なんだか感心してしまったよ。
ところでそれとは別に、よつばの正体は常にすご~く気になる。緑色の髪をした外人のような女の子で、本当は5歳なのに6歳だと思い込んでいる、とは何者だ?
これまで色々と考えた--。宇宙人の子どもか 謎の秘密組織によって生み出された植物人間か
今回思いついたのは「よつば桃娘」説である。
とーちゃんが南の島を放浪して海辺にたたずんでいると、海から巨大な桃がドンブラコッコと流れ着いた。彼は珍しい果物だと思って、日本に持って帰り田舎で引退生活を送る両親の所への手土産にする。
ばーちゃんが包丁で果物を割ると、中から緑色の髪の赤ん坊が出てきたのであった。
しかし、これだと出生届はどうしたのかという問題が生じる。
まだまだこの正体問題は検討中(^^ゞ
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コメント
お久しぶりです。
よつばと!読んでらっしゃるんですね。
巻を追うごとにどんどんすごい漫画になってますよね。
これで著者に5歳(前後)の娘がいなかったら驚愕です…。
投稿: なかがわ | 2013年4月29日 (月) 21時00分
公式には、いるかいないか不明なんですかね。
同じぐらいの歳の女の子がいるおかーさんに聞くと、その子はほとんど「よつば」になりきってこのマンガ見てるそうです。
投稿: さわやか革命 | 2013年4月29日 (月) 22時50分
プライベートを全然明かさない作家さんなので、公式での言及はなかったと思います。
子どもが喜んで読んでるという話は私もちょいちょい聞きます。
子どもを描いていて、子育て経験者、未経験者、子どもが同時に読める漫画ってほんとすごいですね…。
投稿: なかがわ | 2013年4月30日 (火) 23時34分