「イタリア・ルネサンス期の聖なる歌」:歌えば響くような--とはいかず
東京・春・音楽祭 「ラファエロ」展記念コンサート
演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:国立西洋美術館講堂
2013年3月19日
恒例となった春の上野のミュージアム・コンサート。この日は「ラファエロ」展に伴うラ・フォンテヴェルデの公演だった。展覧会のチケットこみだからかなりのお得価格
以前なんか大混雑で長蛇の列でも入れちゃったこともあった。
私が行ったのは一日2回公演の午後の方だった。もちろん、午前中は出勤して昼に職場を飛び出してきたのであ~る。
全体の時間は1時間で最初の15分は美術館の研究員からのラファエロについての解説。残り45分がコンサートだった。
解説では、ラファエロの生い立ちや作風の変遷とか、先輩のレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロと違って温厚な人柄だったなんて話が出た。
その後、スクリーンの前にこの公演でも使われていた新兵器(?)が設置されて演奏開始となった。
取り上げられたのはコスタンツォ・フェスタという作曲家である。初めて聞いた名だった。ラファエロと同時期にローマ教皇レオ10世に仕え、他の宮廷音楽はほとんどフランドル出身なのに対し、少数派のイタリア人だったという。
作風は伝統的なポリフォニー曲である。一方、レクチャーをするには打ってつけな講堂は音響はデッドで残響がほとんどない。こんな所で、アカペラの合唱曲をやるのは無謀だろう。
さすがのラ・フォンテヴェルデにしてもこれは厳しい。いや、それともベテランの彼らだからこそあのような環境でもよく聞かせたというべきか。何せ、声がバラバラで重なって聞こえないのだから。これじゃポリフォニーにもならないよう(/_;)
とはいえ、後半ではさすがに耳が慣れてきたせいか、ラストの「救い主を育てた母」は各声部の絡み合いの中に劇的な盛り上がりが感じられた。
しかし、そこでなぜかポリ袋をガサガサする音が連続して響き渡る。折しも曲の終わりに向けて一番盛り上がっている部分なのだよ。ガマンならなくて思わずそちらを見てしまったら、オバサンがポリ袋に包まれたペットボトルをバッグから取り出し、ガサガサさせながら飲んでいたのだった。
あと少しで終わるのが分かっていながらなぜ我慢できぬ~(*`ε´*)ノ☆
そんな波乱もあったが、無事終了した。歌手の方々ご苦労さんでした。
その後は展覧会へ。
同じく平日の昼間のエル・グレコ展は人垣が二重三重だったが、こちらでは五重六重だった。さらにこちらでは作品の大きさがずっと小さい。遠くにいたんでは見えねえ~。展示のやり方は都美術館の方が見やすかったかも。
ご本人だけでなく工房の後輩画家の作品も結構あった(工房方式を始めたのは彼だとか)。
また絵画作品を模写した絵皿がその絵を広めるメディアとなっていたというのは面白い。
しかし、彼の絵は全体的にその人柄同様に優美な画風ゆえ、やはり個人的には物足りず。エル・グレコの方が好みだったなあ--ということを再確認したのであった。
ところで、展示作品は宗教画以外もかなりあったので、コンサートも世俗歌曲の方が内容にふさわしかったかも。
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