「ルネサンス・ミサの魅力 5~ジョスカン・デ・プレのミサ《ロム・アルメ》を聴く」:ミサは作曲家の腕の見せどころ
ヴォーカル・アンサンブル カペラ レクチャー・コンサート
会場:近江楽堂
2013年4月10日
普段は教会でルネサンス時代の合唱曲を歌うカペラであるが、主催者花井哲郎の講釈付きでジョスカンのミサ・ロム・アルメを近江楽堂でやるというので行った。近江楽堂は教会ほどには残響が大きくなく、小規模な会場なので聴きやすいだろう思ったのだ。
「ロム・アルメ」は当時流行った世俗歌曲で、それを定旋律にしたミサ曲はなんと40数曲もあったという。
ジョスカンのはその中でも複雑で、聴いてて元の曲を聞き取れるのは「ホザンナ」ぐらいしかないとのことだ。配布のプログラムには計量記譜法の楽譜が載ってたりしてトーシロには理解が大変なのであった(^^;ゞ
面白かったのは楽譜の冒頭に記号が付いていて、その記号によって音符の長さが違ってくるということになっているらしい。すると同じ楽譜であってもそれぞれの記号に従うと各声部が異なってカノンになるというのであった。また、途中から楽譜を逆に歌ったり……。
花井氏の解説は歌手を背後に立たせて実際に部分部分を歌わせながらやった。しかし、喋りたいことがたくさんあるようで、一旦歌い始めようとしたところをクルリと戻って「そういえば--」などとまた話し始めるというのを何度も繰り返したのである(その度に歌手たちは苦笑)。
さらに真面目な顔で冗談を連発するので客の方は目が回る~
このミサはクレドの途中がなぜか作曲されないで、抜けている。その理由は?
花井氏「それは--作曲し忘れたからです」
客「ふむふむ」(納得)
花井氏「ここは笑うところですよっヾ(^^;) 」
客「ガ~ン」(一同ずっこける)
解説終了後、全曲演奏となった。
花井氏も入れて各声部2人ずつの計8人である。絵画にも残されているように、大きな写本の楽譜一つを台に乗せて、それを全員で見ながら歌う昔ながらの方式を取っている。
青木洋也氏などバロックで活躍している歌手もいるが、唱法は全く異なるし、何よりも全体として声の融合や流れが重視されていた。小さな会場で間近で聴くとそれがよく分かったのだった。
ところでこの会場の椅子にいつもある座布団がこの日はなかったんだけど何故(^^?) 取ると残響が増えるとか……ホントか
ルネサンス時代のミサは「ロム・アルメ」に限らず、流行歌を取り入れて作曲されるのはよくあることだった。以前、フランスのグループ、デュース・メモワールが来日した時は、極めて淫猥な曲を元にしたミサとその原曲を演奏してくれた。どうも昔は聖と俗の定義が異なっていたようである。
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