「オディロン・ルドン 夢の起源」:感動、そして恐怖
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
2013年4月20日~6月23日
昨年はほとんど展覧会の類は行けなくて、必見のものを幾つも見逃してしまった。有楽町(というより丸の内か)でやったルドンも行きそこなった。無念であーる
なので、今回は絶対行こうと決めていた。
行ったのは休みが取れた平日であった。もっとも、連休の直後だったので他の美術館は軒並み休みだったという理由もある。客の方も休館日だと思い込んでる人が多いせいか、非常に少なかった。それとものすごい強風の日だったので、余計な外出を避けたのかもしれない。
どれぐらい少なかったかというと、作品の前に一分間ぐらい張り付いていても問題がないほどだった。実際、何かブツブツ独り言を言いながら張り付いてる人がいた……
そんな風に他人を気にせずじっくり見られたせいもあるだろうが、いやー本当に自分はルドンが好きだなーと改めて感じた次第。もう何回もルドンの展覧会は行っているのだけど吸引力が違う!(^^)!
「光の横顔」は横顔を見せる女性がかぶっている頭巾(?)の布目の模様が、見ているとまるで指にその感触が伝わってくるようだ。何度も眺めてはその感触を味わう。
色彩の時代に入ってからのパステルでスフィンクスを描いた絵は、その背後にうっすらと柱廊が浮かび上がり、モヤモヤとした色彩が覆っている。このモヤモヤ部分が注視していると脳ミソに染み透ってくる気分だ。
そして、巨大な人の顔みたいな「花」が描かれた、大きめの(ルドンにしては)木炭画「沼の花」--なぜか非常に感動してしまった。ああ、ここまで強固な確信をもって存在しない異形のものを描けるのかと、そのあまりのキッパリとした力強さに思わず涙がにじんでしまうほどであったよ(T^T)
そして心から満足し、最後に常設展示のゴッホ「ひまわり」も拝観して会場も出たのであった。
いつもこの美術館で「ひまわり」を眺める度に思うのだが、左右に配置されたモネとセザンヌの絵はまるで、お寺で本尊の脇に置かれた一回り小さい菩薩像みたい。でもって、ひときわ威圧力のあるご本尊を引き立てているのであった。
こういう展示の仕方だと、つい手を合わせて拝みたくなるのは仕方ないだろう。
ただ、この日の問題は、高層ビルの42階にあるこの美術館全体がユラ~リユラ~リと揺れていたことだ。作品をかけてある壁(間仕切り?)は常にミシッミシッと音を立てているし……。強風のためだと思われるが、なんだか船酔いみたいで最初は少し気分が悪くなってしまった。(しばらくしたら慣れたが)
でも高層ビルでも古いせいだからか? だって、今どきの高層マンションの最上階で強風の度にこんなに揺れてたら、日常的に住んでいられないよ。
というわけで、感動と恐怖を味わえた展覧会だった。
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