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2013年5月26日 (日)

ラ・フォンテヴェルデ第17回定期演奏会:モンテヴェルディの燃え上がる情念を聞いたか

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クラウディオ・モンテヴェルディ マドリガーレ集全曲演奏シリーズ”Prologo”
会場:ハクジュホール
2013年5月17日

これから時代順にモンテヴェルディのマドリガーレ全曲を演奏していくという計画のラ・フォンテヴェルデ、第一回は序章としてまず口慣らし(耳慣らし?)というわけでもないだろうが、作者の没後に出た曲集を含めた全九巻の中からベストアルバム風の選曲で行われた。

共演は上尾(1人目のナオキ)直毅と鈴木(美登里の夫)秀美である。もっとも、初期の曲はアカペラばかりだったので、二人はステージを出たり入ったり。
歌詞の訳がステージの上方に字幕で出るので、ゴソゴソとプログラムを見たりせずに済み、ありがたいこってす(*^_^*)

ベスト選曲なので曲調も様々。羊飼いとその恋人がバカップル(いつの世もいるんですなあ)丸出しでイチャイチャするデュエット曲「素敵な羊飼いさん」。星川美保子のブリッコ風演技が笑わせてくれた(後方席のオバサマ方からは「かわいい」の声も)。
かと思えばジェズアルドもかくやというような不協和音あふるる合唱曲もある。「残酷なアマリッリよ」では「残酷」の”Cruda”が繰り返され、Cの発音が尖った石のように突き刺さるのであった。

歌い手ものって来たのか、特に後半の終盤「いとも甘美なナイチンゲール」あたりからものすごい集中力で歌い続け、最後の「西風が戻り」に至るまで歌手は5~6人しかいないのに、会場全体を圧倒した。そのクライマックスでは、モンテヴェルディが作品にこめた情念がミシッと凝縮されているようであった。これこそ「声」の威力だろうか。

それが可能だったのもこのメンバーだからこそと言える。恐らく、今日本で聴ける最高のモンテヴェルディと書いても過大評価ではないだろう。オペラ歌手などでもっと巧い人がいるのかもしれないが、その人たちが6人集まってもこのようには歌えまい。(←あくまでトーシロの感想です)
主催者の鈴木美登里女史の果敢な取り組みに頭を下げたい。

それにしても、モンテヴェルディって「薄情な女に恨みつらみをグチる」歌ばかりだねー。そういう性格なのか、それとも当時の歌曲の定番なのか。

会場の後方部分だけなぜか若い学生風の人がいっぱい(それ以外の座席との差が目立つ)。終演後には立ち上がりもせず、懸命にアンケート用紙に書き込んでいる姿が……メンバーの誰かが教えてる学生たちなのか? もしかして出さないと赤点とか(^_^;


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後ろ2列は学生席です。

投稿: 合唱人 | 2013年6月 3日 (月) 23時29分

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