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2013年5月10日 (金)

「ヒッチコック」:ヒッチ先生、ヘンタイ……じゃなくて、大変だあ~

130510
監督:サーシャ・ガヴァシ
出演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン
米国2012年

『サイコ』製作時のヒッチコックを描く--しかも主役がアンソニー・ホプキンスで、妻役がヘレン・ミレンと来れば嫌でも期待してしまうではないですかっ(!o!)
しかも、冒頭は『サイコ』のモデルとなったエド・ゲインが登場。それを横目に往年の名TVシリーズ『ヒッチコック劇場』さながら紹介するヒッチ先生。おーい、吹替えに熊倉一雄呼んでくれ~。

かように調子よく始まる。映画で描かれるのは『北北西』はヒットした直後、その前作の『めまい』は失敗作とされていて、『サイコ』製作を思いつくが資金を出してもらえない。
当時は検閲もあって大変だ。トイレを画面に出しちゃいけないなんてこともあったんだと、当時の事情もわかったりもする。
しかも同じ映画畑の出身で、陰から彼を支えてきた妻アルマとも夫婦仲がうまく行かなくなってきたのであった--。

こう書くとなかなか面白そうだが、実際にはテンポがゆっくりで悠揚たる進み具合の上に、メリハリがなくてやや退屈な印象を免れない。私の隣に座っていた女の子は終始ウツラウツラしていた。

さらに納得いかないのは、ヒッチ先生がエド・ゲインに憧れ同一化していたという設定。えー、どう見たってそんなのありえないでしょう。違和感ありまくりだ。

そして雨降って地固まる。全てのトラブルが消え去った後、夫婦の絆はより強まりしみじみとした感動のラストを迎えるのであった。

ま、マジですか\(◎o◎)/!
よりによって『サイコ』出して感動だって
ヒッチコックったらどうしたって「変態」を期待しちゃうでしょう。それなのに、ここには「変態」の「へ」の字もないのであった。なんたることかこんな健全な映画だったなんて。金返せ(*`ε´*)ノ☆
これを見て、同じく老夫婦を描いたM・ハネケの『愛 アムール』がいかにイヤミであったかつくづく思い知ったのであった。

せめて、有名なシャワールーム・マーダーの撮影がうまく行かないって時に、アルマがナイフを手に「私がお手本を見せるわよ」とグサグサやる--てなドロドロな展開にしてくれればよかったのに。まあ、今どきのハリウッド映画にヘンタイなんて期待しちゃいけなかったってことか。
監督は誰かと思ったら『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』の人だった。フィクション作品まで感動路線であったか。パロディっぽい部分も中途半端な出し方である。

A・ホプキンスのメイクはいささかやり過ぎの感あり。なんだか着ぐるみっぽい。助演陣も豪華だが、ジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソン(車を運転している時の不可解な表情を完コピ)と秘書のトニ・コレットが光っていた。


変態度:4点
ゴシップ度:3点

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 今日も朝から、何だかんだでバタバタしています。こんな時には、以外に落ち着いて観れるこちらの作品は良かったですよ。 【題名】 ヒッチコック 【製作年】 2012年 【製作 [続きを読む]

受信: 2013年5月19日 (日) 19時12分

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