「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」:愛がなくても啓蒙できます
監督:ニコライ・アーセル
出演:マッツ・ミケルセン
デンマーク2012年
マッツ・ミケルセン祭り第2弾となった本作、18世紀啓蒙時代を舞台にした正統派宮廷コスチューム・プレイである。
英国王の妹がデンマーク王へお嫁入り。がしかし「私は王妃になるのだわン」と胸をドキドキさせていた若い娘の幻想は一日にして打ち砕かれるのであった(;_;)/~~~
若い王の行動は奇矯だし、義母(前国王の後妻)は姑=鬼一万匹のコワさである。そんな立場に不満はくすぶり、国王の侍医と不倫し、子どもまでできちゃうのであった。
よく、不倫が出てくるドラマを見てると「こんな男となんで危険を冒してまで……」とか思っちゃうことは度々あれど、今回のお相手は天下のマツミケである。「不倫相手としては文句なしですよ、奥さ~ん(>O<)」なのである
ただし、当時の最新鋭政治思想である啓蒙主義が絡んで来るのが、単なる不倫ものとは違う。侍医と王妃はともに信奉者であり、同志として国王を動かして(悪く言えば、操って)旧弊な体制を変えようとするのであった。一方で反対勢力も動き出す。
顧みれば、精神不安定な王の遊び相手としてブロマンスを楽しんでいた侍医が、最初は知性無き女として無視していた王妃が実はそうではないことを知って、「男同士の絆」から飛び出していく。そんな要素が背景に秘められているのであった。
とはいえ、下働きの黒人の男の子がてっきり不倫発覚のきっかけになるのかと思って、ドキドキしていたら全く別の形で出てきたのははしごを外された気分。なんだよ。
それに137分というのはあまりに長過ぎ。ダラダラと展開もなく、途中で「さっさと話を進めてくれ~」と思う場面が続く。見ていて緊張感が失せてしまった。
終盤は悲惨な展開となり、またも「私のマツミケをいぢめないでー(TOT)」と思わず叫ぶファン多数であろう でも、ラストはちょっと救いがあってヨカッタ。
見終わって一番哀れなのは国王だと思えた。今だったら発達障害とされるだろうか? 彼は父と母が欲しかっただけなのに結局裏切られたんだよねえ。
とはいえ、自国の王室の「恥」な歴史を堂々と明らかにする姿勢にはビックリ。日本でもぜひ大正天皇あたりを……無理ですね(@_@;)
ヒロイン役のアリシア・ヴィキャンデルは若くて健康そう。新人だそうで今後の活躍に期待である。彼女がフォルテピアノを弾く場面や、バロック劇場も登場する。他にも舞踏会の場面にヘンデルやヴィヴァルディが流れたりして音楽的にも文句なしであった。衣装や背景も美しくて絵画のようであるよ。
不倫度:8点
啓蒙度:5点
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コメント
北欧らしい冷たい空気と新人二人(演技めちゃウマ)がさわやかで、コスチュームものとしてはとても新鮮味がありますね。全体的な印象がドロドロしたものになってないのが気に入りました。
王妃役のハスキー・ヴォイス、アリシアちゃんは、例の『アンナ・カレーニナ』にキティ役で出演して、キーラちゃんとは異なる初々しい魅力を発散していましたよ!コスチュームの似合う顔立ちだけど、現代ものにも出演してもらいたい、と思わせる女優ですね。
投稿: レイネ | 2013年7月21日 (日) 18時22分
『アンナ~』は遂に見る時間がないままになってしまいました。
王様役の人も現代ドラマで見てみたいもんです。
投稿: さわやか革命 | 2013年7月21日 (日) 21時37分