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2013年8月 4日 (日)

「L.A. ギャング ストーリー」:本の表紙で中身を判断することはできない

130804
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ジョシュ・ブローリン
米国2012年

B級ノワール風の本作、結論から先に言っちゃおう。
「B級」と「粗雑」は違う!

確かに予告や広告を見れば、1930年代から40年代のLAを仕切るギャングのボスと、殺人免許証を得た(かどうかは知らない)覆面捜査官との銃弾飛び交う流血必至な闘いの予感である。

しかし、始まってみるとなんか違和感が。冒頭からしてバカバカしさが炸裂するのであった。悪の大ボスのコーエンがまるで教育映画に出てくる「悪いヤツ」の見本みたいなのである。

また、首やら手やらブッタ切られる場面が幾つも登場する割には、この手の映画に欠かせぬエロいネーチャンが出現することもなく、性的には極めて健全なのであった。
え、なに(^^?)エマ・ストーン扮するボスの愛人がそうだろうって? 彼女のどこがファム・ファタールなんですか エロくもないし、思わせぶりだが彼女の過去の事情とか少しも全く語られないし、ライアン・ゴズリングの警官を翻弄するというわけでもなし。
グロはあってもエロはなしっ 大人向け作品とは到底思えませぬっ<(`^´)>

登場人物全員、悪いヤツは悪人だし、善いヤツは善人だし、何の葛藤も存在しない。個々の人物の心理描写もなし。「教育映画」たる所以である。

銃撃戦は派手で弾丸の数は多いけど、その割にはハラハラしなくて単調だ。ムダ弾は費やすは男の恥と断言しておこう。

これだけ俳優のメンツを揃えて勿体ない。ニック・ノルティの本部長なんてただ出てくるだけだもんなあ。登場人物の差異は「若い奴」「年取った奴」「伊達男」ぐらいで、それ以外には役者の「顏」しかないのである。
ショーン・ペンの悪役ぶりは特筆すべきものではあるが、この脚本では「どーしようもなく悪い」を極端まで大袈裟に演じるしかないだろう。ご苦労さんです。
これなら描いてる時代はも少し古いが、TVシリーズの『ボードウォーク・エンパイア』(スコセッシが総指揮)の方が断然迫力がある。

表紙はノワール系犯罪アクション。しかし読んでみたら本文は道徳の教科書(ただし挿絵はグロい)であった。だましたな~っ(*`ε´*)ノ☆

ところで、実話を元にしてるそうだが警官たちは覆面もせずに顔をモロに出して暴れまくってたのか? あれじゃ正体がすぐにばれると思うんだが……(?_?)


エロ度:3点
銃撃戦:4点


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