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2013年8月18日 (日)

「上野千鶴子〈おんな〉の思想」

130818
私たちは、あなたを忘れない
著者:上野千鶴子
集英社インターナショナル2013年

20世紀のフェミニズム思想を象徴するような著作と著者を紹介するというもの。第一部では日本編で5人、第二部は海外篇で6人を取り上げている。

日本編では森崎和江、田中美津などを、単なる紹介というより上野千鶴子自身の個人的な体験や回想と共に語っていて、やや感傷的とも感じられる部分もある。サブタイトルの「私たちは、あなたを忘れない」はこちらの方のふさわしいものだろう。

その中で興味深かったのは石牟礼道子の章だ。私もまた『苦界浄土』を聞き書きのノンフィクションだとてっきり思い込んでいたのだが、それは違った(!o!) 「聞き書き」と思われる部分は、水俣病患者に憑依した「口寄せのいたこ」のようになって、どこにもない言葉を語っていたというのである。正直ヤラレタ~である。
そして石牟礼の高群逸枝への傾倒から、両者に共通する資質を浮かび上がらせるのであった。
そういうことであったのかと、目からウロコがポトリと落ちた印象である。

第二部はフーコー、セジウィック、バトラーなど。こちらは「解題編」とでもいうべきものか。ジェンダー、オリエンタリズム、ホモソーシャル……転回点となる概念と著作を紹介する。
あとがきに「本書を読んだだけで、原書を読んだつもりにならないでほしい」とあるが、かつてセジウィックの『男同士の絆』の邦訳が出た時に、平積みになっていたこの本を手に取って開き、30秒後に「こりゃ、ダメだ(@_@;)」と逃走した私には、到底無理のようである。
しかし、フェミニズムの思想とはなんなのよな初心者にもオススメできるのではないかと思った。

最近の上野千鶴子はツイッターで何か一言つぶやけば、非難轟々というのを繰り返しているようだ(もっとも、ご本人はその非難を全く見てないとか)。だが、その非難をした人々の他の意見を見ると結局彼女と同じような発言をしている。一体なんなのだ(?_?)

この本の中にも「フェミニズム業界」なんて言葉が無造作に書かれているではないか。これが古式ゆかしい紙メディアでよかったネ(^_^)b ツイッターの発言だったら「いつからフェミニズムは業界になったのだ。フェミニズム業界なんてことを口走る人間は他に何をしてようと絶対信じない!」などと言われたに違いないだろう。

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