「選挙2」:子どもにツケを回さない!!
前作の『選挙』は短縮版の方をテレビ放映で見た。
その時は自民党公認候補として市議選に立候補して当選した山内氏が、今度は無所属でしかもほとんど選挙運動せずに再び出馬したのであった。
折しも、2011年4月、大震災直後である--というか、震災の政情を見て怒り(?)に駆られたらしい。
とはいえ、活動といったらポスター貼りとハガキを出すぐらい。ほとんどなし。従って監督のカメラは他の候補に向けられていくのであった。
カメラに向かって選挙の不合理を訴える候補者いれば、撮影拒否する者もいる。その際に「個人情報だから」と抗議してきたのには驚いた。だったら、所属政党も政策も顔や名前も隠して立候補すればいいのにさ。(ここは笑うところなのか?)
というわけで、これまでの作品の例になく監督本人の顏(直接映るわけではないが)や行動が表面に出て来ている。加えて、先日の総選挙の前になんとか公開しようと決めたというし。ネットの感想で指摘してた人がいたが、確かにこれまではフレデリック・ワイズマン(ナレーションや音楽を加えない)を目指していたのが、いきなり対極のマイケル・ムーアに行っちゃったみたいでもある。
もっとも、山内家の小さい息子を延々撮ってる(両親がハガキを書いてる脇でむずかるトコとか)は従来の想田テイストであるな。
選挙だけでなく、その背景である震災直後の東京近辺のドヨーンとした雰囲気もよくとらえられている(見ていて当時の気分を思い出した)。
それだけにラストの防護服を着た山内氏のただ一回の演説は、聞いている人がほとんどいないけど極めて印象的だろう。投げやりな熱気とでもいおうか。
ワイズマン度:7点
ムーア度:7点
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