構成・演出:宮城聡
会場:静岡芸術劇場
2013年9月7・8日
新幹線に乗って来ちゃいましたぁ~(≧▽≦*)東静岡です
チケット発売当時は行こうかどうか迷ってやめたけど、やっぱりチラシの「歌手と俳優がその存在意義を賭けて激突! オペラというジャンルが地上に生まれた瞬間の興奮を、いま体験する!」という惹句にノセられて、一週間前にチケット買っちゃったんですう。それに昨年の北とぴあで宮城聡が演出した「病は気から」は面白かったし。
行くならさっさと決めとけって話ですよね(^^ゞ
会場はきれいな中型円形状ホール。新しくてピカピカしている。静岡県、お金持ちなのかしらん。
一階席はほぼ完売。ゲットできたのは二階席だった。ステージの上に三台の巨大な移動式の檻(?)というか天井のついた台車みたいなものが設置されていて、開演前からそのうちの一台の屋根の上でジャージを着た男が、小型のモニターでアクション映画だかドラマを見ている。
やがて医者の一団が現れ、白い布に包まれた何者かを手術したり治療している。一体これは何なのだろうかと思ったが、どうも(後で思いついたのだが)男が見ている医療ドラマを表わしているようだ。
手術が終わって布から現れたのはなぜかサルのぬいぐるみであった。そのサルがオルフェオに変身する。一方、エウリディーチェは男がふくらませたダッチワイフである。つまり、この物語自体がジャージ男の空想ということを意味しているらしい。しかし、サルとダッチワイフって……(@_@;)
弦楽器とリコーダー、パーカッションは三人ずつ台車に乗って演奏を開始。その三台の位置はずれているので、コンミスのキャサリン・マッキントッシュは全員を見ることはできない。
通奏低音、鍵盤はそれとは離れた舞台の端に設置してあり、指揮はチェンバロの戸﨑廣乃担当しているよう。しかし台車との間に役者や歌手が行き来するので、演奏者たちはかなりやりにくいんじゃないかと心配してしまう。
オルフェオが登場してからの舞台の設定は東南アジアの仏教国風(?)である。
実はこの公演の出演者には静岡児童合唱団がクレジットされていて(所属団体の創立70周年記念公演を兼ねている)、一体「オルフェオ」のどこに子どもが登場できるんだろう、ハテ(^^?)と思っていたら、ニンフならぬ森の小妖精として登場したはナルホドと思った。羊飼いは森の中の仏像という趣向。全体的にほのぼのした雰囲気だ。
ただ、前半はそれ以外はオーソドックスな進行で目を引くような演出もなく、そのせいか私の隣のオバサンは爆睡していた。
面白くなったのは忘却の川の前での場面だった。渡し守と番犬を役者たちが演じ、オルフェオに色々と絡む。番犬たちが命じられて次々と出撃するが、彼の歌に撃破されて階段を情けなく転げ落ちていくのには笑ってしまった。
さすがオルフェオの歌の威力 もっとこういう場面があったらよかったのに~。
冥界の王とその妃はジャージ男が操る人形のように登場する。
その後、振り向いてしまってエウリディーチェを再び失った主人公は、なんと迷彩服を着た武装組織に勧誘されてしまう。組織のリーダーがアポロンで、やはりジャージ男が操っている。女たちを恨むオルフェオが竪琴を捨てて機関銃を握るに至るというのは、突飛な展開だが心情的には納得できるような気がした。
しかし、最後に彼を音楽の世界に呼び戻したのは小妖精の子どもたちであった--。
かように、演出には納得できる部分と、何やっているのか意図不明な部分の両方があって見ててかなり混乱した。
折角なんだからもっと役者の芝居との絡みを多くしてもよかったんじゃないかと思う。宮城聡にしてこれだから、やはりオペラの演出は難しいってことかね( -o-) sigh...
タイトルロールを歌ったのは辻康介。さすがこれまでにも何度も歌っているだけあって、磨きがかかって絶品であった。
これまで過去に、怒っているオルフェオ、ゴーマンかましたオルフェオ、途中で服脱いだオルフェオ……と幾つか見たが、今回初めてこの男を哀れに思った。それだけ説得力があったということだろう。こういう風に正式に歌劇の形式の中で聴くとなおさら心情的にしみるものがあった。
それ以外にはテノールの福島康晴という人、最近帰国したばかりだそうだが堂々としていてかつ明晰な歌声がかなりポイント高し。
それからカウンターテナーの太刀川昭は初期のBCJで歌っていて、ずっと海外で活動していると思ってたのだが、やはり帰国していたのね。カウンターテナーで「聞ける」人となると数少ないのでこれからも国内での活躍に期待大である。
その他のソリストには若干2名ばかり残念無念な人もいたようだ(と言ってもあくまでシロートの感想です)。児童合唱団はキチンと清冽な歌声を聞かせてくれた。ラストの手作り段ボール楽器は可愛かったぞ
器楽の方は文句なし。その後も奏者を乗せたまま台車が移動したりして大変だったとは思いますが……。
会場は芝居用のホールだと思うが楽器の音がクリアに聞き取れて良かった。特に、舞台の最前列で演奏してたキタローネ&バロックギターの佐藤亜紀子は、これまでも辻康介のユニットの時と同様、いやそれ以上に雄弁であった。人物の心情にぴったりと寄り添い……聴き入っちゃったですよ
太田光子&浅井愛のリコーダーも牧歌的雰囲気たっぷりだった。
果たして、新幹線に乗って行っただけの価値はあったのか(?_?)……不明。
数年前、劇場に隣接する合同ホールで仕事関係の研修会があって、来たことがあったのだがその時は周囲に何もなかった。しかし、現在は企業のビルやら高層マンションなども建ち、なんとコンビニもできてるではないか(!o!) 驚いた~。
さて、以前何かのコンサートに来てた客で「どうもこの人よく見かけたことあるなあ。でも、ステージ上で見かけたような……(ーー゛)ウーム」という男性がいた。で、その人は静岡のこのコンサートにもやはり来ていたのである。でも「ウムムどこかで見たんだが」とずーっと思い出せず、家に帰りついてからようやく思い出した\(◎o◎)/!
ジョングルール・ボン・ミュジシャンの近藤氏だったのである。いやー、バグパイプ持ってなくてフツーの服装してると全く気づかんですよ(^◇^;ナハハ