「ひろしま 石内都・遺されたものたち」:失われた人々
石内都の『ひろしま』は写真集で見た。原爆で亡くなった人々の遺品を撮った作品集である。被曝した時に来ていた身に付けていた服や所持品もあれば、後から遺族が遺品を寄贈したものもある。
この映画はその写真展をカナダの博物館で行うことになり、準備をする石内の姿や展覧会に来た人々の感想を収めたドキュメンタリーである。
見に来た人はカナダ人だけでなく、他国の観光客もいる。修学旅行中の日本の高校生も偶然に来ていた。日系人で実際に被曝した人も地元に住んでいる。みな様々な感想を語る。
良作ではあるが、写真自体のインパクトを超えるものは感じられなかったように思う。これでは「紹介」の域を出ないような--。折角ドキュメンタリー映画を作るんならもっと鋭く迫るものが欲しい。これでは写真集見てた方がいいことになってしまう。
前半に会場となった博物館が紹介されていた。先住民の巨大なトーテムを収めるために、天井をわざと高く作ったそうである。
そのトーテムの一番上はワタリガラスの頭部で、なんとクチバシに太陽をくわえているのだという。しかもワタリガラスは神ではなくトリックスターなんだとか。面白い 民族の想像力に感心してしまった。
写真度:8点
ドキュメンタリー映画度:6点
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