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2013年10月26日 (土)

「ローザ・ルクセンブルグ」:革命の人、書斎の人、中道の人

監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
出演:バルバラ・スコヴァ
西ドイツ1985年

岩波ホールの総支配人高野悦子の追悼上映の一本。最初の日本公開は1987年である。
もっともこれが選ばれた理由には、次の公開作品が同じ監督+女優による『ハンナ・アーレント』が控えているからのようだ。

映画は思想犯として獄中にいるローザの回想から始まる。ポーランド出身である彼女が革命を志してドイツに移り住み本格的に社会主義活動を開始--これが19世紀もドンジリの頃の話である。
その後は複数の時系列が錯綜し、どの時点を見ているのか分からなくなる。ローザの人物像やドイツ近代史について知識のある人ならいいだろうが、登場人物も多いし激しく混乱してしまった((+_+))トホホ

党内急進派として中道派を激越に批判したりや労働者層を相手に語る場面など、演説のうまさがよく表現されていた。主演のバルバラ・スコヴァがカンヌで受賞しただけはあるだろう。
その一方で、一貫してパートナーであったレオの浮気騒動や、子どもを作りたいと望んだ時に母親と思想活動の両立は無理だと諭されるエピソードなど、私生活も描かれる。女同士の友情が強調されているのも女性監督ならではというところか。

しかし仲間から「書斎派」と評されたのを証明するように、多くは書斎(或いは刑務所)で思索する姿の描写に費やされている。
中年になったローザは猫を溺愛し、刑務所ではガーデニングに没頭する。独立した女を支えるのは、男無用の猫と植物しかないのであろうか。(「年下の男」もいるけどね……)

そして、第一次世界大戦へ転がりゆくドイツの変転--このあたりは何やら現在の日本の世情に似ていて、見ているとめまいがしてしまった。「戦争が始まったからには協力しなければならぬ」と、どの党も挙国一致体制になる。
なるほど「オリンピックを開催すると決まったからには協力せねばならぬ」と同じですなあ\(^o^)/

ドイツ敗戦後に釈放されて、党は強硬路線となり革命を求めて暴動を起こすが(映画ではローザはこれに関与してなかったように描かれている)、ここら辺はかなり端折ったような描き方でやはり基本知識がないと何がどうなっているのかよく理解できなかった。

虐殺による死に至るまで、伝記としては分かりにくいが、一貫して思索する女の姿が印象に残る映画だったと言えよう。あ、ネコも可愛かったですよ(=^・^=)


ネコ:9点
年下の男:5点

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