「ランナウェイ/逃亡者」:後ろを向いては走れない
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロバート・レッドフォード
米国2012年
今では~他人と呼ばれるふたりに~決して譲れぬ生き方が~あった~♪
しまった(~_~;)また大貫妙子歌っちゃった。
でもまあ、この一節がピッタリな映画なんである。えっ、「ランナウェイ」なんていうからにはハラドキの逃亡サスペンスじゃないのかって 全然違ーう! 邦題付けた責任者出て来い(*`ε´*)ノ☆
学生運動反戦運動さかんな頃の60年代末に、銀行襲撃&殺人事件を起こした過激派組織のメンバーが30年経ってから逮捕。そして他の指名手配メンバーの存在が……というわけで、レッドフォード扮する弁護士が子連れで逃走する。さて、その行先は?
逃走といっても銃撃戦なんかは一切ありませんのであしからず。そこで出てくるのが原題にもあるかつての仲間の繋がりをたどることなのであった。
小学生の娘とレッドフォードという設定だが、どうやっても孫と祖父にしか見えず、顔のアップになるたびに「歳取ったな」感が浮かぶ。それは脇を固めるスーザン・サランドン、ブレンダン・グリーソン、クリス・クーパー、サム・エリオット、リチャード・ジェンキンスなどそうそうたるベテラン俳優たちに対しても同じだ。それが、そのまま物語の「かつては理想に燃えた若者たちが今は……(>_<)」という感慨と重なるという次第である。
そこに現われるは若い記者で、こいつがめっぽう頭の回転が速くてFBIは後塵を拝すのみ--って、レッドフォードはアンチFBIなのか、無能に描かれているようだ。
記者は過去の秘密を暴露する記事を書こうとするが「目的のために手段を正当化できるのか」と問われる。それはかつての過激派の若者たちの行為と同じであるということの暗示でもある。
過去を振り返るのはニュース映像と新聞記事だけで、似た感じの若い俳優使って安易に回想シーンを入れたりしなかったのはよかった。
ただ、後半の展開にやや無理があるのが難。子どもを置いて逃走した理由があるというのは納得できないし(普通、子どもは連れて行かないだろう)、ミミが最後に翻意した理由も不明である。ひとたび革命を志したのなら、最後まで血みどろの道を全うしてほしいもんである。
いずれにしろ、こういう題材を正攻法に社会派ドラマとして作って認められるのは、レッドフォードが最後の一人かも知れない。
実在の組織と事件をモデルにしているということで、TVの「ロー&オーダー」でも同じようなエピソードがあった。もっとも、こちらの方はドロドロした人間関係が露呈する(「革命家気取りの女たらしが……」みたいな調子)後味悪い話だった。
S・サランドンとジュリー・クリスティの女優陣が毅然としたイメージを出していた。さすが女優さんだけあって、顔のシワも勲章に見えます。
ビックリしたのはニック・ノルティ、かなり太ってて声もガラガラで最初誰かと思っちゃった。撮影時期にそんな差がないと思われる『L.A. ギャング ストーリー』ではスッキリ痩せてたのに、こりゃ如何(?_?)
若手は記者役のシャイア・ラブーフ、これまでは童顔のせいもあって「小僧」感がぬぐえなかったが、ようやく「若造」に昇格 ヨカッタね(^^)
主人公の孫……じゃなくて娘役のジャッキー・エヴァンコはあちらのオーディション番組で歌ってかなりの高評価だった新人だそうな。確かにカワイイ&超美人娘だが、達者過ぎて逆に引いちゃうところもあり。
さて、途中で石内都の展覧会が出てきたのには驚いた。カナダでロケしたようなので、恐らく『ひろしま』の展示会場を借りたのだろう。
かつての仲間だった大学教授が、今の学生に過去の学生運動の話を講義してもその時は拍手して、フェイスブックに感想を書いて終わりだ--というようなことを愚痴る。すると、主人公がヒロシマの被害者の遺品の写真を眺めながら、過去を物語ることは良いことだ(語ってくれて)ありがとう、と返事するのである。
老人度:8点
若手度:4点
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