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2013年12月 9日 (月)

「恋するリベラーチェ」:クローゼットの後ろで

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監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス、マット・デイモン
米国2013年

リベラーチェは実在のピアニストで、ド派手な衣装とパフォーマンスで人気だったらしい。アカデミー賞授賞式で演奏するエピソードが出てくるほどなので、当時その音楽を耳にした事ぐらいはあるはずと思うのだが、全く記憶にない。多分、完全に私の音楽的守備範囲から外れていたのだろう。

彼は隠れゲイで、その豪華な邸宅には若い男を住まわせていた。その男の回想記が原作である。
--というと、なんたる三面記事話、安手の芸能ニュースネタだろうか。しかし監督がソダーバーグでリベラーチェがマイケル・ダグラス、青年がマット・デイモンという豪華組み合わせとなると、見に行かずばなるまいよ。
そして、見に行った価値はあった(*^^)v

M・ダグラスのおネエ芸満開\(^o^)/ もう一目見て一言喋ったのを聞けば、すべて了解状態になれます。
対するにマット・デイモンは、登場時はツルツルピカピカしていて(おまけにワキ毛付き)ゲイ雑誌の表紙に直行できる若者を体現。彼だってもういい歳なはずだから、こりゃ大したもんだ。

彼はお世話係も兼ねて尽くし、望みに応じて整形までする。しかし、ゲイの花の命は短くて……7年経てばいつしかリベラーチェの視線は別の若い男へ(+o+)

後半は二人の痴話喧嘩話が長々と続くので恋愛ものの類が苦手な私はちょっと辟易したが、ラストはしみじみと感動できたのですべてよしである。
それと、画面に横溢するキンキラリ~~ンとしたゲイテイストに圧倒されるのは請け合いだろう。
ただ、物語の基調は多情な中年男に翻弄された若者--みたいになっているが、実際には片方は亡くなっているので死人に口なしで、事実はどうだか分からないという意見も見かけた。

この作品は米国の映画館で上映しようとしたらしいが、内容が内容だけに公開できずTV放映となった。今年のエミー賞では幾つか受賞。もしロードショー公開されていれば少なくともダグラスとデイモンはアカデミー賞候補の下馬評に上がっていたのは間違いない。
ハリウッド映画は穏当化、過激な内容はTVでという流れ(この作品も同様)は変わっていないようだ。
なお、同じくHBO製作でやはりエミー賞にノミネート作になんとフィル・スペクターの伝記映画があった。こちらはD・マメット監督でヘレン・ミレン出演。こっちも見たいぞ。公開お願いしまーす(^人^)

音楽担当はお懐かしやマーヴィン・ハムリッシュ。これが遺作となったらしい。そういや、彼の名前をしばらく耳にしていなかったなあと思ってチェックしたら、十数年間少なくとも映画方面では仕事してなかったようだ。

ところで、同じような境遇のミュージシャンがいたなあと、もう少し後の時代のエルトン・ジョンを思い浮かべた。彼は身体的コンプレックス(チビ・ハゲ・デブ)を抱えつつも、天分を発揮し飛ぶ鳥を落とす勢いの大人気を博したが、ゲイであることはなかなか公表できなかった。公然の秘密状態でみんな知っていたにもかかわらずである。若い女性歌手を「婚約者」とし、彼女とデュエット曲を出すなどしていた。
やはり当時の状況では難しかったのだろう。現在でもスポーツ選手は厳しい状況とのことだ。


おネエサマ度:10点
痴話喧嘩点:5点

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