チェルフィッチュ「現在地」:目覚めよと、呼ばわる声があってもなくても
フェスティバル/トーキョー13
作・演出:岡田利規
会場:東京芸術劇場シアターイースト
2013年11月28日~12月8日
昔あれほど見た芝居も今ではすっかり新しい劇団を探す元気も減少して、ほとんど行かなくなってしまった。
従って、チェルフィッチュという劇団も初めてである。見ようと思ったのはこの作品が原発災害を題材にしているとのことからだった。
なんとも奇妙な芝居である。7人の女たちが登場して学校の教室のような机と椅子が並んでいる所に、バラバラに座る。物語に登場していないときも退場することなく、そのまま他の人物の演技を眺めている。
田舎の小さな町(村?)である夜、青い光を放つ雲が目撃される。それをめぐって町の住人の中に何かが広がっていく。
驚いたことに役者のセリフはほとんど棒読み状態である。しかもそのセリフ自体が何やら一昔前の翻訳小説のようで、回りくどくてとても話し言葉には思えない。しかも、必ず語尾に「……だわ」とか「わよ」を付ける。
役者の表情は曖昧かさもなくば無表情で、喋りながら身体はストレッチのような動作を緩慢に行うのだった。
同じ話題を話していても同じことを話しているわけではない。同じ方向を見ていても別のものを見ている。小さな共同体にぼんやりした亀裂が生じていく。それは修復不可能である。そのような状態を描いているように思えた。
そして複数の「事実」が生じて完全にバラバラになる。
そんな不穏な状況を示してみせた芝居であった。
もっとも、私はぼんやりしてて劇中劇がどこからどこまでかよく分からなかった。もしかして理解してない?(@_@;) とにかく面白くなろうとすることを拒否しているような作品だった。
この劇団は普段はもっとリアリティある芝居をやっているようだけど? 他のも見てみたくなった。
終演後はアフタートークあり。岡田利規と映像作家(名前失念)が登場した。二人とも震災後に九州へ移住したという。
初演は一年前だったが、その時は観客がもっとピリピリイライラしていたそうだ。今は冷静になっている。作品がよく受け止められているということで嬉しいが、一方で東京はどういう状態なのか?とも思う--とのこと。(内容は不正確です)
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