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2014年1月

2014年1月31日 (金)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 2月版

のんびりした1月もあっという間に終わり、2月はドトーの公演ラッシュです。

*1日(土)クラシカル・プレイヤーズ東京
バロックの王道なプログラムです。
*6日(木)ブクステフーデ:わたしたちのイエスの四肢(ラ・フォンテヴェルデ+ザ・ロイヤルコンソート)
あの名曲をどう料理してくれるのか楽しみよ
*7日(金)フランス音楽の彩を楽しむ 5
またもジョシュ・チータム氏登場でフランス・バロックを再び おおっ、名古屋ではソロ公演も!
*22日(土)ヘンデルその深遠な世界(有田夫妻)

他にはこんなのもあり。
*1日(土)ステッファーニ:2声のための記念カンタータ集(阿部早希子ほか)
*2日(日)ヘンデルオラトリオ「メサイア」シングイン
「合唱パートを客席で歌う参加型の演奏形式」とな? 金を払ってでも歌いたい人が大勢いるんですなー
*5日(水)バロックと語りで綴る「聖バレンタインの物語」(江崎浩司+伊藤一人)
昼公演もあり。
*18日(火)上野学園古楽器コレクションミュージアム・コンサート 7 バロック・チェロ
*23日(日)花ひらくメロディー(太田光子+平井み帆)
*26日(水)エマヌエル・バッハ、先駆者の軌跡(中村忠ほか)
今年は生誕300年だそうで。

「西洋館de古楽」が横浜でありますな。フライブルク・バロック・オーケストラも来日。

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2014年1月28日 (火)

「寺神戸亮が名手たちとともに贈るバッハ協奏曲名作選」:安定の美、奇矯の美

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演奏:寺神戸亮ほか
会場:紀尾井ホール
2014年1月23日

名は体を表す\(◎o◎)/! 長いタイトルながらまさにその通りの内容のコンサートであった。

その「名手たち」とはヴァイオリン佐藤泉、戸田薫、ヴィオラ朝吹園子、チェロ懸田貴嗣、ヴィオローネ西澤誠治、さらにフルート菅きよみに外国人勢チェンバロがチョー・ヨンソン(4月に寺神戸氏と二人でバッハを共演)である。

プログラムの中心はなんと言ってもヴァイオリン協奏曲の1番と2番。バッハ作品の中でも、録音は多いけど「ブランデン」や「管弦楽組曲」よりもナマで聞く機会が少ないので嬉しいことである。

そしてフルートが入って、ブランデンの5番と「フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲」だった。後者は「音楽の贈りもの」の付け合せ(?)的な扱いでCDに入ってたのを聞いたような……。解説を読むと、チェンバロ部分はバッハ先生担当だが、協奏曲の形に編曲したのは息子ではないかという。そうだったんだ
この二曲はフルートが入っているけど、実際はチェンバロが目立つ作品である。聞いてみると、チョー女史は衣装の派手さに反比例して結構地道なタイプではないかと思えた。いや、完全ソロ演奏なんかではどうなのか分かりませんが(^^ゞ

ヴァイオリン協奏曲となると、寺神戸氏の名人芸をひたすら堪能した演奏だった。もう文句なしで拝聴したという印象。周囲の客席からため息がもれる。
同時に思ったのは、特に2番は名曲ですね。バッハ先生、素晴らし過ぎです こう、なんか弦のダイナミズムがギュワワ~ンと迫ってくるのである。しかもそれが一種畸形に聴こえるほどにだ。これは同時代の他の作曲家作品では感じられないものだ。

かように楽しめたコンサートだったが、一方で刺激とか興奮の要素はあまり見つけられなかった。名人芸を同朋や後輩と共に聞かせるという趣旨だからないものねだりとは思うけど……。
いや、何も踊りながら弾くとかイタリア過激派みたいな演奏を求めているのではありませんよ(ーー;) 素晴らしい力量だからこそ、ガチンコ対決のような手に汗握るものを求めてしまうというところがあるのだ。これは聴く側のワガママでしょうかね。


ところで紀尾井ホールに来たのは久し振り。近くのカフェに入ったら、ノートパソコンを操りながらケータイで喋っているような、デキるビジネスマン・ウーマンだらけで焦ったですよ(@∀@;)
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←寺神戸氏コンマスの録音。十数年前のものだが素晴らしい。


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2014年1月26日 (日)

「少女は自転車にのって」:元気がなくても生きていけます(多分)

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監督:ハイファ・アル=マンスール
出演:ワアド・ムハンマド
サウジアラビア2012年

サウジアラビアというと親米国だからあまり話題にならないが、かなりイスラムの規律が厳しい国らしい。知人の女性が旅行した時、外国人でも顔と手以外は出せずチャドル(でいいのか?)をかぶっていたという。
さらに映画館が国内にないとのこと。もっとも市民はビデオで見ているらしいが……。

そんな国から女性監督が誕生\(◎o◎)/!
主人公は自転車が欲しくてたまらない10歳の女の子……なんていうと、同じイスラム圏のイラン映画などを連想してしまう。
活発な女の子の話から元気を貰おうと、年寄りの多い岩波ホールに行って見ましたよ。
しかし、監督が描きたかったのはどうも少女本人より、彼女の目を通した大人の社会の矛盾や困難のようだったのだ。

夫の訪問が遠のいているとやきもきする母親。どうも第二夫人を迎える予兆ではないかと恐れている。この国では女は自動車を運転できないので、通勤の足を確保するのも大変だ。(運転手を頼まれている男がこれまた横柄)
少女が通う学校の校長は外見はイケてる女であるが規律には厳格--だが、実は「男」がいるという噂。上級生たちは隠れてマニキュア塗ったり、さらには男と密会したり。見つかったら退学必至だ。

そんな不自由な世の中で、少女は生意気盛りで反抗する意欲満々、西欧産の「悪魔の音楽」を愛好する。世間じゃ女の子が乗って走るなんてはしたない自転車は、彼女にとって自由の象徴である。それを獲得するためなら苦手なコーランの暗誦も頑張っちゃう。

そのしたたかな行動力、幼なじみの少年を結構便利にこき使っている姿など--見ていて元気になると言いたいところだが、ラストシーンを除いては大人の世界のシビアさ狭量さがひしひしと伝わってくる映画なのであった。

よくイスラム社会の女性たちについて、ベールの下はばっちりお化粧してファッションもキメていて結構自由だ、というような言説を耳にするが、これを見ていると、なんか派手なマニキュア塗ったり化粧でもしなけりゃやってらんないという印象を受けた。これは私の偏見だろうかね(?_?)

もっとも、他国の文化や社会を批判するのは簡単である。
もしこれが日本が舞台で、派手なタトゥーを入れたいために金を稼ぐ鼻ピアスの小学生の女の子、なんて話だったらどうだろうか。やはり少女を応援するだろうか?などと自問してしまった。


元気度:5点
女はつらいよ度:9点


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2014年1月25日 (土)

「ブランカニエベス」:白雪姫の黒い夜

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監督:パブロ・ベルヘル
出演:マリベル・ベルドゥ、マカレナ・ガルシア
スペイン・フランス2012年

『アーティスト』同様、モノクロ&サイレントの新作。しかし、その内容は極めてダークである。

舞台は1920年代のスペインで闘牛士業界(?)で、ストーリーは「白雪姫」を下敷きにしている。
名闘牛士の娘が産まれた早々に母を亡くし、その後に来た継母にいぢめられ、殺されそうになる。記憶喪失状態になって逃げた先が、各地をドサ回りをする小人の闘牛士団という次第。

装丁やデザインに極めて凝った幻想小説系の書物を繰っているというイメージである。見ている間、モノクロでも(いや、モノクロゆえか?)あまりに「濃ゆい」ので息が詰まってくるような感覚にとらわれた。
この息詰まるような美意識に乗れない人間は映画内からはじかれてしまうことだろう。
しかも、予告では結構時間を割いていた女闘牛士の場面は、なかなか出て来ないで後半にだいぶ入ってから登場するのだった。それまでの「継子いじめ」の部分がかなり長くて、それだけでもイヤ~ン(+_+)な気分が横溢だ。

そのように全編濃密でダークなのに、結末はそっけなく観客がボーッとしていて体勢を立て直す前に終了してしまう。ただし皮肉で残酷で救い難い結末である。
あのラストの「涙」の意味については、見た人それぞれの解釈が分かれるだろう。

ただ、分からないのは継母の意図である。彼女は何をしたかったのか? 財産だけが目当てだったのかね。それだったら、マスコミに出たりしないはず。若さと美か?
自らが闘牛士になれない女として目指すのは、当然最高の闘牛士の妻になることであろう。最初の夫に飽きたら、次々と若い闘牛士をゲットしていくしかない。さもなくば雑誌(マスコミ、世間)の注目を維持するのは難しい。しかし、彼女はそうはしないのである。

ヒロイン役は子役と大きくなってからのマカレナ・ガルシア、共に美人です それ以外に注目はなんといっても雄鶏のレオ(でいいんだよね?)である。鳥類の演技としてはヒチコックの『鳥』以来の名演といっても過言ではあるまい。

【関連リンク】
《Music for a while》より「Blancanieves ケレンミとスタイルのよさで魅せる無声映画」


暗黒度:10点
後味度:6点


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2014年1月19日 (日)

「ゼロ・グラビティ」(3D吹替版):人のいない宇宙空間で泣いた時その声は聞こえるか

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監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
米国2013年

ご近所のシネコンのタダ券があるのだが、使わないうちに期限が迫ってきてしまった……というわけで、本当は3Dの字幕版を見たかったのだがそこではやってないので仕方なく吹替で見た。確かに字幕だと3D画面に集中できないことが多いからいいのだと自ら言い聞かせるしかなかったのだよ。

実際見てみると、これはスゴイ(!o!) 映像はド迫力である。やはり3Dで見てヨカッタと思った。宇宙空間で次から次へと困難が襲う。一難去ってまた一難。常にハラハラドキドキが続き、あまりのことにギャーッ(>O<)と叫びたくなる。
無重力の世界だから、慣性の力が止まることがなく、一旦飛ばされたり回転したりすると推進機関がなければ自分の力だけでは変えることはできない。非常に恐ろしい。見ているだけで身体に力が入って、上映時間は短いのに疲れて胃の腑が変になってしまった。

登場人物は宇宙を漂流しつつ生還を目指すヒロインともう一人の宇宙飛行士(G・クルーニー)だけだが、作り上げた映像とカメラワーク、感動のツボを心得たストーリーで引き込まれる。特撮を駆使した映像と、人生をしみじみ考えさせるようなヒロインの心情がうまくかみ合っている。
そして、邦題とは正反対の意味を示す原題がよく身に染みてくるラストに至るまで、よく出来ていた。映画賞を幾つも獲得し、オスカーの主要部門に多数ノミネートも納得である。

--と褒めてはみたが、ではこの映画が好きかというと、正直なところそうではない。確かによく出来ている。よく出来てはいるがね……ムムム(ーー;)である。
なんだか、ヒロインが涙を流すところなんぞ、感動する前にあざといと感じてしまった。スピーディーに展開するからあまり気にならないけど。

慣性の描写などは不正確だという指摘もあるようだが、私が気になったのはあんなに何度も宇宙船の外壁に激突して、よく宇宙服が破れたり装備が壊れたりしないものだということ。中の人間だって打撲やら骨折とかしそうである。
それから、宇宙空間でのトラブル描写というと『2001年宇宙の旅』が有名だが、あれとは正反対に常に動的で様々な音に満ちている。客観的に音を描写していると言ったらそれまでだが、基本的に通信と自分が接触している物体以外の音は聞こえないはずだ。
まあ、結局はどちらの描写が好きかという好みの問題に還元されるわけだが。

サンドラ・ブロックは『しあわせの隠れ場所』でオスカー獲得して、もう今後二度とノミネートはされることはあるまい、などという予想を覆して再度ノミネートされた。ほとんど一人芝居状態を乗り切り、確かに大したもんである。
それだけにやっぱり吹替えじゃなくて字幕版で本人のセリフを聞きたかった。彼女はちょっとかすれた特徴ある声なんだけど、声優さんはフツーにキレイな声だったんだよね。タダ券に惑わされず、3D字幕版を見に行けばよかったと後悔である。

ついでに、過去のSF映画の引用が多数あるもよう。そういうところもファンの評価が高くなる一因だろかね。


客観点:9点
主観点:5点


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2014年1月18日 (土)

「ナポリの光と影」:アンサンブルで聞き初め

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ナポリ楽派の巨匠A・スカルラッティとF・マンチーニの作品
演奏:向江昭雅ほか
会場:近江楽堂
2014年1月6日

今年初コンサートはリコーダーの向江昭雅を中心とした5人のアンサンブル。過去にほぼ同じ面子で録音を出している、ナポリ出身の二人の作曲家を取り上げるコンサートである。

スカルラッティの十二年後輩にあたるのがマンチーニで、副楽長の地位に甘んじつつも、宮廷楽長の座を目指す彼にとってはスカルラッティは功績ある先輩というより、立ちふさがる目の上のタンコブだったとのことだ。

そんな二人の協奏曲やソナタを交互に演奏した。明晰軽快なスカルラッティに対しマンチーニはやや落ち着いた生真面目な作風のように思えた。
新年にふさわしく歯切れよく息の合ったアンサンブルだった。近江楽堂の響きも心地よく満足でき、聴くことの喜びをヒシと感じたのである。

途中で一曲チェンバロ独奏(平井み帆)でスカルラッティの「フォリア」をやったが、これが他の作曲家のような熱狂的な舞曲という面影はみじんもなく、極めて技巧的でクールな作品になっていた。終わり方も唐突である。
なんとなく、当時彼が自らこれを弾くのを柱の影からマンチーニが覗いていて、思わず「ぐぬぬぬ……(*_*;」と歯ぎしりしている姿を妄想してしまった(^^ゞ


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2014年1月14日 (火)

「日本インターネット映画大賞外国映画部門」に投票

今年も投票します。(日本インターネット映画大賞ブログ

【作品賞投票ルール(抄)】
*選出作品は3作品以上10作品まで
*持ち点合計は30点以下。ただし投票本数が3本の場合は30点(10点×3作品)とする。
*1作品に投票できる最大は10点まで。

【作品賞】(3本以上10本まで)
塀の中のジュリアス・シーザー」 6点
愛、アムール」 5点
欲望のバージニア」 4点
コズモポリス」 3点
恋するリベラーチェ」 3点
ハンナ・アーレント」 3点
リンカーン」 2点
フォンターナ広場 イタリアの陰謀」 2点
「バックコーラスの歌姫たち」 1点
コールド・ウォー」 1点
【コメント】今年もあんまり本数見てないで選んじゃってすいませんm(__)m
これぞという一本がなかった年という印象である。「塀の中のジュリアス・シーザー」を見た時は、まさかこれをベストにするとは思ってもみなかった。虚々実々で、映画の本質的な面白さに迫る作品。CG使用するとかいうことと映画のマジックは全く関係ないのを改めて感じた。
「コズモポリス」も見た当時はいいと思わなかったが、あの不快さが却って記憶にとどまったのか。

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【監督賞】              作品名
[スティーヴン・ソダーバーグ] (「恋するリベラーチェ」)
【コメント】映画監督業卒業(?)記念で餞別代りに。このネタで正攻法に取り組んだところを評価したい。

【主演男優賞】
[ダニエル・デイ=ルイス] (「リンカーン」)
【コメント】ぶっちぎり\(◎o◎)/! スクリーンに「神」の顕現を見たですよ。

【主演女優賞】
[バルバラ・スコヴァ] (「ハンナ・アーレント」)
【コメント】こちらも実在の人物ではあるが、「引き」の演技に感心。

【助演男優賞】
[マット・デイモン] (「恋するリベラーチェ」)
【コメント】一応、主演でなくて「助演」と見なす。いやー、役者ってのは大したもんだとつくづく思った。

【助演女優賞】
[ジャネット・マクティア] (「アルバート氏の人生」「ハンナ・アーレント」)
【コメント】頼りがいのある女を演じさせたら今ナンバーワンか。

【ニューフェイスブレイク賞】
[スラージ・シャルマ] (「ライフ・オブ・パイ」)
【コメント】例年の通り、子役は除外。彼は映画初出演なのか? 堂々としたもんである。

【音楽賞】
「欲望のバージニア」
【コメント】サントラも愛聴しております。

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【私が選ぶ○×賞】

【最凶悪役賞】
[ガイ・ピアース] (「欲望のバージニア」)
【コメント】へ、ヘンタイだぁ~\(-o-)/

【最優秀悪女賞】
[エイミー・アダムス] (「ザ・マスター」)
【コメント】とにかくコワイです。

【最優秀脇役賞】
[歯が2本しかないばーさん(名前不明)] (「リアリティー」)
【コメント】存在感では群を抜いていたのは間違いない。

【最強モテ男賞】
[マッツ・ミケルセン] (「ロイヤル・アフェア」「偽りなき者」)
【コメント】女にはもちろん、男にもモテモテ それがマツミケなのである。

【オヤジ萌え映画賞】
「リンカーン」
【コメント】文句な~し

【最優秀動物賞】
[ニワトリ(名前はレオ?)] (「ブランカニエベス」
【コメント】(本鳥談)「ライフ・オブ・パイ」のトラなんかと比べられちゃ困るねえ。ありゃCGだよ。中身も何にもないペラペラ。オイラなんか本物なんだよ、本物。迫真の演技をよーく見て欲しいぜ。あ、でも最後の場面はもちろん代役だけどね。

【最凶邦題賞】
「欲望のバージニア」
【コメント】「欲望」にも「バージニア」にも関係ないから、あえてこう付けた--のかどうかは知らん。

【ちゃぶ台ひっくり返し賞】
L.A. ギャング ストーリー
【コメント】
この賞は、見終ってあまりの結末に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になる映画に与えられる栄光ある賞である。
選定理由は記事の方をを読んでもらえればわかると思うが、本当に「騙された」感が強い。

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この内容をWEBに転載することに同意する。
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なお、恒例として2ちゃんのベストを貼っておく。邦画と一緒のランキングである。

【ベスト】
1位 (1681点 118票) ゼロ・グラビティ
2位 (*995点 *78票) ジャンゴ 繋がれざる者
3位 (*944点 *78票) パシフィック・リム
4位 (903点 76票) ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
5位 (790点 54票) きっと、うまくいく
6位 (671点 47票) 横道世之介
7位 (641点 52票) 凶悪
8位 (638点 56票) 風立ちぬ
9位 (616点 53票) キャプテン・フィリップス
10位 (615点 50票) シュガー・ラッシュ

【ワースト】
1位 (-129点 35票) ダイ・ハード/ラスト・デイ
2位 (*-75点 23票) アフター・アース
3位 (*-67点 19票) マン・オブ・スティール

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2014年1月13日 (月)

「奇妙なマザーグースの話」:「不気味」も元気の素

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「怖い」「奇妙」な歌で元気になれる?
演奏:西山まりえ、波多野睦美
版画:山福朱実
会場:自由学園明日館講堂
2013年12月23日

クリスマス・シーズンになぜかマザーグース、それも変な歌怖い歌不気味な歌ばかり集めた、オトナ向けコンサートである。さらに山福朱実という女性版画家のオリジナル作をステージ上に投影、絵も音楽と一緒に共演だーヽ(^o^)丿

ただ、この会場のステージは狭く、ハープとヴァージナルと西山&波多野コンビが並ぶと映像とそこに重ねられた字幕が見にくくなってしまうのであった。そもそも、「この席からは見えません」とロープが張られた座席の区域が結構あった。字幕の色も薄くてド近眼にはチトつらい。
演奏にはマイクを使用しているのだから、もうちょっと配置を考えてもよかったのではないかと思ってしまった。

内容の方は残酷だったりナンセンスで、バカバカしく笑いがクスクスと客席がもれるような曲が多数。歌が入らず西山まりえの演奏だけでマザーグースの歌詞の字幕が入る場合もあれば、それをバックに波多野睦美が朗読することもあった。曲間の喋りも短くも的確に笑わせてくれた。
版画の絵もキモコワクてブキミタノシさが横溢である。

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休憩時間には山福グッズを買ったり実際の版画作品の展示を見ることができた(版画も買うのが可能)。
時間は正味1時間15分ぐらいだったが、充実していたといえよう。


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2014年1月11日 (土)

「009 RE:CYBORG」「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」

「009 RE:CYBORG」
監督:神山健治
日本2012年

「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」
総監督:黄瀬和哉
日本2013年

アニマックスでProduction I.G関連作品を連続放映していたので見た。

「009」の方は原作の最終章の続きという形なので(というのを見終わってから初めて知った)、読んでいない人間にとってはいささか訳ワカラン状態な所が多数あった。シナリオも粗雑な部分が目に付く。
そもそも前半のドバイで放置した事態と同じことを、なんで終盤では命がけで止めようとするのかおかしいじゃないの--てな感想をネットで見たが、そりゃそーだ(!o!)である。
しかも、メンバー全員そろう場面がないというのもかなり問題である。一部のメンバーについてはほとんど活躍せず……で、怒る人もいるだろう。

彼らのオモテ家業が何かについては、当時の世相や社会状況を反映する設定がこれまでされてきたと思う。私が小学生の時に見た劇場版アニメでは、009がカーレーサーで003はバレリーナであった。
ところが、今や009は友達いないひきこもり系でテロを夢想する高校生になっている 002はCIAのエージェントらしいけど、003にいたっては何をしているか不明である。(ギルモア博士の秘書?)

加えて、009と003の「オトナの関係」な描写がいきなり出て来てこりゃ驚いた。彼女は001お守り要員から解放されたと思ったら、セクシー部門を一人で担当しているようだ。確かに、001を抱いていたら他の男とイチャイチャもできないのである。

さて、この物語のもう一つ問題ありなのは、「攻殻機動隊ARISE」と重大なネタがかぶっていることである。公開日の差は半年ぐらいしかないというのにだ。ネタバレになるから書かないけど、よほどこの設定が好きなのか?それともネタが尽きているのか?はてどちらざんしょ(?_?)

川井憲次の音楽はいささか大仰な印象だった。


「攻殻機動隊ARISE」はこれまでの「攻殻」の前日譚とのこと。二週間ぐらいの限定ロードショーで、ディスクはブルーレイでしか出さないという一見さんお断りな強硬路線な公開(^_^;)だったので、今回ようやく見ることができた。
しかし時間が60分強ではちょっと中途半端な長さだ。複雑なストーリーを描くには短いし、ワンアイデアでは間が持たん。シリーズとして連続して作っていくらしいから、いいと思って自分を納得させるしかない。

新たに声優も一新、この回では素子誕生の謎が解き明かされる。なるほどそうだったのかと頷く人あれば、そんなんありかといぶかしむ人もいるだろう。
この世界の設定を説明し直しているような部分もあり、その点では初心者にもオススメできる作品となっております(^^)

音楽はコーネリアスが担当している。これまでのシリーズの川井憲次とも菅野よう子とも全く異なるもので、サウンドエフェクトだか音楽だか区別がつかないスレスレの所を行っている。これは素晴らしい

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2014年1月 4日 (土)

「ヴェラ・ミラーニ、ラ・ディヴィナ・アルモニア」:巨匠でクリスマス

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イタリア・バロックのクリスマス
会場:津田ホール
2013年12月16日

鍵盤奏者のロレンツォ・ギエルミ率いる弦楽アンサンブル(5名)とソプラノ1名という組み合わせで来日。私は時節柄クリスマス・プログラムの方を選んで行った。
ギエルミはこれに加えて各地でオルガン演奏会を行なったらしい。残念ながら東京ではやらなかったが……。

内容は弦楽でガルッピ、コレッリ、サンマルティーニなど。声楽の方はやはりガルッピ、ヘンデル、ヴィヴァルディだった。
冒頭のガルッピの協奏曲はちょっとヴィヴァルディっぽいアクセントの強さがあり、最初からイケイケ風にノセられた。後のコレッリやヘンデルも聞くとこの演奏者たちもイタリア過激派の流れを組んでるのだなと認識したのであった。
ただ、後半の二曲はプレ古典派系だったので私の守備範囲外になってしまって残念。

ミラーニというソプラノは名前も初めて聞く人である。ガルッピの宗教曲ではいささか元気がなかったが次のヘンデルのアリアでは俄然生き生きとして華のある歌唱を聞かせてくれた。
さすがヘンデル先生は歌手を引き立てる曲作りがうまい\(^o^)/ 歌う方もノリノリでしょう--と感心するか、プロの歌手として地味な宗教曲では冴えないというのはいかがなものか<(`^´)>と文句の一つも言いたくなるかどうかは、微妙なところである。

アンサンブルではギエルミは鍵盤奏者として専念している様子で、合図など出しているのはコンマスの方だったようだ。第二ヴァイオリンは平崎真弓という日本人女性で、ヘンデルのオルガン協奏曲の時にはギエルミがオルガンを弾くので、なんと代理でチェンバロを担当していた。素晴らしい 五月末に来日するコンチェルト・ケルンではコンミスをやるもよう。期待大である。(といっても、行くかどうか未定ですが(^^ゞ)

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2014年1月 3日 (金)

「ハンナ・アーレント」:小人悪意を持って善を成す

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監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
出演:バルバラ・スコヴァ
ドイツ2012年

同じ監督&主演女優による『ローザ・ルクセンブルグ』にて事前学習した後、今度は1960年代のユダヤ人哲学者に起こった「騒動」を扱った本作を鑑賞である。
とはいえ多くの観客同様、私も哲学には縁なき衆生ゆえ「ん?ハンナ・アーレント(?_?)名前は聞いたことあるけど……」状態なのであった

自らもドイツ出身で強制収容所を逃れ米国に亡命したアーレントは、逮捕された戦犯アイヒマンの裁判を傍聴し雑誌記事にするため、イスラエルへ赴く。
しかしそこで目撃したのは悪の怪物ではなく、平凡そうな小役人であった。そこから「悪の凡庸さ」を見出し、さらに当時のユダヤ人コミュニティの指導者たちを批判したことによって激しい攻撃を受けるのであった。

物語性はなく劇的な部分はほとんどない映画である。終わり方も唐突だ。
主人公は裁判を傍聴する以外はひたすら考えて原稿書くぐらいだし、「自由恋愛」状態のダンナとはうまく行ってるし、批判の手紙は多く来るといっても石を投げられるわけではない。現在だったら、ネットで炎上状態になったり、TVでコメンテーターがしたり顔で何か述べるだろうが--。もっとも、友人知人の多くが離れていったのは厳しいことである。
唯一「劇的」なのは、終盤の8分間にわたる講演だろうか。

この映画に対する反応として
「本当のハンナ・アーレントはこんな人物じゃない」
「そもそも〈悪の凡庸さ〉論自体がくだらん」
というのが見受けられるが、リアルタイムでは知らない哲学に縁なき衆生としてはどちらも確認しようがない。

恐らく裁判の場面だけ当時の記録映像を使用しているのは、実際にアーレントが正しいかどうか観客に判断をゆだねるためだろう。(とはいえ、作品の文脈の中で使用されている以上、それに従ってしまう)
だが〈悪の凡庸さ〉が多くの人を引き付けるのは、アイヒマンがそれに該当するかどうかよりも人間の日常周辺に存在するからではないか。
そして、高度な官僚主義が発達している国で、独裁者でもプラスされればなおさらである。「上司の命令を聞くのは当然」などという人物が選挙に当選すれば、たとえ「○○○人を貨車に詰め込んで送れ」という文書が回って来れば何のためらいもなくハンコを押すだろう。その行先が火葬場だろうが収容所だろうが知ったこっちゃない。
劇的なる悪を必要とするのは、娯楽映画と一部の扇動家であろう。彼女の言葉はそれを可視化する働きがあったのかもしれない。

監督は『ローザ・ルクセンブルグ』同様、またも思索する女の姿を描いた。それが実際のアーレントに似ているかどうかということは、スピルバーグの『リンカーン』と同じくどうでもいいことなのである。
なお、主人公とかつて愛人関係にあったハイデガーについては「あんなしょぼくれたオヤヂじゃないやい」という意見があったことも付け加えておこう。
友人の女性作家役のJ・マクティアが好演であった。


劇的度:5点
思索度:8点


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2014年1月 2日 (木)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 1月版

今年は去年よりも良い年になる……とは思えないから困ったものよ

*6日(月)ナポリの光と影(向江昭雅ほか)
*23日(木)バッハ協奏曲名曲選(寺神戸亮ほか)
今年は元気なくてヘンデル・フェスは遠慮させてもらうことに……((+_+))

他にはこんなのも。
*6日(月)~10日(金)上野の森美術館ミュージアムコンサート
展覧会自体は日本の現代アートらしい。面白そうだが、古楽系は平日の昼間なので無理なのであった。
*13日(月)ラ・ルベルティーナ リコーダーアンサンブル
       ヘンデル・フェスティバル・ジャパン オラトリオ「サウル」
       ヴォーカル・アンサンブル・カペラ定期公演
*16日(木)ガット・ストリーム(ヒデミ&ナオキ)
絶対行く(`´)と思っていたが、仕事の関係で無理っぽいです。
*23日(木)テレマンとバッハの祝宴(水内謙一ほか)
*25日(土)オリンピアの嘆き(嶋﨑裕美)
*27日(月)アルプスを越える詩

140102
今月はフィリアホールのラ・プティット・バントと、ジャルスキー&ヴェニス・バロック・オーケストラの発売あり。後者はチケット争奪戦が起こるか。

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