「ゼロ・グラビティ」(3D吹替版):人のいない宇宙空間で泣いた時その声は聞こえるか
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
米国2013年
ご近所のシネコンのタダ券があるのだが、使わないうちに期限が迫ってきてしまった……というわけで、本当は3Dの字幕版を見たかったのだがそこではやってないので仕方なく吹替で見た。確かに字幕だと3D画面に集中できないことが多いからいいのだと自ら言い聞かせるしかなかったのだよ。
実際見てみると、これはスゴイ(!o!) 映像はド迫力である。やはり3Dで見てヨカッタと思った。宇宙空間で次から次へと困難が襲う。一難去ってまた一難。常にハラハラドキドキが続き、あまりのことにギャーッ(>O<)と叫びたくなる。
無重力の世界だから、慣性の力が止まることがなく、一旦飛ばされたり回転したりすると推進機関がなければ自分の力だけでは変えることはできない。非常に恐ろしい。見ているだけで身体に力が入って、上映時間は短いのに疲れて胃の腑が変になってしまった。
登場人物は宇宙を漂流しつつ生還を目指すヒロインともう一人の宇宙飛行士(G・クルーニー)だけだが、作り上げた映像とカメラワーク、感動のツボを心得たストーリーで引き込まれる。特撮を駆使した映像と、人生をしみじみ考えさせるようなヒロインの心情がうまくかみ合っている。
そして、邦題とは正反対の意味を示す原題がよく身に染みてくるラストに至るまで、よく出来ていた。映画賞を幾つも獲得し、オスカーの主要部門に多数ノミネートも納得である。
--と褒めてはみたが、ではこの映画が好きかというと、正直なところそうではない。確かによく出来ている。よく出来てはいるがね……ムムム(ーー;)である。
なんだか、ヒロインが涙を流すところなんぞ、感動する前にあざといと感じてしまった。スピーディーに展開するからあまり気にならないけど。
慣性の描写などは不正確だという指摘もあるようだが、私が気になったのはあんなに何度も宇宙船の外壁に激突して、よく宇宙服が破れたり装備が壊れたりしないものだということ。中の人間だって打撲やら骨折とかしそうである。
それから、宇宙空間でのトラブル描写というと『2001年宇宙の旅』が有名だが、あれとは正反対に常に動的で様々な音に満ちている。客観的に音を描写していると言ったらそれまでだが、基本的に通信と自分が接触している物体以外の音は聞こえないはずだ。
まあ、結局はどちらの描写が好きかという好みの問題に還元されるわけだが。
サンドラ・ブロックは『しあわせの隠れ場所』でオスカー獲得して、もう今後二度とノミネートはされることはあるまい、などという予想を覆して再度ノミネートされた。ほとんど一人芝居状態を乗り切り、確かに大したもんである。
それだけにやっぱり吹替えじゃなくて字幕版で本人のセリフを聞きたかった。彼女はちょっとかすれた特徴ある声なんだけど、声優さんはフツーにキレイな声だったんだよね。タダ券に惑わされず、3D字幕版を見に行けばよかったと後悔である。
ついでに、過去のSF映画の引用が多数あるもよう。そういうところもファンの評価が高くなる一因だろかね。
客観点:9点
主観点:5点
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