「ルートヴィヒ」:実録!草食系国王の転落人生
監督:マリー・ノエル、ピーター・ゼアー
出演:ザビン・タンブレア
ドイツ2012年
ヴィスコンティの映画であまりにも有名な「狂王」ことバイエルン王ルートヴィヒ2世の生涯を再び映画化である。
こちらの作品では政治や国際関係の問題が大きく取り上げられている。ルートヴィヒは美や音楽を愛するがゆえに、キナくさい政治や戦争の話は嫌い、聞きたくもないのである。何せ憧れるのが太陽王ルイ14世だというんだから、生まれるのが遅すぎたとしかいいようがない。
さらに15歳の時から心酔しているワーグナーは思想的には急進派で政治犯として指名手配中--というのは初めて知りました(^^ゞ 彼を救ってやったのはいいけれど、そちらからも色々とうるさく指図されるのであった。
自分の気に入った者を取り立ててやり、反対する大臣は更迭、さらに従僕とのアヤシくも不可解な関係、ただでさえ戦争でカネがいるのに金を浪費。やがて自分の建てた城で完全に引きこもって隠遁生活のあげく、王位をクビにされてしまう。
当然ながら実際に彼が建てた城でロケもしている上に、ヴェルサイユの鏡の間も出て来て、そこでバロックダンス踊ってたりする。する。さらにビスマルクやナポレオン(3世?)も登場するとなると、なんだか歴史映画というよりは実録再現ドラマを見ているような気分になってくるのだった。建設途中の城の光景なんかもみせてくれるしね。
主人公を演ずるは新人のザビン・タンブレア君。痩せてて長身の美青年であるが、彼ではいかにメイクやCGを駆使してもブクブクとした晩年のルートヴィヒは演じられないと見たらしい。それで終盤は別の中年役者がやっている……けど差があり過ぎよ(^O^;)
というわけでヴィスコンティ作品が退屈で冗長で我慢できないという人には、実録風のこちらをオススメしたい。
耽美度:5点
醜聞度:8点
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