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2014年2月15日 (土)

ブクステフーデ「わたしたちのイエスの四肢」:コンサートの価値を何で計ろうか

140215
演奏:ラ・フォンテヴェルデ、ザ・ロイヤル・コンソート
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
2014年2月6日

前回の共演ではダウランドを演奏した二つのグループが、今度はブクステフーデのあのshine名曲に挑戦である。
さらにゲストとして寺神戸亮、戸田薫、今井奈緒子も参加でオールスターキャストという感じだった。

今井女史は短い独奏曲に続きなんと会場のパイプオルガン(バルコニーではなくステージの端に設置してある)で通奏低音を担当した。なんでも、当時はポジティブ・オルガンというのはほとんど存在せず、パイプオルガンを使用するのが一般的だったのとことだ。知らなかった(!o!)
しかし、今の時代では珍しい。生のコンサートでパイプオルガンが通底を担当するのを聞いたのは多分初めてだと思う。

公演のタイトル曲は後半イッキに全曲演奏。前半の方はオルガンソロに続いて短めの声楽曲を3曲という構成である。
カウンターテナー上杉清仁とガンバが華やかに掛け合いをする「全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ」はどこかで聞いたことあるなーと思ってたら、平尾雅子のアルバム「ダニューブ河のこだま」でやはり上杉氏が歌っていたのだった。

そして、前半最後の「平安と喜びに満ち逝かん」「嘆きの歌」はこれまた名曲である。この2曲はセットで一曲扱いになっていて、後者はブクステフーデの父親の葬儀に際し作られたというのは知っていたが、前者もまた知人の追悼曲とのことだった。
この「平安~」は歌詞がリーフレットに載っているのに、なぜかヴァイオリンとガンバの器楽のみの演奏だった、なぜ(?_?) 折角だから歌付きで聞きたかったのう。
「嘆きの歌」(悲歌)はまさに美しくエモーショナル、聞く者に悲しみが怒涛のように押し寄せてくる歌曲である。それを鈴木美登里は余分なものは何もなくストレートに歌いきったのだった。

「イエスの四肢」は録音は結構出てるが(私も3枚持っている)、実演ではなかなか聞く機会がない作品である。編成上の問題だろうか?
生演奏はLFJの折のラ・ヴェネクシアーナに続き二回目だ(BCJは記憶にないので聞きそこなったらしい)。
解説に「劇的な表現や官能的な旋律線がマドリガーレと通じるところがある」とあり、楽章ごとに十字架のイエスの身体をたどっていくその眼差しは、ドイツ産カンタータとは思えぬような濃い情念に満ちている。

ここに至ってラ・フォンテヴェルデの5人が全員登場。弦楽陣は前半から引き続き寺神戸+戸田のヴァイオリン、上村かおりのガンバが中心である。「心」の楽章だけヴァイオリンが引っ込んでガンバが総動員となる。ザ・ロイヤル・コンソートの中にはこの曲しか出番がない人もいて--ご苦労様ですsweat02

声楽陣は、この曲の特徴であるイタリア・マドリガーレ風の情念あふるるテイストと厳格な宗教曲の双方の要素をうまく両立させていた。寺神戸氏については、いま日本でこの曲をこれだけ的確に表現できる人が他にいるか、と思えるほど。前回のコンサートで「物足りん(+_+)」みたいなことを書いてしまったが、正直すまんかったdown許してm(__)m

「イエスの四肢」だけでもCD一枚分の長さなのに、前半も合わせて量的にも充実。中身の方もブクステフーデ先生が聞いても満足するだろうレベルだった。加えてパイプオルガンの通底も聞けたし、これでチケット代4千円は安過ぎdollar おつりが倍返しをはるかに超えて戻ってきます(@∀@)
コンサートの価値が、チケットの値段にも会場の広さにも全く比例しないということがよ~く身にしみて分かったのであった。


ただ一つだけ文句言いたいのは、会場の空調である。開場した時は頭がボーッとするほど暖房が利いていて、そのうち涼しくなってきたと思ったら斜め上から冷風が……(>_<) なんで一番寒い時期に冷風浴びなきゃならんのよ。まるで以前の近江楽堂のようである。
分厚いダウンのジャケットでは演奏中にゴソゴソと羽織るわけにもいかず、しまいには肩や片手の関節が痛くなってしまった。
今度からこの会場に行くときはマフラーかスカーフを持っていくことにしよう。

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