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2014年4月27日 (日)

「大統領の執事の涙」:執事は見た……かも知れない

140427
監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー
米国2013年

オスカーの「黒人枠」を後から来た『それでも夜は明ける』にかっさらわれてしまった本作、しかし上映時間の長さでは132分と、ほとんどいい勝負である。

見る前は歴代大統領の知られざるマル秘話が出てくるのかと思ったら、そういうわけではなかった。中の会話に「見聞きしたことを口外しないという契約をする」とあるくらいだから、いくら実在の執事がモデルでもバラすわけにはいかないのだ。

では何を描いているかというと、米国黒人近現代史の表裏両面であろう。主人公の息子が親の世代には考えられなかった、大学に進学したにもかかわらず、公民権運動にのめりこみさらに→過激派→政治家と変遷していくのはまさに「表」面を現わしている。
一方白人に父親を殺されながらも、地道にコツコツ勤勉に役目をこなしていくのが最良と考える主人公は、表立つことない裏面史を生きる人々の一人である。
さらに、彼が仕える歴代の大統領は米国全体の「正史」でもあり、その時代の潮流を代表する。
どれも奴隷から人権獲得への過程であって、最後は一つになるわけだ。

ラストは遂に登場したアフリカ系大統領オバマで上がりとなるのであった。もっとも、様々な名優たちが扮する大統領(オバマは登場しないが)はなんとなく年末の隠し芸大会を思わせなくもない。
あと、カーター時代が飛ばされているのはなぜだ(^^?) 彼はもう存在しないことになっているのだろうか
それと、ブラックパンサーの描き方はあれでいいのだろうか? 詳しい人に意見を聞きたいもんである。

見どころは、長い年月の物語をうまくまとめた脚本と、フォレスト・ウィテカーやオプラ・ウィンフリーを始めとする役者たちの演技と言っていいだろう。
執事の一人がどうも見たことあるなあと思ったら、またもレニー・クラヴィッツであった。役者稼業をメインに始めたのかね?
キューバ・グッティング.jrとテレンス・ハワードが交互に出て来て、どっちがどっちだか分からなくなってしまって混乱した(@_@;) 顔立ちが似たタイプな上に、同じようなヒゲ生やしてるんだもん

いわゆる「シット・イン」を映像で見たのは初めてだが、非暴力を基調にした運動がこんなに過酷とは思わなかった。映画の中には描かれなかったが、火をつけられた者もいたという。よほどの意志がなくてはとてもできません(>_<)

ところで、日本版として「首相官邸の家政婦は見た!」というのを是非作って欲しい。こちらはスキャンダル満載でお願いしまーすヽ(^o^)丿


執事度:8点
大統領度:6点


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