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2014年4月 6日 (日)

「荒野のリア」:荒野では足元にご注意

原作:W・シェイクスピア
構成・演出:川村毅
会場:吉祥寺シアター
2014年3月13日~23日

川村毅が『リア王』をやるって? はて(?_?)どんなもんかなーと見に行った。
そうしたら、なんと第3幕、狂乱と嵐の場面からいきなり開始するのであった。二人の娘から邪険に扱われて、道化と共に荒野をさまよい咆哮するリア王である。

「男だけのシェイクスピア」--と言ってもニナガワとはやや異なった趣向で、ゴネリルとリーガンは映像や声でしか登場しない。
コーディリアだけ道化との二役で有薗芳記が演じていた。もっとも、シェイクスピアの時代もこの二つの役は同じ俳優が演じていたという説があり(確かに一度も二人が同時に登場することがない)、これはこれでオリジナルに忠実と言える。

道化(とコーディリアも)はウサギの耳をつけていて、ケント伯は山高帽、エドガーは薄汚れた毛皮のネズミ(?)--つまりアリスのお茶会を模しているらしく、舞台に開いた穴を人物が出たり入ったりする。
さらには狂気を象徴する月面に背景が変わったり、それが同時に精神病院の一室のようにも見え、リアや手塚とおるのグロスターは患者のようでもある。

しかし、そういう見立てを通り越して大迫力だったのは麿赤兒のリア王だった。これまで見たリア王の中で(そんなに見てるわけではないけど)一番壮絶といっていいだろう。花冠をつけて静やかに踊る場面などは、悲愴ではあるが一方で滑稽でどうしても笑っちゃうような感じで目を離したくても離せない。破壊と創造が全く同時に行われている状況を目撃する思いだった。
それにしても有薗氏抱きかかえて舞台に登場したりして、若いっ

他には印象に残ったのは、有薗芳記のコーディリアがなんだかどっかで見たような気がすると思ってたら、喋り方や歩き方が女性皇族みたいなのであった。
エドガーとエドマンドの決闘場面はバット振り回してプロレスもどきのアクション。ヤンキーの喧嘩か(^^?)
舞台の前面で娘の死にリアが号泣しているのに、後方で他の一同が事後処理を話し合っている(シェイクスピアの歴史ものの終盤はどれもそんな感じだが)。

というわけで吉祥寺まで見に行った甲斐は大いにあった。同じ配役で前半も見てみたくなった。ヒジョ~に長くなっちゃうけど。

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