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2014年4月20日 (日)

「ラッシュ/プライドと友情」:F1と映画賞どっちが過酷か?

140420
監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール
米国・ドイツ・イギリス2013年

カーレースの世界では有名なライバル対決の実話を映画化したもの。私はF1関係は全く興味なく無知であったが、十分に楽しめた。

外見、出自、経歴、レースのテクニック……どれを取っても正反対 かたや英国人のハントは長身の二枚目モテモテ男、豪胆な性格の陰に神経質な一面があり、私生活は荒れ気味である。
もう一人のラウダはオーストリア出身で企業家の一家に生まれたせいか、金にはうるさく何事につけても慎重派だ。スピードを出すのはレースの時だけで、公道を走る時は制限速度保持というエピソードには笑った。

2人の対比はそれぞれの結婚生活でも描かれる。浮名を流した挙句、売れっ子モデルと結婚したはいいが結局破綻してしまうハントに対し、友人も恋人も少ない歴が長いながらもようやくゴールイン、しかし「失うことを恐れるものができてしまった」と悩むラウダであった。

互いに対立しあい競ううちに、悪天候の中でラウダの車が激突炎上--などトラブルと紆余曲折の中で和解と共感が生まれてくる。まあ基本的には「女無用」の物語ではある。
ある種、「ライバルもの」では定番の話ながら、堂々とした骨格を感じさせ、その描写にはブレるところがない。
唯一の欠点は「よく出来ていること」であろうか。

レース中のドライバーの視線でとらえた再現シーンは恐ろしい(なんだか視界が狭くぼやけている)。一方、人物たちの心象を表わすように挿入させる映像は極めて美しい。
1970年代の風俗や、特に音楽は懐かしい。そしてクライマックスの舞台は日本の富士スピードウェイであるよ。

グランプリの得点制度は色々ルールがあって、シロートにはよく分からんところがある。ただ、結局は長生きした方が勝ちってことでいいのかね。

さて、本人たちの勝敗はともかく演じた俳優たちはどうだろう。外見は伊達男ながら葛藤を抱えた内面を持つハントを演じたクリス・ヘムズワースではあるが、それに対し、あまり好感の持てない人物をいかにもあまり好感が持てないように演じたダニエル・ブリュールの方に、軍配を上げておきたいФ~_~)/

この作品は、確か米国では年度の前半に公開されてその時は「オスカーノミネート確実の出来」などと言われていたと記憶していたのだが、後半に入るとあっという間に後から来た新作に押し流されてしまった。
まあ、監督や製作側に最初からその気はなかったんだろうけど、やはり映画賞レースに参加するには公開時期が肝心なのであったようだ。


F1度:9点
映画賞度:7点

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