「ホビット 竜に奪われた王国」(2D字幕版):「皮は固いが中身は汁気たっぷり」の看板に偽りあり
監督:ピーター・ジャクソン
出演:マーティン・フリーマン
米国・ニュージーランド2013年
パート1の『ホビット 思いがけない冒険』を、こちらを見る前に見直そうと思っていたが、録画したままでその余裕もなし。復習なしでそのまま突入するしかなかったのであるよ。
一行がたどるのは大体原作通りの順路。ただし細部は変わっているし、アクション水増し度はかなりのもんだ。
人物の描き方もかなり変更あり。バルトの家族なんてのが登場する。人気テコ入れのためか、レゴラス復活(……と言っても、時代設定はこちらの方が前ですが(^^ゞ)。さらに加えて女っ気ナシを補うために女エルフ戦士も投入だっ。
彼女とレゴラスを絡ませるのかと思ったら、な、なんとドワーフのキーリと(!o!) 誰が想像しえたであろうかっ、バン(机を叩く音) どおりでヤツはドワーフにしちゃあ二枚目だと思ったら、こういう展開かい!
この恋愛話がやたらと長い。しかもあんまり面白くない。エルフの牢で二人が会話してる場面なんか冗長で退屈で、ようやく間があってここで終わるのかと思ったら、また継続したんでずっこけそうになった。恋愛話見たいヤツは他の映画に行ってるよ(ーー゛)
もう少し編集で切ってくれれば、長尺も短くなると思うのだがね。
長いと言えば、レゴラスが暴れ……いや活躍するアクション・シーンも長い。樽とドワーフの上をピョンピョン跳ねる激流下りも長いが、さらにリキが入って長いのはオークの首領との一騎打ち場面。
醜悪なるオークが美しいレゴたんをああしたりこうしたり(>O<) キャ~~ッやめてー……でも、ちょっと萌えちゃう
ハッ(我に返る)し、しまった(~o~;) 私としたことが、フ女子心を萌えたたせてしまうとは。おのれピージャクめ、許さぬぞ
とまあ、なんにしてもレゴラスはこの物語では殺戮マシーンの役割以上は与えられていないようだ。
かくなる上は、第三部ではエロさ爆発半裸オーク女兵士軍団との死闘でも見せてくれい。あまりのいかがわしさに手で顔を覆って、指の隙間から覗き見するようなヤツを頼む。
しかし、問題は主人公たるビルボが未だに傍観者的立場であることだ。まったく主役としての存在感はなし。脇をウロチョロしてるだけみたい。エルロンドほどではないが影が薄いのである。
それに、トーリンはあんなにはなれ山に行くことへの固執ぶりが描かれてたのに、入口が見つからないと簡単にあきらめてしまうのはどういうこったい(?_?) ここら辺の脚本のいい加減さは何とかしてほしい。
一方で映像、衣装、美術については、どれをとっても素晴らしい。思わず見入ってしまう。視覚的にはトールキンの描いたファンタジーの世界が完璧に再現されている。
この圧倒的な映像の前には、もはや面白い面白くないなどということはどうでもいいのだ。ある種の伝統芸能みたいなもので、そんなことは超越しているのである。
というわけで、第三部も見に行くことだろう。面白くないだろうけど。
推測するに、女エルフとキーリの話が三分の一、五軍の戦いも三分の一。そしてそれ以外の全てが残り三分の一……って、全部入り切るんかいな(@_@;) その三分の一ではたしてビルボは主役らしくなるんだろうか?
あ、それからガンダルフはますます薄汚れて、灰色じゃなくて限りなく黒くなりそうでイヤン
なお、ピージャクの特出は冒頭の薄暗い路地でキュウリ(?)かじりながら横切る男だろう。「ロード・オブ・ザ・リング」の一作目(だよね)と同じはずである。
さて、以下は原作との絡みで書くので「原作厨ウザイ」と思う人は飛ばすがよろし。
原作を読んで一番気に入ったのはエルフの宴会場面である。ビルボとドワーフ一行が飢えと渇きに夜の森の中をフラフラしていると、エルフたちが宴会を開いているのが見える。たき火を燃やして色とりどりの灯輝き、うまそうな料理や酒で飲めや歌えやで楽しそう。思わず一行がヨロヨロと足を踏み入れるとあっという間に宴会は跡形もなく消え去るのであった。
この、闖入者に気付いたエルフたちの片づけの素早さ(の描写)に笑ってしまう。瞬間芸とはこのことである。これを三回繰り返すわけだが、ここを読んで以降、私の脳内ではすっかり「エルフ=宴会」という定式ができてしまったのだ。
従ってエルフの宴会が出て来ないこの映画には大いに不満である。DVDが出た際にはオマケ映像として、ぜひともCGや特撮の技を駆使してエルフの素晴らしい宴会を再現してもらいたいもんだ。
レゴラス対オーク:7点
ビルボ対ドラゴン:6点
タウリエル&キーリ:採点放棄
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