最近見た映画の中から~文句のつけようがない3本
どうも映画の感想を書くのが遅れて何本も溜まってしまったので、まとめて書いてしまいたい。もっとも、美術展や本の感想だと書かずに終わってしまうのがほとんどである。
★『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン
米国2013年
オスカーはダメだったものの、カンヌではブルース・ダーンに男優賞をゲットさせた本作、もしかしてボケてない老優にボケ老人を演じさせるのが流行ってる?
でも、うるさいだけのオバチャンと見せかけて、実はいい所もある母親役のジューン・スキッブもなかなかのもんだった。
ただ役者たちの演技を差し引くと……どうなんでしょうね。ああ、この次に殴るぞと思ったらその通りになる展開とか、ボケ老人の行動ってそれほど直接に論理的ではないでしょうとか、余計なことを色々考えてしまう。
いい話だとは思うが、なんだか見てて息苦しくなってしまうのだった。
それと、モノクロだから周囲の風景が荒涼として見えるけど、カラーだったら結構のんびりしたイメージじゃないかなあなんてことも思った。
★『ダラス・バイヤーズクラブ』
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:マシュー・マコノヒー
米国2013年
アカデミー主演男優賞の本命とされ、その通りになっただけでなく、ジャレッド・レトーの助演男優賞も獲得した(こちらも本命だったかな)。
確かに二人の演技は鬼気迫るものがある。特にM・マコノヒーは「ここまでヤセなくとも」とか思っちゃうほど。J・ガーナーの女医さんが平穏な人物なんで、二人の過激なキャラクターとうまく釣り合っていたようだ。
主人公が国の言うことなんか聞いちゃいられねえ、という地点から偏見を脱して期せずして「いいヤツ」「頼れるヤツ」になっていく過程の描写はお見事。ただ、こういう自主独立の気質こそが、国民皆保険や銃規制を反対する原動力でもあることを考えると、複雑な気分になってくる。
感動的で役者の演技も素晴らしく、一見の価値はある。が、個人的には二見する気にはなれない。
★『あなたを抱きしめる日まで』
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ
フランス・イギリス2013年
上記の『ダラス~』同様、実話でアカデミー賞にも複数ノミネート。
未婚の母から生まれた子どもを勝手に教会が養子へ出す。50年後に母親がその行方を探そうと決意する。
多くの感想が指摘するように、シリアスな社会派ドラマというより息子探しを取材するジャーナリストとの珍道中ものという色合いが強い。二人の階層的ギャップや、米国への旅でのあれこれなど笑える場面も多数だ。
ただし終盤は驚きの展開となる。
これもいい話なんだけど……「いい話」で終わって、忘れ去ってしまいそうな予感である。
ヒロインの聖と俗をジュディ・デンチが全く相反することなく演じ、神がかり的な演技を見せた。さすがとしかいいようがない。
《私の見た映画・美術・》
この感想の末尾に、シェイクスピアの『冬物語』での彼女を見た山崎努の感想が引用されている。こんなものすごい演技を一度でいいからナマで見てみたいもんである。(英語のセリフ分からんけど^^;)
以上三作品の共通点は、映画賞に数々ノミネートされ、CGを駆使するような内容ではなく、感動的な「いい話」であり、役者の演技が素晴らしいということである。
だが……どうも、最近こういう作品が苦手というか、「好き」ではなくなっているようだ。「よくできている」とは思うんだが。
ヘンなヤツとか、歪なヤツがいいみたい。まあ、元々ひねくれ者だからな(+o+)
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