「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」、舟越保武「長崎26殉教者 未発表デッサン」
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
2014年4月19日~6月29日
本展の「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」というより、特別展示の舟越保武「長崎26殉教者 未発表デッサン」の方を目当てに行った。
こういう映像作品中心の展覧会はなんだかなあという気分にいつもなってしまう。「映画」に比べて観覧者の時間を占有するという意識に欠けていると思ってしまうのだ。
M・ハネケもどきのエピソードを繰り返す「コンティニュイティ」というのが見てて面白かったが、40分ループの作品なのに、10人弱ぐらいしか椅子がない。多くの人が立ったままみていた。まあ床に座ればいいって話だが。
ケータイで母親と会話している男の作品は、正直「バカにしてんのか」と言いたくなってしまった
舟越保武の作品は近江楽堂にも置いてあるが、私は「舟越桂の父親」として初めて知った。
架刑にされたキリシタンたちの外見についての記録は全く残ってないそうだが、年齢やわずかに残る文書から想像して作って行ったらしい。その作り上げる過程が約100枚デッサンからうかがえる。
ただ、元の26殉教者記念像を知らないので隔靴掻痒の気分あり。
また、ほとんどの人物のまっすぐな眼差しは、後ろめたい気分を抱える人間にはまぶし過ぎて身の置き所がなくなるのであった。
幼くして亡くなったという長男が棺に入っているパステル画もあった。悲愁あふれる作品であり、同時に(皮肉にも)会場で唯一色彩のある作品でもある。
デッサンとは別にイエスやマグダラのマリアの頭部像が、なんだかルオーの宗教画をそのまま彫刻にしたような荒削りさで新鮮だった。
若手シリーズの三井淑香は、南米の革命壁画みたいな筆致とスケールで少女の夢と妄想を描いていて、これも変で面白い。
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