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2014年7月21日 (月)

「プリズナーズ」:父殴る、蹴る、暴れる

140721
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン
米国2013年

米国で公開された時に情報番組で紹介されて「おっ、これ見てみたい」と思った。
その後、監督がどうも今イチどころか今サンぐらいだった『灼熱の魂』と同じ人だと分かり、ボルテージが若干下がったが、まだ一作しか見てないからなあと気を取り直して行ったのである。

平和な郊外の町で少女二人の誘拐事件が勃発。早速近所の怪しい男が容疑者となるが、証拠がなくて釈放されてしまう。警察のふがいなさにブチ切れた片方の子の父親が容疑者をとっ捕まえて監禁・拷問してしまうのであった。

悪人は「善人を罪の道に落としてやったわい(*^^)vヤッタネ」と満足しているようだが、父親演じるはヒュー・ジャックマンで、外見も性格もウルヴァリンそのまんま。「善人」と言っても、冒頭から我が子のためなら容疑者を10人ぐらいあっという間に首根っこをへし折りそうにしか見えない。
気弱なインテリ風に描かれてる、もう一人の子どもの父親役テレンス・ハワードが暴走したというならまだ納得であるが。

暴走父は「水も食料も与えない」とか言ってたが、食い物はともかく水分与えなかったらあっという間に死んじゃうんじゃないの(^^?)
ジェイク・ギレンホールの刑事を始めとする警察もお粗末。釈放された容疑者を監視してないし、子どもの失踪時の服装を確認してなかったようだし、犯人が犯罪を成し遂げたのは警察がトホホだったという理由が大きいだろう。田舎町の警察だから仕方ないのかね。

警察だけでなく、「ヒュージャクの父親、なぜそこで背中を見せる」とか「刑事が訪ねてきた時何食わぬ顔して応対に出ればよかったのに」など人物の不可解な行動が多数だ。

この手の犯罪ものは過去に映画だけじゃなくて、小説やTVドラマでも散々出てる内容だから、生半可なものではあらが目立ってしまうのだよ(ーー;)
同じような動機の犯罪ものだったら、TVドラマの『ミレニアム』(スウェーデン産のミステリではなくて、クリス・カーターが作ったドラマシリーズ)でもっと出来のいいエピソードがあったはずだが。

何よりも一番気になったのは2点。
少女たちにはそれぞれ兄と姉がいるのに、ストーリー上全く何の意味もないこと。いてもいなくても変わりはない。この作品の前に『ある過去の行方』を見てたもんで、あちらが端役でもちゃんと何らかの役割を持っているのに、それに比べると脚本が余計お粗末に思えてしまう。
それからもう一点は、優秀な役者が多く出ているがほとんどが過去の役柄をそのままなぞったような配役であること。ヒュー・ジャックマンはもちろんのこと、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ、メリッサ・レオ……。
全くもって意外性がない。既視性のある「ホーム」ドラマのようである。

というわけで、やはりこの監督とは相性が悪いようだ。もう二度と見ることはあるまい。


父親対応度:4点
警察対応度:3点


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