◆チェロ編
演奏:鈴木秀美、上尾直毅、平井千絵
◆ヴァイオリン編
演奏:寺神戸亮、上尾直毅、平井千絵
◆フルート編
演奏:有田正広、仲道郁代
案内役:朝岡聡
会場:東京オペラシティ リサイタルホール
2014年7月19・20日
二日連続計4回、楽器別に行われたレクチャーコンサートである。最初は土曜昼のチェロ編だけ聞くつもりで、チケットもそれしか買ってなかったのだが……。
というのも、ヴァイオリン編やフルート編については過去に、同じ寺神戸亮や有田正広による楽器の歴史をたどるような内容のコンサートを聞いたことがあったからだ。
チェロ編はD・ガブリエリに始まり、バッハ無伴奏チェロ→ヴィヴァルディのチェロ・ソナタ→ボッケリーニのソナタと続いた。そして朝岡氏が曲の合間に鈴木秀美に話を聞くという形である。
この前半だけでもヒデミ氏は「敵を増やすかもしれませんが」と言いつつ、敵を増やしそうな発言を何回かした もちろん後半もその勢いは衰えずですよ(@∀@)アヒャ
ボッケリーニについては、それまでの作曲家と違って、チェロの音域を広げ限界をひろげたとのこと。そしてチェリストたる者、とりわけチェロを旋律楽器として扱う者ならボッケリーニをやらねばならないと力強く断言したのだった。
なるほど実際に聴いてみると、確かにその前にやったヴィヴァルディのソナタなんかノンビリしてたなあと感じてしまったのは事実である。
後半はベートーヴェン、メンデルスゾーン、ヴェルクマイスターだった。最後のヴェルクマイスターはなんと日本で教鞭を取りそのまま亡くなったそうだ。ここではエンドピンを取り付けができるチェロを使用していて、ヒデミ氏はおもむろに師から譲り受けたというピンを取り出して装着して演奏したのだった。
エンドピンを付けると床へ共鳴するような感じで、また音が違うとのこと。
ロマン派は音楽が言葉を失っていく時代であり、しかしメンデルスゾーンは作曲家としては古典派に属する--などなど興味深い話も聞けた。
鍵盤もチェンバロ、フォルテピアノ、ピアノ(エラール)と時代に合わせて三種を使用だった。
ところで隣席の男のスマホが、途中で鳴ったのには参った。トーク中だったからよかったものの演奏中だったらヒンシュクである。
終了した時点で次のヴァイオリン編の開始まで時間が45分ほどしかなかった。これなら、ほとんど待つこともないのでついでにヴァイオリン編も聞いてしまおう!(^^)!と思い立ち、会場で売っていた当日券を購入。当然、座席は後ろの方だったが仕方ない。ドロナワとはこの事だいっ
プログラムを眺めているとチェロ編では演奏曲数が7曲だったのに、ヴァイオリン編はなんと11曲……2時間半ぐらいかかっちゃうんじゃないの?と思った。
で、実際にそのぐらいの時間はかかったのであった(^_^;)
16世紀末のロニョーニから約3世紀後のフランクまで、ヴァイオリン本体は2台だったが弓の方は時代ごとにとっかえひっかえ。曲だけでなく楽器の説明もチェロ編よりも詳しくやったのでさらに時間が増えたのだった。
初期は楽器を腕の付け根に当てて弾き、また弓の持ち方によっても音が違う。弓の変化は30年ごとぐらいにあり。時代が後の弓はどの部分でも均等に滑らかに音が出るようになったが、その分繊細な演奏はできない。アゴ当てはシューベルト以降に使用、金属弦は20世紀になってから……などの話があった。
私が古楽ファンのせいもあるだろうが、コレッリ→ヴェラチーニ→ルクレール→バッハと続いた部分は流れに乗った迫力があり、聞きごたえを感じた。特にコレッリの「フォリア」は怒涛のような名人芸炸裂 もう、弓の端から端まで使いまくり、ヴァイオリンを弾き倒していた。私は過去に寺神戸氏の演奏を何回か聞いたことがあるのにもかかわらず、圧倒され口アングリ状態だった。すご過ぎである\(◎o◎)/! 会場からも嘆息ともつかぬ声が漏れた。
後半はモーツァルトから開始。曲数は4曲だったが、長目のものばかりだったのでやはり時間がかかった。
休憩時間中に4公演共通のプログラムを眺めていたら、翌日のフルート編では17本の楽器が登場、と書いてあるのを見て「なぬ17本も(!o!) どうしても見てみたい聞いてみたい」と思い、矢も楯もたまらずに、またもや受付で翌日のチケットを購入する羽目に……(+o+)トホホ
何やってんだかね 当然ながら座席はかなり後ろの方で、最初から買っておけば前の方を確保できたのに。反省であ~る。
翌日の夕方、またもややって来ましたオペラシティ。前日のヴァイオリン編では空席が結構あったのに、この日はほぼ満杯。どうも、昼のピアノ編の残留者が多かったようである。(ピアノ編の仲道郁代がそのまま鍵盤を担当)
昨日のヴァイオリン編ではオペラグラスを持ってきてた人がいたので、今日は真似して持参した。後ろの席なので、そうでもしないと折角のお宝フルートが見られないからだ。
まずはドビュッシーの「パンの笛、またはシランクス」で開始。その後はルネサンス期のファン・エイクから時代順で進行していった。日頃から笛話の好きな有田氏だから、さぞトークが爆発するのかと思いきや、爆発していたのは朝岡氏の解説の方だった。縦横違ってはいても、同じ笛の愛好者だからだろうか(@_@;) 昨日とノリが全然違う。
わりあい古楽系はアッサリと過ぎたが、合計13曲--にさらに加えて、ロマン派期はさわりだけ紹介という「デモンストレーション演奏」というのも5曲あったので、これ以上ないというぐらいの盛りだくさんだった。それも有田氏所蔵の笛をとっかえひっかえである。チェンバロやピアノも4種類が活躍。
古典派以降の歴史はあまり知らなかったのだが、フルートというのはチェロやヴァイオリンどころではない劇的な変化があったのだな。「ベーム・システム」導入期のゴタゴタは聞いてて興味深かった。確かにルネサンス期と現代のフルートは、外見を見てるだけだと同じ楽器とは到底思えません。
ここで敵を作りそうな問題発言が有田氏からあった。「ロマン派は19世紀後半、フルートがペラペラした音になってしまって。当時の世相を反映している」のだそうだ。
総象牙製の笛は以前、ソロコンサートで聞いたことがあったが、加えてこの日はクリスタル・ガラス製というのも登場した(もちろんオペラグラスでしっかと観察)。
という訳で、見てもよし聞いてもよしなフルート編だった。またそれを吹き分けた有田氏には思わず参りましたm(__)mと言いたくなった。
この企画はソニー・ミュージック・ファウンデーションという、普段は若い世代向けのコンサートをやっている団体が30周年記念で行なったものだそうな。
一公演3000円(4回セットだと一万円)というのは内容に比してあまりにお得値である。また、こういう企画をお願いしまーす(^^♪
ところで、一日目の19日は確か鈴木(兄)家でメデタイ結婚式があったはずなんだけど……。鈴木(弟)氏をはじめ、この日の出演者は出席する余裕はなかったのでは(?_?)
まあ、先にスケジュール組んじゃってたら仕方ないか。