「たよりない現実、この世界の在りか」:謎めいた客
こちらのブログの記事を見て、モーレツに行きたくなってしまった。で、行ってみたのである。これは「現代芸術活動チーム 目【め】」の個展だという。
資生堂パーラーの売場を横目に、通用口のような扉を開く。するとそこには工事現場の階段が下へと続くのであった。華やかなパーラーとの落差が大きい。合板で仮設された階段をギシギシ言わせながら下りていく。
途中にヘルメットやら資材置場みたいな小部屋があったりする。そこを通り抜けるとホテルのエレベーターホールが突然出現する。そのエレベーター自体は、ギャラリーのエレベーターでもある。
脇に置いてあるホテルのリーフレットには「館内案内図」と共に「ホテルTG」の支配人の挨拶も載っている。
続く薄暗い廊下の両脇には客室のドアがある。ドアを押しても開かない。しかし、廊下の先には……。
真っ暗い空間に巨大な何かがある。ぼんやりと暗い光を放っていて、どうもそれは土星のようだ。これは秘密の宿泊客なのだろうか。それとも、リーフレットに土星マークがあるのを見ると、もしかしてオーナーなのか。
なんだか、星が出歩いたりするたむらしげるの絵本を思い出した。
かと思えば、消火栓の向こうに屋根裏のような薄暗い小部屋が隠れている。粗末な寝床やトイレの便器もあるということは、もしかして格安部屋? それともホテルの怪人か何者かが潜んでいるのか。
そして最後の部屋にはさらに驚かされる。一見、完全に準備された客室のように見える。壁には一枚の大きな鏡がある。
ぼーっと見ているうちに頭が混乱 私と鏡の間に若い女の子が立っていたのだが、鏡に映っている女の子は全く別人ではないか~~っ(!o!)
なんと鏡と思っていた部分は素通しで、その向こうはまさしく鏡の中の正反対の部屋が再現されており、向こう側の鏡の中に入れるのだった。
入ると、全ての家具が全く同じまま配置が左右対称になっている。様々なボトルのラベルや机の上のティーバッグの包装も鏡文字。ベッドの上の担当者の挨拶状の文字も逆さだ。机の下に転がっているペットボトルや床を這うドライヤーのコード(?)も同様。
その徹底ぶりはただただ驚嘆である。
ギャラリーの元の姿を知っている人は、空間をここまで変容させたことに驚くらしい。私は残念ながら初めて行ったのでそういう点での意外性はなかったが、何やら怪しげで不思議に満ちた異空間の「ホテル」であったことは間違いない。
とても面白かったけど、こういう「体験型」はどうも見て回るのに必死になってしまい、「鑑賞」の方がお留守になってしまうのが難である。
それから階段のビューポイントは4つあると教えてもらったんだけど、よく分かりませんでした(> <)
| 固定リンク | 0
コメント