「監視対象 警部補マルコム・フォックス」
警部ジョン・リーバスのシリーズが終了したI・ランキン、新しいシリーズを書き始めたというのは聞いていたが、新潮文庫の新刊棚にあるのを見つけてビックリしてしまった。
早川書房は手を引いたのであろうか? ともあれ、海外ミステリ不振の今日この頃、どこの出版社だろうと出してくれればオンの字である。
こちらの主人公は同じスコットランド警察の中でも、リーバスとは違い内務監察(職業倫理班というらしい)に所属している。同じ警官の不正を暴く部署だ。
一人の刑事の調査を終了したところで、その同じ部署の同僚の刑事の案件が持ち込まれる。一方、主人公の身内に殺人事件が勃発。その担当捜査官がなんと新たに調査対象になった刑事なのであった。
……と、三つ巴状態のようになったところが序盤だ。
ただ、755ページという分厚いだけあって、なんだか物語の展開にしまりがなく、ダラダラと続くのが難だ。おまけに、カタカナの人名が次々と出没、さらに不況経済がらみなんで企業名もたくさん登場して、もう若くない人間にとって記憶力の限界をヒシと感じてしまう羽目になるのであった。
もう少し展開をメリハリつけてテンポを早くしてほしかった。別件だと思われてたこの事件、あの事件が根っこは同じだと判明していく筋立てはいいんだけど。
それと、主人公ともう一人の登場人物が親しくなるように仕組んだ--となってるが、双方とも知らなければいくら状況をお膳立てしても、二人の他人が仲良くなるかどうかは分からないんじゃないの。「顔が気に食わない」とか下らない理由でうまく行かないかもよ。
と色々ケチをつけましたが、このシリーズは第4作まで出ているとのことなので、ぜひ訳して下せえ。特に3・4作目はジョン・リーバスが復活共演らしいのでよろしくお願いしま~す(^人^)
あ、あと表紙のデザインはもう少し何とかしてほしい。
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