「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」:音楽に必要なのは金と熱意とスタジオと
監督:グレッグ・“フレディ”・キャマリア
出演:リック・ホール
米国2013年
米国はアラバマの街の名を冠した「マッスル・ショールズ・サウンド」といやあロックやソウルのジャンルでは今でも名高い。そのサウンドを創ったスタジオやミュージシャンの歴史と音楽をたどったのがこのドキュメンタリーだ。
インタビューでそのサウンドの魅力に答えるのは、答えるのはキース・リチャード、ミック・ジャガー、ボノ、スティーヴ・ウィンウッド、パーシー・スレッジなど。
そして、そのサウンドの元となったスタジオの創設者リック・ホールと、専属ミュージシャンたち。濃ゆ~い南部サウンドなのに、演奏してたのは白人が多数というのが驚きである。
1960年代初めのスタジオ創設時から、録音したあの名曲、名アーティストを紹介。「男が女を愛する時」の大ヒットを放ったP・スレッジは給仕(だっけ?)をしていたとか、強烈なオーラを放つエッタ・ジェイムズ、亭主がらみでトラブル発生のアレサ・フランクリンなどなど。
しかし一方で、スタジオとしてはヒットを出し続けなければ使われなくなってしまうのだから、常時綱渡り営業で大変ではある。
個人的にはデュアン・オールマンとレーナード・スキナードのエピソードが興味深かった。前者はスタジオの前にテント張って泊まり込みして押しかけギタリストをやってたらしい。しかし、「黒人と一緒に歩いて白い目で見られても平気だが、長髪のヒッピーだけは御免」……って、そんなに当時嫌われてたのかヒッピー(☆o◎;
後者は演奏が長くてとても3分に納まらなかったんで、録音がボツの憂き目になったとか。(しかし、当時もうジャムバンドが流行り始めてたと思うのだが?)
で、そのままラストは「スイート・ホーム・アラバマ」が流れるのだった(歌詞の中でマッスル・ショールズのミュージシャンに言及している)。トンデモ曲として最近は認知されているのみであるが、やはりエエ曲です
レーナード・スキナードの映像は懐かしかったなー。
創設者R・ホールは貧しい家に生まれ、家族を何人も事故やトラブルで失い--となかなか大変な人生だったのを淡々と語っている。その中でも音楽上の最大の困難が、手塩にかけたスタジオ・ミュージシャンたちが共同経営者と共に出て行ってしまい、別のスタジオを作ったことだ。当時は怒り狂ったとのこと。
まあ現在は和解しているようだが、金と熱意が入り乱れる業界では起こっても不思議ではない事件だろう。
そんな音楽づくりの世界の一端も見えて面白いドキュメンタリーだった。音楽好きなら見て損なしと保証したい。
熱意度:8点
金銭度:6点
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