「マハーバーラタ ナラ王の冒険」:ドロナワ鑑賞とはこのことだいっ
演出:宮城聡
会場:KAAT神奈川芸術劇場ホール
2014年9月12・13日
宮城聡が芸術監督をしているSPAC-静岡県舞台芸術センターの『マハーバーラタ』が、フランスはアヴィニョン演劇祭へ呼ばれた--というのはニュースが流れていたが、その凱旋公演を横浜でやるというのは全く知らなかった(ーー;)
知ったのはなんと5日前ぐらいである。
即座にネットでチケットが残っている日時を見てゲット(といっても、金曜の夜は行けないから13日の土曜日しかないが)したのであった。
なんたるドロナワ状態 古楽や映画の情報は毎週欠かさずチェックしているが、それ以外のジャンルとなると手が回らないので、こんなことになってしまう。
さて、この演目はク・ナウカ時代に見たはずなのだがほとんど覚えていない(*_*; 脳の老化かしらん。
今回は演劇祭の会場である石切り場と同じようなステージの設定となっている。
開演前に見回すと客席をぐるりと取り囲むような円形舞台が作られている。ただ、座席は傾斜があるので前の方は見上げるような形になるので大変だ。
音楽の奏者は前方のやや低まった壇上で観客に背を向けて演奏を始める。最初は電波音みたいなゆっくりとしたパーカッションで始まった音楽がやがて高まる。そしてステージにも照明が付いた時、あっと驚いた。私は初めてこのホールに来たので気付かなかったのだが、なんとステージ越しに本来の座席が見えるではないか。実はステージがある場所に客席が作られていて、石切り場の岩壁の代わりに無人の座席へ役者の影がワヤンのように投影されたのだった。
インド神話による物語は、神々に祝福されて美しい妻を得たナラ王が、妬んだ悪魔の呪いによって王国を失い、妻と離ればなれになり、長らく流浪してまた巡り合うというものである。
その間に神々やら僧侶やらヘビやら象やら虎やら様々なものが円形舞台の上を現われては消える。紙のような質感の衣装(本物の紙?)も面白い。
ラストは祝祭的で登場人物(人でないヤツも)が全て現われて踊り、紙吹雪が飛んで盛り上がり、観客も思わずウヒャー(@∀@)となった。
また、音楽がすごいパワーを持ち雄弁なのにも感心する。
奏者は10人ぐらいいるのだが途中で出たり入ったりしてて、楽器の交換でもしてるのかしらんと思ったら、なんと上の舞台に訳者として登場していたとのことだった。
クライマックスでの、妻役の美加理にも驚かされた。なにせ、嬉しさのあまり肉片咥えて脇の機材の上によじのぼり、さらに円型ステージを恐ろしい勢いで一周して走っちゃうのだ。さすがというか、すごいモン見せてもらいました(^人^)と拝みたくなったぐらい。
それと、ほとんど語りっぱなしの阿部一徳氏もご苦労さんである。
横浜まではるばる来た甲斐はあった。久々に満足であ~る
今ちょうど横浜トリエンナーレをやっているので、折角近くまで行くならついでに何か見ようかと思ったが、見るとなれば2時間は余計にかかるだろうから、くたびれて倒れたりするとマズイので自重。でも、アートだけを目的に横浜まで行くのもなかなか気力がわかないのであったよ。
【関連リンク】
フランス上演時『マハーバーラタ』の一部映像。音楽が脳にきますっ
http://t.co/PePXqlPqEa
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