「NO(ノー)」:投票は燃えているか
監督:パブロ・ラライン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル
チリ・米国2012年
先日スコットランド独立問題で国民投票が行われたが、こちらも実際に1988年にチリであった国民投票を背景にしている。
世に悪名高き独裁者ピノチェト政権下、あまりに悪名高いんで国外からの圧力をかわすため政権を支持するか否かの国民投票を行ったらしい。
かつて彼がクーデターを起こした時虐殺をやりまくった。その有名な一人は歌手のヴィクトル・ハラだろう。そのような過去の遺恨と現在の弾圧がドロドロとうずまいていたのであった。
G・G・ベルナル扮する若い広告マンが「支持しない」派のキャンペーンを依頼される。許可されている唯一のTV15分枠だ。
彼は民衆を引き付けるため、商品CMのようにポップで明るいものにしようとするが、野党の党首たちの中には受け入れがたいとする者もいる。とはいえ、投票自体は「出来レース」として人々の関心が高くないのも事実。
今の日本でも似たような問題は存在する。デモや抗議のやり方について「古くさいサヨクの手法は十年一日で、見放されている」「なーにがオシャレなデモだ。勝手にこいてろ」のような対立である。
17もある野党の意見をどうやってまとめたのかまでは描かれていない。(決裂したままか?妥協したのか?) とにかく新しいCMキャンペーンに突入である。
予告や宣伝ではあたかも、そのCMによって「NO」の側が勝利したかのようだったが、実際見てみるとそうだと断言されているわけでもない。「広告業界の人間も国を変えようと裏方として頑張ったよ」ぐらいか。
そもそも広告でそんなに簡単に人の意見が変わるようだったら危なくってしょうがない。もっとも今の日本は……どうかね(@_@;)
映像にがやたら荒いし、画面のサイズが小さい(エンドクレジットの時は横長だが)。これは雰囲気を出すために当時のTVカメラをそのまま使ったそうである。確かにカメラワークもTVドキュメンタリー風だ。
ただ、中心人物があまりにも二枚目然としたベルナル君なんで、ドキュメンタリーというよりは「再現映像」のように見えてしまった。
YES度:5点
NO度:7点
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