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2014年10月

2014年10月29日 (水)

モンテヴェルディ 歌劇「ポッペーアの戴冠」:亡国のカップル

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演奏:クラウディオ・カヴィーナ&ラ・ヴェネクシアーナ
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2014年10月15日

演奏会形式による「ポッペ(ー)ア」をあのラ・ヴェネ(ク)シアーナが(!o!)
……ということで、福岡→兵庫→東京とツァーでやったのだが、兵庫ではなんと台風にモロぶつかり、涙をのんだ人も多かったという。
そんな人のためにわたくしめが詳細レポートを--なんてことをやる気はなく、テキトーなトーシロの感想を書きつづるのであったよ。
まともなレポを求める者は、ただちにブラウザを閉じ、他のブログへ行くがよい(^^)/なんちって

ぶっちゃっけ「演奏会形式」とはなんなのであろうか。今回の公演では歌手たちは衣装はなく、普通のドレスやスーツだったが、ちゃんとした衣装を着てちょっとした舞台装置が置いてあっても「演奏会形式」の場合もある。
条件は器楽の演奏者が舞台上にいることか?それとも演出者が明記されてないことなのだろうか(?_?)
よく分からん。

かつてこのオペラを生で見たのは2回で、二期会がBCJをバックに演じたもの(ネローネはテノールがやった)、それからBCJが新国立劇場でやったもの。おっと、数か月前のI教授企画のも入れた方がいいかな。
パーセル・カルテットの来日公演(なんでも「マフィアの仁義なき極道の妻」風の仕立てだったとか)は残念無念ながら見逃した。

あまり回数見た(聞いた)とは言えないが、その中でこの公演が最も俗悪っぽくて週刊誌の見出し風だった\(^o^)/ さすが、ブクステフーデの『われらがイエスの四肢』を濃厚、かつ官能的に演奏したグループだけはある。
例えばこんな感じだ。

「スクープ★皇帝、白昼堂々人妻と密会」(現場写真付き)
「まだ、愛しているんだ~!寝取られ亭主、号泣記者会見」
「独占手記:乳母が語る成り上がり人生《ポッペーア様さえ幸せなら私はそれで満足なのよっ》」

久々に見たロベルタ・マメリは髪が短くなった代わりに、歌にも外見にもなんだか貫禄がついてて、濃厚なエロ気漂い、他人の夫を寝取るヒロインにピッタリである。
一方、ネローネ役のマルゲリータ・トロンディは大胆な皇帝役にしちゃ線が細すぎなような気が……でも、演奏会形式だから気にするこっちゃないよね。

とはいえ、ラストの二人のデュエットは甘く~て素敵でしたわ。熱烈な拍手にこたえて、アンコールでやってくれたのも良

皇妃オッターヴィア(セニア・マイナー)は最初っからハイテンションな歌いっぷりで、強烈悪女というより、ゴミの捨て方にもガミガミいう近所のオバサンみたい。困ったもんだ。全くもって同情の余地なし。オッターヴィアの描き方っていつもこんな感じなような?
……なので、肝心の「さらば、ローマ」もあまり心に引っかかるところ無く、あっという間に通り過ぎてしまった。

一方、オットーネ役のカウンターテナー、ラファエレ・ピはトム・クルーズを細面にしたような二枚目青年ではあるが、情けな~い(ーー;)寝取られ亭主をうまく演じておりました。若くてそつのない歌唱、これは「買い」ですぜ、そこの奥さん!

非常な芸達者で会場を笑わせたのは乳母役テノールのアルベルト・アレグレッツァ氏。元々この役は笑われ役ではあるけど、役者としても活躍、とパンフの紹介にあるだけに出てくると目が離せない。オネエ風歌唱全開
終盤の「成り上がり」の歌では、後方にいるコントラバスの人が笑いをこらえているのを、私は見逃さなかったぞ(*^^)v

不満だったのは、侍女と小姓のバカップルがイチャイチャする「ぼくは何だか変な感じなんだ」。I教授によると、ここは前段のセネカの死が、年老いてこの世を去りゆくのに対し、若さと愛を対照的に際立たせるように描いているのだという。
サントリーホールのI教授企画では同じ曲を歌っていたのが実際に若い歌手たちだったので、そちらの方がはじけるようなイメージで文脈にずっとピッタリになってた。
まあ演奏会形式だから仕方ないのか。

カヴィーナは歌手より後方、真ん中でチェンバロを立って弾きながら指揮していた。また、チェロの懸田氏やアーチリュートなど通奏低音勢の頑張りが舞台を支えていた。

終曲後は熱烈拍手&ブラボー、そしてスタンディング・オベイションであったよ。
12月にNHK-BSで放映あるそうなので、見逃した人はそれまでジッと待つがよろし。

それにしても、ラ・ヴェネ(ク)シアーナといやあエマヌエラ・ガッリとマメリの双頭体制が売りだったはず。今回もこの二人の組み合わせで聞きたかった。ガッリはどうしちゃったの?


【追記:訂正とお詫び】
NHK-BSの収録があったのはこちらではなくて、翌日のマメリの単独コンサートの方でした。
それから、「コントラバスの爪弾きでジャズっぽくて云々」と書きましたが、これもソロ・コンサートと記憶がごっちゃになっていました。老化現象であります。すみませんんm(__)m


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2014年10月28日 (火)

「カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇」:女芸術家三界に家なく、病院あり

監督:ブリュノ・デュモン
出演:ジュリエット・ビノシュ
フランス2013年
*TV放映

アーティストの伝記という点では同じとはいえ、前回書いた『イヴ・サンローラン』とは対照的な映画を見たので紹介したい。日本未公開作品である。

ロダンの弟子にして愛人・モデルとしてのみ、つとに有名なカミーユ・クローデル--この二人のなれそめや確執を描いた作品としては『カミーユ・クローデル』(1988年)があるそうだ。私は未見だが、主役の二人がイザベル・アジャーニとジェラール・ドパルデューというのはいかにもピッタリである。(アジャーニは、実物の写真を見るとかなり似ていると思う)

こちらのカミーユはもはや50歳過ぎ、精神を病みパリ郊外の病院へ家族によって入れられている。
とある日、医者から一週間後に弟が面会に訪ねてくると聞かされ、彼女は喜ぶ。弟が訪れるまでのその一週間を描く。

1915年という時代を考えると、その精神病院はかなり開放的ではないかと思えるけど、かなり騒がしく彼女をいらだたせる環境だ。それにスケッチをするぐらいしか創作活動が許されていないのもつらい。

弟のポール・クローデルは姉の唯一の理解者として見なされているが、この映画の中ではそうではない。熱心なカトリックとしての信仰心は、むしろ姉の狂気にも似た偏執を感じさせる。旅の途中で上半身裸になって手紙を書いている場面など、いつ自分を鞭打ち出すかとハラハラしてしまったぐらいだ(@^^)/~~~ピシーッ

そしてその信仰ゆえ、姉がロダンの子どもを中絶したことを絶対に許さず、病院を退院することも許さない。院長が病状が良くなったので退院を勧めるが、言下に拒否するのだ。

そのような場面を除けば、ほとんどジュリエット・ビノシュ扮する主人公が、ある時は独りで、またある時は他の患者と共に周囲の自然の中にいるところを淡々と描いているに過ぎない。
病院の周囲は乾燥した丘陵地帯といった風情で、美しくはあるが荒涼としている。あまり長くいたいとも思えない。しかし、死ぬまで彼女は出られなかった。弟は葬式にも来なかったという。

J・ビノシュは熱演というしかなくハマリ役ではあるが、いかんせん全体的に地味すぎ。日本で未公開だったのも仕方ないだろう。
しかし、メロドラマ向きともいえる前半生ではなく、中年になった一時期だけを切り取り、回想シーンも彼女の作品も見せないにも関わらず、アーティストとしての自負と情熱と焦燥を描いているのは見事である。

見ていて、同じく女性芸術家を描いた『セラフィーヌの庭』の影響を感じた。こちらも実在の画家を描いた作品だが、やはり晩年は精神病院に入る。そのあたりの印象が似ている。
『セラフィーヌ~』も地味な映画だが結構影響力があるらしい。NHKで草間彌生のドキュメンタリーをやった時、終盤のシーンを真似していたようだった(ドキュメンタリーなのに)。

カミーユはロダンに作品を奪われたと訴えたが、草間彌生もウォーホールなどにパクられたと主張していた。
所詮、女芸術家は病院に行くしかないのだろうか。


狂気度:8点
自然度:8点

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2014年10月26日 (日)

「イヴ・サンローラン」:人か服か

141026
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ
フランス2014年

ファッションやブランド関係にはとみに疎い私ゆえ、イヴ・サンローランといっても「ファッション界のエライ人~\(^o^)/」ぐらいの認識しかなかった。

アルジェリア出身ゆえの本国フランスへの複雑な思い、母との関係、21歳でディオールの後継者という重責、兵役問題、ゲイとしての悩み、芸術家との交友--など、ほとんど知らなかったのでそういう意味ではタメになる伝記映画ではあった。
しかし、その大部分はドロドロした恋愛問題(主に三角関係)であって、見ていていささか辟易してしまった。
そして、ドラッグ、性的放縦と荒廃した生活で仕事にも支障が……というスキャンダルな件りは、まだ存命中のパートナーの回顧を元にしているので、その分差し引いてみる必要があるかもしれない。

問題は、彼の仕事のどこが革新的だったのかというのが見ててさっぱり分からなかったことである。それにファッション界の恐ろしいウラ話なんかもほとんど出て来なかったのも期待外れ。いや、別に「モデルの履く靴に、嫌がらせの画びょうが」なんてのを期待していたわけではないんだけどね(^^ゞ
なんでも、初めて有色人種のモデルを起用したデザイナーだったそうなのだが、そういう話も出て来ない。

まあ、主人公を始めエエ男がいっぱい登場したのは目の保養になったわな(*^。^*)
それと、ファッションショーの場面が頻出するが、当時の本物の衣装を使っているとのことで、これは見事だった。

日本人のいかにも野暮ったいオヤヂのバイヤーたちが登場する場面があるが、ツイッターの情報によると「デビューのショーを見ただけでその才能を見抜いた西武百貨店の駐留バイヤー堤邦子氏が契約しに来た画期的シーン」なのだそうだ。ビックリである(!o!)

たまたま平日に休みが取れた日に行ったら中高年の客で混雑であったよ


スキャンダル度:8点
アート度:6点


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2014年10月19日 (日)

「異国のJ.S.バッハ フランス編」:ラモーとバッハ、似た者同士なの~

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上野の森オルガンシリーズ2014
会場:東京藝術大学奏楽堂
2014年10月12日

藝大のオルガン科&古楽科の共同企画で、2000円という超格安価格で庶民にコンサートを聞かせてくれるこのシリーズ、前回のイタリア編に続き、この日はフランス編である。

解説文によると、バッハ先生がフランス音楽に出会ったのは15歳の時、フランス趣味に浸っていたツェレの宮廷にてということだ。

プログラムの構成も同じで、最初と最後にオルガン曲を置き、間にカンタータとチェンバロ独奏を挟むというもの。

オルガン曲はタイトルからしてフランス語の「ピエス・ドルグ」BWV572、フランスの形式が使われた「バビロンの流れのほとりにて」、A・レゾンというフランスの作曲家の作品を元にした「パッサカリア」BWV582を原曲と共に。
クープランの「諸国の人々」の中の一曲をオルガン版にした「アリア」BWV587は、へーこんなのあったんだーと驚きましたです(^^ゞ

チェンバロ曲はは当然ながら「フランス風序曲」で大塚直哉が独奏。
カンタータについては、なんとバッハ先生でなくてラモーの「オルフェ」が演奏された。没後250年記念てことであろうか。
そもそもはフランス歌曲が「本業」の野々下由香里が歌った。ソプラノがオルフェの物語を、一人三役でレチとアリアを歌い継いでいくという形式が珍しかった。いかにも清澄なソプラノが映える曲であった。

例の如く会場は広くて立派なので、オルガン曲については問題はないが、チェンバロ・ソロや古楽のアンサンブルにはいささかキビシイものがあった。
ま、でも安いから文句は言えねえです(*^^)v

さて、次回はスペイン編かイギリス編か(^◇^;)

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2014年10月18日 (土)

結城座「オールドリフレイン」:老女の夢は夜開くのよ

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脚本・演出:渡辺えり
会場:座・高円寺2
2014年10月2~5日

380周年記念公演第2弾(第1弾はこちら)は、渡辺えりの代表作ともいえる『オールドリフレイン』(1987年初演)の再演である。
小劇場ブームの頃も劇団3○○は見た事がなかったので、この芝居も初体験だ。

孤独な老女が一人、部屋で夢を見続けて何かを待っている。彼女が眠ると、そこから老人と少年が現れ、さらに老人の若い頃へと戻っていく。
老女は夭折した尾崎翠をモデルにしているとのこと。時代を飛び越え、世界を股にかけて奇想天外なハチャメチャ話が続く。
様々なイメージや要素やらアクションやら入れ子状態になってぐるぐる回っているような状態である。それを人形たちが演じるところがまたすごい。とっかえひっかえ現われてはまた消える。
もっとも、途中で孫三郎&田中淳の兄弟が、人形を置いて前回同様取っ組み合いをするサービス場面もあった。

このようなめくるめくイメージを描きだした結城座一同のパワーは全くもって素晴らしいものだったが、一方で物語は冗長で漠然としすぎ、ダラダラしているとしか思えなかった。
まあ、これは渡辺えりの作品と、私個人の相性が悪いということなのだろう。客席全体の反応は大いにウケていた。

この日はアフタートークがあった。孫三郎と人形美術を担当した宇野亜喜良の対談である。話題はなぜか武智鉄二のことが中心で、孫三郎は若い頃彼に弟子入りしてたそうな。その武智は谷崎潤一郎の弟子だったとか、ポルノ映画を作ったのは金のためだった--などという話が出た。
また、人形と役者が初めて共演したのはエノケンの舞台だった、など。

会場で偶然仕事仲間と出会ってビックリした。しかも、座席が二つぐらいしか離れていない。どうも二人ともチケットぴあで買ったためのようだ。

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2014年10月13日 (月)

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」:続編はあの劇団で

監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット
米国2014年

アメコミ原作で米国で大ヒット、予告を見ると面白そうだし、日本でのネット評も大絶賛状態なので、見に行ってみた。
しかし、絶賛評を見過ぎて期待がふくらみ過ぎたようだ--というのが正直な感想である。

母親を亡くしたばかりの少年が突然UFOに誘拐される。成長した後は盗掘屋となって、宇宙のそこここでお宝探しをする。プロローグ後の廃墟の惑星を進む場面では懐かしの80年代サウンドがかかりまくり、非常に面白くてワクワクする。残念なのは、これを超えるほどの面白い場面がこの後に出てこなかった事だ。

そこに出現する「石」を見ると、これが「アベンジャー」シリーズとつながっていることが分かる。
その後はアライグマやら木人間やら緑女やらが登場して「石」の争奪戦でドタバタと宇宙を股にかけた活劇が展開するのであった。

個々のキャラクターやらギャグやらで笑えて見てて楽しいのだが、問題は周囲のキャラの個性が豊かすぎて強烈なため、肝心の主人公があまり特徴のないフツーの奴にしか見えなかったこと。一応プレイボーイだという設定らしいが、基本ディズニー映画なんでエロっぽいシーンはなし。
『スター・ウォーズ』の「えぴ4」のハン・ソロだって似たようなものだが、あの「いなせな兄ちゃん」風なところもない。
まあ、ならず者たちに育てられた割にはまともな子に育ってるから、亡くなったお母さんも草葉の陰からさぞお喜びのことでしょう(涙をぬぐう)。これから先の続編で大物になるのであろうか。

場面のそこここには、過去のSF系作品が引用されているようだ。といっても、その使い方が全面的ではなくて一瞬でしかも「半分」くらいなので「あれ、なんか見たことがあったかな」と深く追求されることなくうまく通り過ぎてしまう。
例えば、この映画の最も感動シーンは某アニメのクライマックス(私はそれを観た時号泣した)にクリソツな気がするのだが、どんなもんかね(?_?)

最も手ごわい悪役が登場してもその前でギャグをかます主人公--これもどこかで見た記憶が……。と後でよくよく思い出してみたら、なんと劇団新感線であった(!o!)
そうなのだ、ギャグのかまし方とかキャラクターの立ち方とかドタバタ具合とか、新感線の芝居とソックリである。新感線はSF物は少ないが、もし彼らが同じものをやったらさらに100倍は面白くなりそうだ。どうせなら続編やってくれ~。

80年代サウンドは私にはほとんど出だしを歌えそうなぐらい。世代的にはまっていたが、若い人にはどうなのかね。あと、もう少し歌詞を訳してほしかった。
ネットの意見では、古いカセットテープはのびて聞けなくなるのでは?というのがあったが、銀河の最新の科学技術で修復しているのだよ、たぶん。


回顧度:8点
ヒーロー度:6点

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2014年10月12日 (日)

バッハ・コレギウム・ジャパン第109回定期演奏会:脳内妄想爆発す

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世俗カンタータ・シリーズ4
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2014年10月3日

今回演奏された2曲は、ザクセン選帝侯の息子と妃の誕生日を祝うために作曲されたカンタータだった。とはいえど、別に宮廷へ行って祝ったということではなくて、ライプツィヒで祝賀演奏会を開いたということらしい。(マサアキ氏の解説あり)

もっとも、そのほとんどの曲は聞き覚えのあるものばかりである。その後、バッハは『クリスマス・オラトリオ』に流用したのであった。
となれば「クリオラ聞いてれば足りるんじゃ?」と思える。しかし「音楽劇」と銘打たれているだけあって、人物のキャラクター性が強く、歌手の個性と相まって相乗効果で面白く聞くことができたのだった。

前半の『案じつつ、見守らん』は、ギリシャ神話からのエピソード。冒頭で少年のヘラクレスがこれから快楽の道を行くか徳の道を行くかと迷う。ロビン・ブレイズのヘラクレスの前に、快楽の女神であるジョアン・ランが出現し、静かに囁くようにアリアを歌い始め、やがて力強い歓喜へと誘うのであった。その時の弦の音がまた快いのだよね~
思わず、はいはいヽ(^o^)丿私、文句なく快楽派でーすと、ランたんの元へ走り寄っちゃいたいところであるが、櫻田亮扮する徳が引き止めるのであった。

そこでどっちを取るかヘラクレスの悩みが歌われるが、これは『クリオラ』でもおなじみエコーをつかったアリアで、オーボエと歌とこだまの掛け合いが効果的にうまく使われている。

遂に心を決め、笑顔で嬉しそうにロビン君ヘラクレスが櫻田・徳へ歩み寄り、そして二人で仲良く歌うは--
「固くゆるがぬ婚姻のちぎりを交わそう」「わたしはあなたのもの」「そなたにくちづけを

バッハ先生こりゃなんですか~~~っ(>O<)ギャー
ラブラブですよー(*^o^*)
フ女子ならずとも脳内妄想爆発です
萌えてエエですか

まあ、物語上は「徳」は女神だから問題ないんですけどね。でも実際歌ってるのはテノールじゃありませんか(@_@;)
ロビン&櫻田の二重唱が絡み合うように歌い上げ、さらにその背後で呼応するように若松&高田女史二人がヴィオラ熱く二重奏するのであった。

いやー、しかしもしバッハ先生が神話を題材にバロックオペラ書いてたら、主人公とヒロインがこんなとろけるようなデュエットやって大円団してたかねー……などと想像してしまいましたよ。

後半は『とどろけ太鼓、高鳴れラッパ』というタイトルだけあって、J・F・マドゥフ組のトランペットとT・ホルシンガーのティンパニが活躍だった。特にD・ヴェルナー歌うバスのアリアではトランペットのソロと歌声がピッタリと合っていて見事なもんだった。
アンコールは『クリオラ』から。

内容がメデタイものだったので、聞き終わって晴れやかな気分で、会場も拍手喝采だった。ただ、客の入りは受難曲などに比べると今イチ今ニだったのが残念。有名曲・大曲に人が集まるのは仕方ないとはいえ、だ。

また、BCJにしては珍しくアンケート用紙を配ってたのも驚いた(初めて?)。
一緒に次回の定期で共演するコンチェルト・パラティーノの「BCJ会員限定特別コンサート」のチラシも入っていた。
えー、コンチェルト・パラティーノなら単独でも聞きたいよ~(T_T) 普通にコンサートやってくれないの?
しかし近江楽堂で一万円て、高いのか安いのかどう評価したらいいのか分からん。それにあんな小さくて響く会場でコルネットとトロンボーン何本も吹いたら、耳がガンガンしてしまうのでは……


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2014年10月11日 (土)

「チェロ音楽の元祖 イタリアン!」:所沢からイタリア硬派

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演奏:鈴木秀美&上尾直毅
会場:松明堂音楽ホール
2014年9月28日

前日聴いたコンサートは残響の多い会場でガンバの柔らかい音がボヤ~ンとしたフランスものだった。しかし、この日は打って変わってチェロのゴリゴリした音がダイレクトに響く。しかもタイトルが「イタリアン!」である。

曲は時代順に展開。チェロ曲の始祖D・ガブリエ(ッ)リ、チェロ・ソナタを書いたヴィヴァルディ、ジェミニアーニは順当なところだが、はてヤッキーニとは……初めて聞きました。
ボワモルティエはフランス人だし、笛系の曲で有名だが、ヒデミ氏によるとほとんどの楽器のための曲を作っていて、しかもイタリア趣味があったという(当時のフランス音楽界では仏×伊の激突があった)。
そして、最後はやはり知らない作曲家のカナヴァス。1713年生まれということで、もはや古典派に近いくらい。ヒデミ氏は曲について「こんなに甘くていいのか」と言っていたが、聞いてみると「甘い」というよりは「濃い」印象だった。

アンコールはヴィヴァルディで口直し。
ナオキ氏の鍵盤ソロはスカルラッティで、引き締まった響きを聞かせた。
この二日間で仏伊の音を堪能しまくりましたよ

会場は女性が多数(7~8割)でいささか驚いた。もしかしてヒデミ&ナオキの固定ファンか(^^?) そのうち「ヒデミ~」とか「ナオキッ」とか歓声が飛んだりして。
そしたら私も松明堂の長椅子のあの長い座布団をステージに向かって投げちゃおうかな。

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2014年10月 5日 (日)

「フランスバロックの黄金時代」:村祭りでバロックダンス

141005
演奏:エマニュエル・ジラール、村上暁美、高本一郎
会場:近江楽堂
2014年9月27日

このところイタリア物コンサートが続いたんで、フランス・バロック演奏会に行ってきました(^^)/

チェロでもおなじみE・ジラールのガンバを中心に、クープラン、マレ、フォルクレ--とまさに王道のセレクションである。
間にデュフリのチェンバロ・ソロ曲やリュート独奏を挟むという構成だった。

冒頭のクープランの組曲は録音でもよく取り上げられる人気作品だが、これまで聞いた中ではこの日のジラール氏の演奏が一番ゆっくりとしたテンポだった。

逆にマレの「田園の宴」はやたらと速くてこれまた驚いた。もっとも、ジラール氏の日本語での解説によると「村の祭り」と訳していたんで、このテンポが正解なのかも。
「田園の宴」なら優雅な貴婦人たちが郊外の庭園でダンスするというイメージだが、「村の祭り」では頭に浮かぶのは「村の神社前で盆踊り」だからなあ(^O^)
フォルクレの組曲も躍動的な演奏で聞かせてくれた。

デュフリの独奏曲で存在感を出していたチェンバロは、会場備え付けのものではなく、中国の登記を思わせる白を地にしたシノワズリーで彩られていて思わず見入ってしまった。「写真撮ってもエエですか~」と聞いてみればよかった(後悔)

全体にフランス趣味を堪能できたコンサートだったが、不思議なことにチェンバロにしろリュートにしろ個々の音は素晴らしいのに、なぜかアンサンブルになるとなんだか今イチまとまりなくバラついた音に聞こえてしまったこと。座った場所が悪かったかしらん。近江楽堂は反響が複雑っぽいからなあ(?_?)

12月に三鷹で英国ものをやるそうだが、どうしようか。三鷹はちょっと遠いんだよねえ……


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2014年10月 4日 (土)

「18世紀イタリアのアモーレ 交歓する歌」:名歌曲に有名無名なし!

141004
演奏:阿部早希子ほか
会場:日本福音ルーテル東京教会
2014年9月19日

しばらく前に出たステッファーニの録音が評判になったソプラノ歌手阿部早希子が、そのCDでも一緒だったテノール福島康晴、チェロ懸田貴嗣と共にイタリアものをやるというんで、聞きに行ってみた。
取り上げるのはステッファーニだけでなく、ヘンデル、ポルポラ、ガブリエッリ(「ガブリエーリ」とは別人なり)も。他の出演者はアルト木下泰子、バロックハープ矢野薫、チェンバロ吉見伊代であった。

また開演前に三澤寿喜がプレレクチャーとして、イタリア時代のヘンデルについて時間は短いが濃ゆい解説をした。イタリアに行って3年半で、ヘンデルはイタリア語を使いこなしてガッツリとイタリアの様式を我が物にしたという。
ただ、以前にも同じ会場で解説を聞いたが、教会なんでマイクを使うと残響あり過ぎて話がよく聞こえない。ゆっくりと発音を明確にして喋らないと離れた場所の客は、何言ってるか分からないんじゃないの?

構成はそのヘンデルを最初と最後に持ってきていた。特にラストの「お前は私の胸にたくさんの矢を放つ」は三澤先生大激賞の作品。阿部&木下ペアの二重唱ででじっくり聞かせた。
ポルポラの「私の哀れな心から」は木下女史が熱唱であった。ただ、以前にも感じたがポルポラの曲って長いのが多い? よほどの歌手でないと聞いてる方が疲れちゃう危険性ありかも。

ヘンデルが写譜して二重唱曲を徹底研究したというステッファーニは福島&阿部ペアで二曲やった。「草原から持ち去るこの花は」はまるで二人の声が互いに渦巻いているよう。ただ、ヘンデルが劇場で堂々と盛り上げるタイプに比べて、こちらは宮廷やサロンでしっとりと聞き入るようなイメージだろうか。
ステッファーニの録音は過去にフォンス・ムジケが出していて一時期愛聴盤になっていた。ただし、こちらはソプラノとCTの組み合わせだった。

他にはチェロのための曲を始めて書いた作曲家として知られるガブリエッリのテノール曲も。
残念だったのは三人揃っての歌を聞けなかったことかな(S+A+Tという曲がなかったとのこと)

プログラムの解説で懸田氏は
「これらの作品は楽譜の出版事情やこれまでの経緯から単に演奏機会が少ないだけで、作品の魅力は決して有名なバロック声楽作品に劣ることはありません。(中略)これらが全く音になれず、放って置かれることほど勿体ないことはありません!」
と力説している。

というわけで、私も有名無名を問わず多くの作品を聞いてみたいぞっと(^^♪


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2014年10月 2日 (木)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 10月版

なんだか夏の疲れがドッと来ている秋ではありますが、がんばってコンサートは行くんだいっ(^O^;

*12日(日)異国のJ.S.バッハ フランス編
*15日(水)ポッペーアの戴冠(ラ・ヴェネクシアーナ)
*16日(木)ロベルタ・マメリ&ラ・ヴェネクシアーナ
連チャンの後はきっと「マメリたん(^Q^;)ハアハア」なツイートがあふれるんでしょうなあ。

他にはこんなのも
*4日(土)金子浩バロック・リュートリサイタル
      ルネサンスの詩人達とラージ(南蛮ムジカ)
限定20人とか。他の予定が入ってて残念無念よ
*13日(月)フランスバロックの雅な響き(品川聖+中村恵美)
*17日(金)パーセル・プロジェクト
       二人のL~ロカテッリとレクレール(菊池香苗+外川陽子)
*19日(日)ジョングルール・ボン・ミュジシャン街頭ライヴ
1日4回やるもよう。お代は聞いてのお帰りに。
*22日(水)櫻田亨
*24日(金)バロック音楽の楽しみ(花岡和生ほか)
*25日(土)ララバイ(佐藤亜紀子)
これはぜひ行ってみたいが、土曜出勤の日と重なっちゃったです。
*26日(日)聖母マリアの夕べの祈り(渡邊順生ほか)
*31日(金)嘆き、そして祈り

新・福岡古楽音楽祭も開始ですな。

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