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2015年1月

2015年1月31日 (土)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 2月版

寒さがヤケにしみる今日この頃。コンサート通いも、つい控えめに。

*13日(金)バッハ フーガの技法(ザ・ロイヤル・コンソート)
ガンバ3+ヴァイオリン1の演奏楽しみです(^^)
*21日(土)テレマンとバッハ父子(有田正広ほか)
*28日(土)・3月1日(日)ヴィヴァルディ メッセニアの神託(ファビオ・ビオンディほか)
遂に来た!果たしてカーテンコールで飛び交うのは「ブラボー」か「ブー」か。既にCT歌手が降板。予断を許しません\(◎o◎)/!

他にはこんなのも。
*1日(日)シェイクスピアと音楽~描き出された女性たち(波多野睦美ほか)
*7日(土)・8日(日)横濱・西洋館de古楽2015
一番行ってみたいのは8日夜の山梨・国際古楽コンクール入賞者コンサートですね。
*13日(金)ガットストリーム第1回 イタリアン!(鈴木秀美)
       ヘンデル アレグザンダーの饗宴(ヘンデル・フェスティバル・ジャパン)
この日は行きたい公演がバッティンクしまくり(>_<) なんとかしてくれ~
*14日(土)坂本龍右ルネサンスリュート・リサイタル
もしかしたら行くかも。
*20日(金)太陽王と音楽(アンサンブル・ド・ラ・コンセール)
ルイ14世没後300年記念
*21日(土)16世紀ハプスブルク帝国の宗教音楽(ベアータ・ムジカ・トキエンシス)
取り上げるのがデ・モンテとガルスというなかなか聞けない二人。この公演もバッティングしとります。
*22日(日)イタリアの風が吹く時~冬(太田光子&平井み帆)
同時にお隣の会場でBCJという強敵が……。

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2015年1月25日 (日)

「マップ・トゥ・ザ・スターズ」:星の数ほどいるスター

150125
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ
カナダ・米国・ドイツ・フランス2014年

あのクローネンバーグがハリウッド内幕ものを! しかも、役者はかなり豪華ではないか ……なのになぜ単館ロードショー(^^?)
と不審に思ったが、見てみて納得。やはりクロ節炸裂の一作、人々が喜んで見に行くようなエンタテインメント性はない。イヤミと苦みと訳分からなさが充満しているのだった。

有名女優だった母親とのトラウマに悩む落ち目の中年女優、共演中の年下子役に主役を奪われるのではと焦ってはヤク漬けになる子役スター、ふらりとハリウッドを訪れたライター志望の若い娘--このバラバラに描かれていた三者がやがて一つに繋がっていく。

その間に登場人物たちの噂話としてハリウッドのゴシップ(しかも実名の)が語られる。それは明るい陽光の下、不吉な都市伝説のようにそこここに漂っている。時折出現する亡霊や、妄想・幻想と同じようだ。
そうして『ハリウッド・バビロン』のような暴力・死・恐怖・退廃が緩慢に綴られていくのであった。

もちろん人物の設定や言動もその「伝説」を踏まえたものだろう。ふざけて銃でペットを撃っちゃうとか、ドラッグ濫用で早死にとか、怪しげなセレブ御用達の療法士とか、強迫的な子役ママ、いい役獲得のための枕営業、偽善的な病気チャリティ、自称役者のバイト生活ではや何年、殺人の凶器がアレとか色々……。

スターの数だけゴシップは存在する。とすれば、ラストの若者たちの行動は純粋な子ども部屋の夢の続きのように思える。夢見る子ども部屋の天井にはまがい物の星が投影されているのだ。

ジョン・キューザックがシラーッとした無表情で、いかにもうさん臭げなセラピストを演じていて笑ってしまう。そういや、この人とキャリー・フィッシャー(本人役で出演)は俳優ファミリー出身ですな。
ちなみに、C・フィッシャーの身体の横幅が昔の2倍以上になってて驚いた。これで『スター・ウォーズ』の新作に出たらオールド・ファンはみんな客席で倒れてしまうだろう、っていうぐらい(>y<;)

ジュリアン・ムーアは、ここまでやらないとカンヌで女優賞は取れないのかと思えるほどの、あれやこれや熱演しまくっている。『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクといい勝負である。
もちろん、いつも眉の間に縦ジワを寄せているようなブスっ面のミア・ワシコウスカも忘れられない。ロバート・パティンソンは脚本家本人を投影した役の割には出番が少なかった。

さて、少し離れた座席に20秒おきぐらいにポリ袋をガサガサさせる男がいて参った。ビョーキとしか思えない。おかげで最初の30分ほど集中できなくて内容がまだら状態の記憶である。
ホントに久しぶりに映画のパンフを買った。ハリウッドの案内マップ風の体裁で地図まで付いているが、やはりあまり内容のないものだった。買って損したぜ。
ただ「母親役のサラ・ガドンがJ・ムーアとのベッド・シーンで胸を見せた」という内容の文章があったんだけど、そんな場面あったっけ(?_?) 全く覚えてない。ポリ袋騒音のせいで記憶が飛んだかね


「サンセット大通り」度:8点
「マルホランド・ドライブ」度:6点


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2015年1月24日 (土)

「エレナの惑い」:開放された部屋、閉ざされた家族

150124
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:ナジェジダ・マルキナ
ロシア2011年

冒頭、無人の部屋が映し出される。チリ一つなく整然としたモダンなインテリアの超豪華マンションの一室である。(なにせ冷蔵庫も作り付けだ
陽光は射しこんでいるが、冷え冷えとした雰囲気だ。

住人は初老の夫婦で、夫の方は仕事を引退したらしく優雅な隠居生活を送る。毎日決めたスケジュール通りに動き、その生活ぶりも整然としている。妻はかいがいしく主婦業をこなし彼に仕えているようだ。

彼女は後妻で、失業中の自分の息子を援助してくれと頼むが断られる。夫の方にも放蕩生活を送る娘がいて、その点については後ろめたい。
やがて、二人は同居生活を送っているのは10年間だが、正式に結婚したのはわずか2年前だったというようなことが徐々に判明してくる。説明的なセリフではなく、さりげない会話から徐々に事情を分からせるのが巧みだ。

これだけ書くと傲慢な金持ち男が、豊かではない階層出身の献身的な妻を仕えさせている--という図式に思えるが、実はそんな単純なものではない。
妻は自分の息子を溺愛しているが、これがまたどーしようもないボンクラ息子_| ̄|○で、その言動は高校生の自分の子どもとほとんど変わりない(この息子役の男優さんは「地」かと思えるほど全身からボンクラ電波を漂わせている)。母親の溺愛に対し、自分から応えようという気もない。しかし、彼女はそれを意に介してもいないのである。
正直、「奥さん、あんた育て方を間違ってるよ<`ヘ´>」と言いたくなる。
一方、夫の方は冷戦状態だった娘と、それなりの距離を保った和解を遂げる。それとは対照的である。

貧富、男女、親子、世代、社会構造……様々にねじくれて、一筋縄ではいかない物語だ。そして結末は極めて皮肉としかいいようのないラストシーンを迎えるのだった。

映画のチラシには「今なお男性優位主義のロシア」とあるが、日本でもあれぐらいの年代の夫の、妻に対する態度は似たようなもんだろう。彼女が足しげく息子の家に行くことも皮肉を言うぐらいで、止めたりはしていない。
その息子一家が住んでいるのが、狭苦しい郊外の団地である。しかも、原子力発電所が隣接しているのだ。こういう所の描写は容赦がない

語り口は抑制のきいた静かなトーンが支配し、極めて淡々と全てが進む。映像も静謐で冴え冴えとしている。フィリップ・グラスの音楽をうまく使用している。

見ていて、ダルデンヌ兄弟とM・ハネケを合わせたようだと感じた。特に終盤はハネケの『愛、アムール』を思い起こさせるところが多い。だが、製作年度はこちらの方が一年早いのだよ(!o!) 
監督はようやく長編三作目で寡作なようだ。しかし新作は既に完成していて、なんとゴールデン・グローブ賞の外国映画賞を獲得したのであるヽ(^o^)丿メデタイ! アカデミー賞にもノミネートされているので、ぜひ取って(『イーダ』にも取って欲しいが……)日本でも公開してほしい。……公開してくれるよね(^人^)オネガイ
しかも、新作はロシア政府からは「反愛国的」と批判されたという。「非国民」上等ますます見たくなった。いずれにしても、これから注目の監督に間違いない。

この映画はチラシの宣伝文句を読んでも今一つピンと来なくて見るつもりはなかった。気が変わったのは新聞の批評を読んだからである。
それでも、年も押し迫って行った『マップ・トゥ・ザ・スターズ』が満員御礼になって入れなかった--という事態にならなかったら、未だに見ていなかったかも。偶然とは恐ろしいもんである。
その時は新宿武蔵野館から渋谷のユーロスペースまで18分で行った。我ながら綱渡り、かつ場当たり的であるよなあ(@_@;)


ダルデンヌ度:8点
ハネケ度:9点


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2015年1月22日 (木)

2014年度日本インターネット映画大賞外国映画部門に投票

[作品賞投票ルール(抄)]
選出作品は3作品以上10作品まで
1回の鑑賞料金(通常、3D作品、字幕、オムニバス等)で1作品
持ち点合計は30点
1作品に投票できる最大点数は10点まで
各部門賞に投票できるのは個人のみ
ニューフェイスブレイク賞は俳優か女優個人のみ
音楽賞は作品名で投票
以上のルール満たさない場合は賞の一部を無効
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【作品賞】(3本以上10本まで)
  「悪童日記」5点
  「エレナの惑い」5点(感想追加)
  「イーダ」4点
  「オール・イズ・ロスト」4点
  「マップ・トゥ・ザ・スターズ」3点(感想追加)
  「ドラッグ・ウォー 毒戦」3点
  「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」3点
  「スノーピアサー」1点
  「カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇」1点
  「バックコーラスの歌姫たち」1点
【コメント】
「エレナの惑い」は、年末に行った「マップ・トゥ・ザ・スターズ」が満員じゃなかったら、見なかったかもしれない。危ないところだった。「カミーユ・クローデル」は未公開作品でTV放映である。

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【監督賞】              作品名
   [アンドレイ・ズビャギンツェフ] (「エレナの惑い」)
【コメント】
絶対にこの名前は覚えられそうにない。「オール・イズ・ロスト」のJ・C・チャンダーとどちらにするか迷った。二人とも新作が評価が高いので楽しみである。こ、公開してくれるよね……(>y<;)

【主演男優賞】
   [ロバート・レッドフォード] (「オール・イズ・ロスト」)
【コメント】
今さらながらのレッドフォードであるが、出ずっぱりの一人舞台ならぬ一人映画をようやったということで。

【主演女優賞】
   [ケイト・ブランシェット] (「ブルージャスミン」)
【コメント】
順当なところで。

【助演男優賞】
   [イアン・マッケラン] (「ホビット 決戦のゆくえ」「ホビット 竜に奪われた王国」)
【コメント】
「ホビット」のみならず「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズも全て含めてごくろーさん賞の意味で。「ハリポタ」シリーズにおけるスネイプ先生のアラン・リックマン同様、彼がガンダルフでなかったら面白さは50パーセント減となったことだろう。

【助演女優賞】
   [アガタ・クレシャ] (「イーダ」)
【コメント】
複雑な役どころを説得力もって演じていた。

【ニューフェイスブレイク賞】
   [アガタ・チュシェブホフスカ] (「イーダ」)
【コメント】
例によって子役は除外。本人は監督志望というが、役者も続けて欲しい。

【音楽賞】
  「ゴーン・ガール
【コメント】
不穏なアンビエント・ミュージック。

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【私が選ぶ○×賞】

【最優秀怪男優賞】
   [ベン・キングズレー] (「エンダーのゲーム」)
【最優秀怪女優賞】
   [ティルダ・スウィントン] (「スノーピアサー」)
【コメント】
とてもどちらか一人を選べないので、男女優分けた。これからも怪優道を邁進していただきたい。

【最優秀猫賞】
   [氏名不詳] (「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」)
【コメント】
カンヌ映画祭に「パルムキャット」があったら、当然取っていたに違いないニャ

【最優秀銃撃戦賞】
  「ドラッグ・ウォー 毒戦」
【コメント】
昨年は銃撃戦が登場する映画自体あまり見てなかった。今年は素晴らしい銃撃戦を拝みたいもんである。

【最優秀悪役賞】
   [ウィレム・デフォー] (「グランド・ブダペスト・ホテル」)
【コメント】
出番が少なかったのが残念。

【最優秀寿司映画賞】
  「スノーピアサー」
【コメント】
まさか、あんな所で寿司が登場するとは誰が想像しようか(!o!) ああ、マグロ……食いてえ。

【最優秀四文字言葉賞】
   [ロバート・レッドフォード] (「オール・イズ・ロスト」)
【コメント】
役者人生の全身全霊をこめたこれほどの「●△◆×」を聞けることはそうそうあるまいと思ったが、なんとすぐ後から「誰よりも狙われた男」のフィリップ・シーモア・ホフマンが登場してしまった。最後の主演作だからなあとは考えたが、やはり作中唯一のセリフということで、こちらを選んだ。

【最凶予告賞賞】
  「皇帝と公爵
【コメント】
切り貼り編集と邦題で、実物と全く異なるような内容に思わせたのは大したものと言わずばなるまい。いや、別にほめてるわけではないよ。

【最凶邦題賞】
  「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古
【コメント】
「ピーターブルックの」までは正しいからといって、見過ごせるようなものではない。

【ちゃぶ台ひっくり返し賞】
  「プリズナーズ
この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になる映画に与えられる栄光ある賞である。


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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
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2015年1月18日 (日)

「ドロテー・ミールズ ソプラノ・リサイタル」:鷺に鶯♪こいつは春から縁起がエエわい

150118
パリの音楽家たちとともに
会場:津田ホール
2015年1月12日

ソプラノ歌手ドロテー・ミールズが3人の演奏家たちと来日。日本各地で3日連続コンサートを行なった。
彼女の歌は過去にオランダ・バッハ協会のロ短調ミサで聞いたはずなのだが、座席の位置のなど色々あって、ほとんど印象に残っていない。そもそも姿もよく見えなかったし……。
今回は小さめな会場なのでバッチリと歌を聞け、姿も拝めましたよ

全8曲のうち、3曲はそれぞれの器楽奏者(チェンバロ、チェロ、フルート)を中心としたアンサンブル演奏で、ミールズが歌ったのはテレマン、モンテクレール、バッハ、ヘンデルという組み合わせだった。

冒頭のテレマンは、フルートが奏でた旋律を歌でなぞるというような曲。他の歌曲も意図的にこの両者が揃って「歌う」ような作品を選んだようだった。
モンテクレールのカンタータはギリシャ神話の物語をレチとアリアの繰り返しで、一人で語り歌う形式。バッハは「イースター・オラトリオ」からだった。後半のヘンデルも合わせるとなんと英仏独伊語自在に操る、欧州統合\(^o^)/みたいなプログラムだったのだ。

ミールズの歌唱は清澄な美しさで、鮮やかな緑色の衣装もあってウグイスを連想させた。
ラストでは、まさにヘンデルの「スウィート・バード」で鳥の声を模倣してフルートと共に歌い交わす。笛をヒョロ~と吹き鳴らすP・ビュークルスは長身細身で黒服を着ているので、まるで黒いサギ(なんていないけど)みたい。
思わず梅にウグイス、ホ~ホケキョなんて連想しちゃった(^v^)
となれば、支える通奏低音の三輪睦子とH・J・シュビッテルスは梅の木の枝か。あ、でも柔軟さもあるから柳の木かな。

アンコールはヘンデル2曲。ミールズは嬉しそうにスキップせんばかりの足取りでステージを出たり入ったりしていた。まこと新春にふさわしいメデタイ演奏会であった。

会場の津田ホールは今年の3月で閉館とのこと。これが聞き納めである。ステージ上の星形の照明も見納めだ。
ただ、NHKのカメラが入っていたのでTV上では再見できるだろう。U岡氏の情報によると4月上旬放送予定とか。


帰りに1階受付の警備員さん(?)に、閉館の話を尋ねている人がいたので、さりげなく横で耳ダンボしてみたら、なんでも8階にも会議室があって、そこの稼働率も落ちているとのこと。さらに少子化で女子大の経営はただでさえ難しいので、学校に直接関係ないところは切らざるを得ないとのことだった。

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2015年1月17日 (土)

「ホビット 決戦のゆくえ」(2D字幕版):「あの感動を再び」か、「単なる焼き直し」か

150117
監督:ピーター・ジャクソン
出演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン
米国・ニュージーランド2014年

全三部作のうちパート2を春に見たと思ったら、もう完結編が公開だ!早ッ
前作の終わりが「次回に続く」みたいな感じだったからかな。
過去の感想はこちら。
『ホビット 思いがけない冒険』
『ホビット 竜に奪われた王国』

で、ドラゴンが暴れたかと思ったら戦争モードに突入である。美々しいエルフの大軍が整然と現れれば、ドワーフだって黙っちゃいねえぜっ<`ヘ´> と、その混乱を突くようにオーク軍も参戦だいっ 一応人間も闘いに参加してるけど、こりゃちょっと数は少なく貧弱でお呼びでない感じ。
さらにその隙間を縫ってチョロチョロとビルボが暗躍……おお、さすがは忍びの者。ようやく主役っぽくなってきたぞーっ(*^^)vとなった時には既に上映時間は半分以上過ぎているのであった。

一方、吹きっさらしでますます薄汚くボロボロになってしまったガンダルフには、まさかのガラドリエル顕現\(◎o◎)/! 逆お姫様抱っこに逆目覚めのキッスには驚いた~。いや、マジに作中一番の驚異的場面ではなかっただろうか。
……そ、そして(*_*;恐るべしガラ様の貞子化 こりゃー怖いわ、コワ過ぎです。もし3Dで見てて画面からゾロ~っと這い出して来たりしたら、もっと怖かっただろうな。

終盤はレゴラスと宿敵オークの戦いで盛り上がるはずだが、倒壊して崩れていく塔の上でチャンバラやってるシーンは、なんだか戦闘ゲームのアクションみたいでハラハラするというより笑ってしまった(^O^)
笑えたといやあ、トロールが壁に頭突きしてその後、コテンとひっくり返った場面もそうだった。
それから、ドーンと出てきたはいいけど、その後さしたる活躍もせず消えてしまった巨大ミミズの元ネタは『デューン』かな。
……とまあ、全編そんな小ネタをつついたり笑ったりするのにはいい映画である。

戦闘場面以外では、途中で描かれる人物の死や、レゴラスと父スランドゥイルの確執なんて取ってつけたようでテンションが下がる。特に後者は何かありそうで結局何も描いていないような気がしたのだが。
「絆」が強調されている割には、なんだか連帯感が一向に感じられないというのも、問題だなあ(゜_゜)

加えて、トーリンの「石」に対する固執は『ロード・オブ・ザ・リング』での「指輪」と全く相似でなぞっているのだが、これを「素晴らしい力技で一致させた」と見るか、単に「同じことを繰り返しているだけ」と解釈するかで評価は変わってくるようである。

個人的には「長過ぎる戦闘シーンは退屈」と思うような人間なので、この完結編は小ネタをさらうぐらいしか面白味がないのであった。

いやホント、前回も書いたけど、美術や衣装はほんの細かいところととか小物にまで神経が行き届いていてキレイだし、CGの壮大画もこれでもかとテンコ盛りだし、役者もそれぞれ味を出しているし、音楽もピッタリだし、何もかも素晴らしい\(◎o◎)/! 脚本と演出を除いては……。
まあ、サルマン様の華麗なる杖さばきが見られただけでも良しとしよう。

エンドクレジットの背景の何気ないスケッチ画がとてもいい。人物はもちろん、風景や、杯のようなちょっとした小物まで、繊細で美しく、原作の持つファンタジーのイメージが余さず浮かんでくる。ジョン・ハウの絵なんだろうか。画集欲しくなっちまったぜい。


レゴラス身軽度:10点
ビルボ忍び度:7点
ガラ様良妻度:1点

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2015年1月11日 (日)

「ヴェネツィア! 器楽として奏でられるオペラ」:会場はカサカサでも気分は水上の都

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演奏:アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア
会場:近江楽堂
2015年1月8日

今年の初コンサートはこのグループでありました。おまけに結成10周年ということで。ますますメデタイ\(^o^)/
加えてゲストに朝岡聡が出るせいもあってか、完璧に満員御礼で予備席も出るという賑わいであった。
楽器のためにか暖房が利き過ぎ、加湿器があったようだが、段々のどや鼻の奥がカサカサしてくるのには参ったよ。

今回のテーマは「ヴェネツィア」で、当地に縁が深い作曲家を集めた内容。さらに楽器があたかもオペラのように「歌う」曲を選んでいる。

古いところではアルビノーニ、ヴィヴァルディ。プラッティという人は初めて聞いたかな。さらにポルポラ、ガルッピ--この二人は声楽の人というイメージだったので、器楽アンサンブル用作品を書いていたというのに驚いた。もっとも二人ともその作品数は少ないそうだ。
ガルッピの方は、渡邊孝が楽譜を必死で探してスウェーデンの大学図書館で発掘したとのことである。

気に入ったのはポルポラのトリオソナタ。劇的な流れがあって盛り上がる曲だ。ガルッピはちょっと私の守備範囲的には時代が新し過ぎた感じである(^^ゞ
次のCDはガルッピを録音するとのことで(朝岡氏が「あさってから録音開始」と強調)アンコールもこの作曲家だった。

トリはヴィヴァルディの「ラ・フォリア」来ましたっ 過度に激情に走らず的確なコントロールと抑制を利かし、しかし盛り上げるところはズイッと盛り上げるスタイルで、会場はやんやの喝采だった。

朝岡氏は、普段コンサートでほとんど喋らない松永綾子や山口幸恵にもインタビューしようとしたが、二人とも逃げようと(?)後退していくのには笑った(*^_^*)
懸田貴嗣はマイクを向けられて普通の対応、渡邊孝となると喋り足りないように見受けられた。

ともあれこれからまた十年後もアンサンブルを続けていてくだせえ

近江楽堂初の試みであろうか、演奏中に壁にヴェネツィアの風景や図版を投影していて、気分はすっかりヴェネツィア!であった。ただ、その映像が途中でモノクロになったりカラーになったりしたのは謎であるが。

テアトロ・ラ・フェニーチェ、今宵オペラの幕が開く~」……あ、また大貫妙子歌っちゃった(^<^)


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2015年1月10日 (土)

「ゴーン・ガール」:悪妻・強妻・凶妻

150110
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク
米国2014年

D・フィンチャーについては大部分の作品を見ているが、当たるとすご~く面白いが、そうでないと詰まらなくはないがビミョーな出来に思えてしまう。前作の『ドラゴン・タトゥーの女』は後者で今ひとつだった。
代わりにネットドラマの『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は面白くて目が離せないほどだ。

さて、今回はサスペンスものだ。妻が血痕と乱闘の痕跡を残して消えうせてしまう。徐々に夫へ妻殺しの容疑が向けられる。
妻は児童文学のベストセラー作家の娘で、作品内のヒロインのモデルとして有名。一方、夫は全くパッとしない男である。この「ヌボ~としてサエない男」をベン・アフレックがハマリ役で演じている。今、この手の男をやらせたら右に出る者はいないだろうてなぐらい。

不利な証拠が見つかってますます危うしというところで、意外な展開があって失踪ものだったはずが物語のタッチまで変わってしまう。そして、さらにまた180度ひっくり返って元の所へ着地する。
その後半部には驚かされるが、「やられた!\(~o~)/」というよりは「えー、そんなのありかい(・o・)」みたいなぬるい感慨に陥ってしまうのであった。
そもそも終盤はミステリとして整合性にも欠けているようだ。

見ている間は終始ドキドキしていて詰まらないとは思わないのだが、なんとなく「長いなー」(149分!)と頭の隅で思ってしまう。もっとも「長い」と思うこと自体、既に退屈しているという説もあるからな。

他の人の感想でヒチコックの某映画二作を引用しているという説を読んだが、うむむ、そう言われれば確かに……。でも最盛期のヒッチ先生だったら、この内容でも上映時間100分以下で収めるだろう。

結末は二匹のヘビが互いに尻尾を食い合っているようなものか。
ただ登場してくるのが、壊れかけた夫婦、マスコミの暴走、旅、双子、そして妊娠……となんだか、少し前に見た『天才スピヴェット』と似た要素なので笑ってしまった。話は全く違うが。……いや、もしかしてこの主題も「家庭の修復」なのか(?_?;)

さて、死体がなくても殺人容疑で逮捕できるのかという疑問があるが、以前TVドラマの『ロー&オーダー:犯罪心理捜査班』に死体なしで有罪判決を受けたというエピソードが出てきた。どこまで実話なのだか分からないが。(映画内に主人公が「ロー&オーダーみたいだな」と言ってテーマソングを口ずさむ場面あり)

音楽の担当はトレント・レズナーとアッティカス・ロス。これがまた不穏で素晴らしい。B・イーノのエアポート・ミュージックみたいなアンビエント系なのだが、ところどころにノイズっぽい音が入ったりして、落ち着いて座ってられない雰囲気になる。


妻度:7点
夫度:5点

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2015年1月 5日 (月)

「天才スピヴェット」:変人が出ても、まともな映画

150105
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:カイル・キャトレット
フランス・カナダ2013年

3D版で鑑賞。
あのJ・P・ジュネ監督が変な家族の物語を撮ったのかと思って、期待大で見始めたが、どうもそうではないということが途中で分かってきて、大いに期待外れとなってしまった。

確かに主人公の一家は変な家族ではあるが、その原因の半分ぐらいは主人公の弟の死のせいらしい。
彼は家出するが、その目的地で何をしようとしていたのかよく分からない。弟じゃなくて別の才能のある僕を見てってこと? それともぼくは家族を放棄して別の道で生きるってこと?
結果的にマスコミの前で弟の死についての自らの心情を明かすことになる。

そういうことがいろいろあって、結果的に変な家族は「美しい家族」に修復された。みんな違ってみんないい、素晴らしい家族だ。そういう話だったんかい(!o!) でも、家族の修復という話にこんな回りくどい手を使うとは……ついていけません。
原作は「注釈小説」らしい(?_?) どうせだったら、注釈映画にすればよかったのに。
好きな人には大いに楽しめる作品だろうが、個人的には散漫で駆け足な印象だった。

少年が旅する途中の米国の様々な地域の風景は、「ニューカラー」の写真みたいな色彩で美しかった。
3D映像はバトルものなどとは違って、イヤな教師の鼻先が突き出てきたりして嫌味な使い方に笑えた。ただ、メガネの上に3Dメガネはやはり疲れるです……(ーー;)
姉役がクロエ・モレッツかと思ったら別人だった。かなり似ていると思う。(←『マップ・トゥ・ザ・スターズ』にもチョイと出ていた)


天才度:5点
変人度:7点


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2015年1月 4日 (日)

「クリスマスコンサート2014 フランドルの天才 オルランド・ディ・ラッソ」:ラッソと呼べば「ラッスス」と返る作曲者の名前の難しさよ

150104
演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:ハクジュホール
2014年12月12日

ルネサンス期の作曲家として名前が広く知られている割には、ナマで聞く機会は意外と少ないラッソ(ラッスス←こちらの方が一般的)。その宗教曲を集めてのクリスマス・コンサートである。

鍵盤楽器も入らぬ完全アカペラ体制で、総勢6人だった。通常だと鈴木美登里と並ぶソプラノのもう一人は星川美保子なのだが、病欠だそうで染谷熱子という人が代打で入っていた。

聞きごたえがあったのは「めでたし、天の女王」と「テ・デウム」だったろうか。前者はとにかく美しい曲であまりに美し過ぎ心地よ過ぎたせいか沈没している人もいるほどだった。いや、それだけ皆さん歌唱が巧みだったってことですよ(^_^;)
後者は大曲で華やかなので、会場はぐっと盛り上がった。気分は完全クリスマス・モードであったよ。モンテヴェルディなどの公演と同様、訳詞が字幕で出たのも良し

もちろん、編成は曲毎に変わって、男性4人だけという曲もあった。染谷女史は代打とは思えぬほどによく溶け込んでいた。

来年のクリスマスはバッハのモテットをやるとのことで、これまた楽しみだヽ(^o^)丿
ところで、いつもこのグループのコンサートは満員御礼なのに、今回は空席が目立ったのはなぜだ? 某氏が出演しなかったから……(^^?) そんなことないよね


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2015年1月 3日 (土)

「アンサンブル『音楽三昧』J.S.バッハ」:アンドロイドはデジタルバッハを弾くか

150103
会場:松明堂音楽ホール
2014年12月7日

バッハ先生の「平均律クラヴィーア曲集1」と「イタリア協奏曲」「パッサカリア」を、田崎瑞博が器楽アンサンブル用に編曲。それを極めて小さなスペースで聞くというマニア向け(^^?)なコンサートである。
このグループを聞いたのは初めて……かな。記憶があいまいだ(~o~;

2008年に同じ内容でCDを出していたのは知らなかった。(公演後に購入
もっとも「音楽三昧」名義で出している録音で、バロック系はバッハだけのようだ。

グループは5人(ヴァイオリン+チェロ+コントラバス+フルート+チェンバロ)だったが、個々の曲によって編成は変わる。楽器持ち替えもあって、田崎氏もチェロだけでなくヴィオラも弾いたりした。それによって原曲とは違う世界がクルクルと展開していくのであった。

プログラムと一緒に「編曲者ノート」というのが配られて、田崎氏によると音楽史上もっとも偉大な編曲家はバッハだそうである。それを実例を挙げて力説してあった。
で、彼がバッハになり替わって編曲を(^^♪……したのかどうかは分からないが、バッハ作品はいかなる編曲をしてもやはりバッハである、というのは不思議であった。

それを証明するが如く、グループの指向を反映してか、演奏自体はなぜか聴いているとバロックより微かに古典派の香りがしてくるように思えた。私の気のせいかね


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2015年1月 2日 (金)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 1月版

150102
人生が永遠に正月だったら……興奮するのか退屈するのか。
 →タワレコに多額を貢いだ見返りのポストカード

*8日(木)ヴェネツィア! 器楽として奏でられるオペラ(アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア)
今回は10周年記念とな。
*12日(月)ドロテー・ミールズ

他にはこんなのも
*6日(火)トリオソナタの調和(向江昭雅ほか)
*12日(月)イヴ・レヒシュタイナー チェンバロ&オルガン
武蔵野だからもはや完売?
*17日(土)ジョングルール・ボン・ミュジシャン
*20日(火)小川美香子&佐藤亜紀子
是非聞いてみたいけど、平日の昼ではいかんともしがたいのであるよ
*23日(金)convex mirror~時代を映す凸面鏡~中世の秋とルネサンスの春(守谷敦ほか)
*24日(土)イタリアの同時代を生きた2人のアントニオ(マヨラ・カナームス東京)
ヴィヴァルディ&カルダーラ。もしかしたら行くかも。


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