「ゴーン・ガール」:悪妻・強妻・凶妻
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク
米国2014年
D・フィンチャーについては大部分の作品を見ているが、当たるとすご~く面白いが、そうでないと詰まらなくはないがビミョーな出来に思えてしまう。前作の『ドラゴン・タトゥーの女』は後者で今ひとつだった。
代わりにネットドラマの『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は面白くて目が離せないほどだ。
さて、今回はサスペンスものだ。妻が血痕と乱闘の痕跡を残して消えうせてしまう。徐々に夫へ妻殺しの容疑が向けられる。
妻は児童文学のベストセラー作家の娘で、作品内のヒロインのモデルとして有名。一方、夫は全くパッとしない男である。この「ヌボ~としてサエない男」をベン・アフレックがハマリ役で演じている。今、この手の男をやらせたら右に出る者はいないだろうてなぐらい。
不利な証拠が見つかってますます危うしというところで、意外な展開があって失踪ものだったはずが物語のタッチまで変わってしまう。そして、さらにまた180度ひっくり返って元の所へ着地する。
その後半部には驚かされるが、「やられた!\(~o~)/」というよりは「えー、そんなのありかい(・o・)」みたいなぬるい感慨に陥ってしまうのであった。
そもそも終盤はミステリとして整合性にも欠けているようだ。
見ている間は終始ドキドキしていて詰まらないとは思わないのだが、なんとなく「長いなー」(149分!)と頭の隅で思ってしまう。もっとも「長い」と思うこと自体、既に退屈しているという説もあるからな。
他の人の感想でヒチコックの某映画二作を引用しているという説を読んだが、うむむ、そう言われれば確かに……。でも最盛期のヒッチ先生だったら、この内容でも上映時間100分以下で収めるだろう。
結末は二匹のヘビが互いに尻尾を食い合っているようなものか。
ただ登場してくるのが、壊れかけた夫婦、マスコミの暴走、旅、双子、そして妊娠……となんだか、少し前に見た『天才スピヴェット』と似た要素なので笑ってしまった。話は全く違うが。……いや、もしかしてこの主題も「家庭の修復」なのか(?_?;)
さて、死体がなくても殺人容疑で逮捕できるのかという疑問があるが、以前TVドラマの『ロー&オーダー:犯罪心理捜査班』に死体なしで有罪判決を受けたというエピソードが出てきた。どこまで実話なのだか分からないが。(映画内に主人公が「ロー&オーダーみたいだな」と言ってテーマソングを口ずさむ場面あり)
音楽の担当はトレント・レズナーとアッティカス・ロス。これがまた不穏で素晴らしい。B・イーノのエアポート・ミュージックみたいなアンビエント系なのだが、ところどころにノイズっぽい音が入ったりして、落ち着いて座ってられない雰囲気になる。
妻度:7点
夫度:5点
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