「マップ・トゥ・ザ・スターズ」:星の数ほどいるスター
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ
カナダ・米国・ドイツ・フランス2014年
あのクローネンバーグがハリウッド内幕ものを! しかも、役者はかなり豪華ではないか ……なのになぜ単館ロードショー(^^?)
と不審に思ったが、見てみて納得。やはりクロ節炸裂の一作、人々が喜んで見に行くようなエンタテインメント性はない。イヤミと苦みと訳分からなさが充満しているのだった。
有名女優だった母親とのトラウマに悩む落ち目の中年女優、共演中の年下子役に主役を奪われるのではと焦ってはヤク漬けになる子役スター、ふらりとハリウッドを訪れたライター志望の若い娘--このバラバラに描かれていた三者がやがて一つに繋がっていく。
その間に登場人物たちの噂話としてハリウッドのゴシップ(しかも実名の)が語られる。それは明るい陽光の下、不吉な都市伝説のようにそこここに漂っている。時折出現する亡霊や、妄想・幻想と同じようだ。
そうして『ハリウッド・バビロン』のような暴力・死・恐怖・退廃が緩慢に綴られていくのであった。
もちろん人物の設定や言動もその「伝説」を踏まえたものだろう。ふざけて銃でペットを撃っちゃうとか、ドラッグ濫用で早死にとか、怪しげなセレブ御用達の療法士とか、強迫的な子役ママ、いい役獲得のための枕営業、偽善的な病気チャリティ、自称役者のバイト生活ではや何年、殺人の凶器がアレとか色々……。
スターの数だけゴシップは存在する。とすれば、ラストの若者たちの行動は純粋な子ども部屋の夢の続きのように思える。夢見る子ども部屋の天井にはまがい物の星が投影されているのだ。
ジョン・キューザックがシラーッとした無表情で、いかにもうさん臭げなセラピストを演じていて笑ってしまう。そういや、この人とキャリー・フィッシャー(本人役で出演)は俳優ファミリー出身ですな。
ちなみに、C・フィッシャーの身体の横幅が昔の2倍以上になってて驚いた。これで『スター・ウォーズ』の新作に出たらオールド・ファンはみんな客席で倒れてしまうだろう、っていうぐらい(>y<;)
ジュリアン・ムーアは、ここまでやらないとカンヌで女優賞は取れないのかと思えるほどの、あれやこれや熱演しまくっている。『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクといい勝負である。
もちろん、いつも眉の間に縦ジワを寄せているようなブスっ面のミア・ワシコウスカも忘れられない。ロバート・パティンソンは脚本家本人を投影した役の割には出番が少なかった。
さて、少し離れた座席に20秒おきぐらいにポリ袋をガサガサさせる男がいて参った。ビョーキとしか思えない。おかげで最初の30分ほど集中できなくて内容がまだら状態の記憶である。
ホントに久しぶりに映画のパンフを買った。ハリウッドの案内マップ風の体裁で地図まで付いているが、やはりあまり内容のないものだった。買って損したぜ。
ただ「母親役のサラ・ガドンがJ・ムーアとのベッド・シーンで胸を見せた」という内容の文章があったんだけど、そんな場面あったっけ(?_?) 全く覚えてない。ポリ袋騒音のせいで記憶が飛んだかね
「サンセット大通り」度:8点
「マルホランド・ドライブ」度:6点
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