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2015年2月22日 (日)

J.S.バッハ「フーガの技法」:対位法、してますか

150222
演奏:ザ・ロイヤルコンソート
会場:日本福音ルーテル東京教会
2015年2月13日

バッハ先生の「フーガの技法」といやあ有名曲で、大きなCD屋だったら棚にコーナーがあるくらいである。だが、意外にも(?)ナマで聞く機会は極めて少ない。
過去に一部でも演奏したのを聞いたのは、やはりこのロイヤルコンソート(その時は5人編成)とアムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテットぐらいか。

ここではヴァイオリン寺神戸亮が特出して、レギュラーのガンバが上村かおり(アルト&トレブル)、森川雅子・福沢宏(バス)という4人組だった。

自筆譜と出版譜にかなり異動がある曲だが、この日は出版譜の順序に基づいての演奏とのこと。録音だと4曲のカノンは間に挟まれるパターンが多いが、カノンは後半にまとめられていた。

演奏前に寺神戸氏が登場してきて、そもそも対位法とは、フーガとは何ぞやという簡単な解説をした。ただし、曲毎に解説するとレクチャーコンサートになってしまうので(^^;演奏中は大型モニターに短い文章や楽譜を出すという新機軸の試みをした。これが、追いかけたり抜かれたり繰り返したりひっくり返ったする曲をトーシロでも理解するのに役立つ、なかなかに優れものであったのだよ

弦だけで聞くとなんだか大きな河の流れの中にたゆたっているような気分になってくる。そして、そこにはあらゆる情感が秘められているようだった。
かくも幾何学的に展開される曲に、なぜ感動が湧きあがってくるのだろうか それは演奏者が介在してるから--か。
そんなことを思ったのは、寺神戸氏と福沢氏が二人で弾いたカノン(3度の対位法による10度の)を聴いた時である。普通ならば変な響きの二重奏、で終わってしまいそうだが、寺神戸氏のヴァイオリンが驚くほどにアグレッシヴで圧倒された。力強く切り込むような勢いだった。
なんと鋭い感情のこもった曲かと思えたのだ。

アンコールは出版譜ラストに収録されているコラール前奏曲。
実に「バッハ先生を好きなのは、音楽室に肖像画が飾ってあるからでは決してない!」と心から思えたコンサートだった。

残念だったのは開場時間に遅れてしまったので、あまりいい席が取れなかったこと。こういう時、自由席はキビシイのよ
福沢氏なんかはほとんど姿が見えなかった。楽器を弾いているところを直接見て、目でも対位法してるのを確認したかったな(^^♪

帰宅してCD棚を漁ったら、出てきたのは全てガンバのフレットワーク盤(これは坂本龍一が推薦してたヤツですな)、リコーダーによるアムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテット盤、管弦混合のエスペリオンXX盤が出て来た。もっと掘り起こせばあるかもしれないが行方不明 とりあえずこの中ではリコーダー版が一番気に入っている。
楽器を選ばずなのがまたこの曲の魅力だろう。

それにしても息子バッハはなぜ、この曲を遺作とするような一文を付け加えたのだろうか。虚偽の目撃証人の証言は、CSI科学捜査班の捜査によって覆されたの図ですな……。

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